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Ubuntu 13.04 その1 - Ubuntu 13.04リリース・リリースノートについて

Ubuntu 13.04

  Ubuntu 13.04が2013/4/25にリリースされました。


  リリースノートから変更点をいくつか取上げてみます。

  • Wubiのリリースなし
  • サポート期間が9ヶ月に短縮
  • Linux kernel 3.8.8
  • Unity 7
  • LibreOffice 4.0
  • CUPS 1.6.2 および cups-filters 1.0.34
  • Ubuntu 13.04の不具合

Wubiのリリースなし

  Ubuntu 13.04のリリースまでに不具合の修正が間に合わなかったため、今回Wubiのリリースは行われていません。

  Intention to drop Wubi from 13.04 release

  不具合の内容は以下の通りです。

  13.04 installer doesn't create user account

    以下は要約です。

    WubiでUbuntu 13.04をインストールし、PCを再起動後Ubuntuを起動した。
    しかしインストール時に設定したユーザーアカウントが存在せず、ログイン画面にはゲストしか表示されない。

    Ubuntuではrootアカウントが無効になっていますし、管理者ユーザーが存在しないとなると、そのままではユーザーアカウントを作成することができません。
    リカバリーモードのrootユーザーでユーザーアカウントの作成等を行えば利用できるのでしょうか?

    そもそもWubiの位置づけは、気軽に利用したいユーザーやUbuntuやPCに慣れていないユーザー向けの仕組みなので、コマンド操作をしてもらうのはハードルが高く致命的な不具合なのでしょう。

  Wubi fails to detect 12.04.2 and 13.04 AMD64 ISO

    以下は要約です。

    Wubiと同じフォルダーにUbuntu 12.04.2とUbuntu 13.04 64bitディスクイメージをおいたが、Wubiがそのディスクイメージを認識せず利用できない。

    これはパッチがすでに書かれていますし、すぐに修正されるでしょう。

  Should disable Windows8 hybrid hybernation/shutdown (aka fast boot)

    Windows8のハイブリッドスリープで問題が出るそうです。
    ハイバネート状態のWindowsパーティションを読み書きでマウントすることができず、WubiでインストールしたUbuntuの起動に支障が出るとのことです。

    WubiはWindowsがインストールされたパーティション上にHDDイメージを確保する関係上、そのパーティションをマウント出来ないとどうしようもありません。

    通常の起動(パーティションがハイバネート状態ではない)であれば、WubiのUbuntuは起動できます。

    詳細は以下が参考になります。
    Windows 8 - Fast-start and hybrid sleep


  公式サイトの「Install Ubuntu with with the Windows installer」でもWindows8やUEFIと互換性がないと書かれていますし、Wubiを利用している人はこれを機にWubiではなく実パーティションにUbuntuをインストールしてみてはいかがでしょうか。

サポート期間の短縮

  従来非LTS版のUbuntuは18ヶ月(一年半)のサポート期間がありました。
  Ubuntu 13.04以降ではこれが9ヶ月に短縮されています。

  • Changes in Ubuntu releases decided by the Ubuntu Technical Board
  • Ubuntu Technical Board Looks at Shuttleworth’s Proposal for Release Management Methodology

   上記によると、18ヶ月のサポート期間はメンテナンスコストがかかり、SRU teamに大変な負荷がかかっているためだそうです。

Linux kernel 3.8.8

  Ubuntu 12.10がLinux kernel 3.5.5でしたから、変更点はたくさんあります。
  変更点の一部を抜粋すると・・・

  • TCP接続の高速化
  • サスペンドの改善
  • Ext4のディスク使用率・パフォーマンス改善
  • Btrfsの機能強化
  • SMBv2に対応
  • VFIOに対応

  Linux kernelの変更点は以下を参考にするとよいでしょう。

  • Linux kernel 3.6
  • Linux kernel 3.6(ドライバー・ハードウェア)
  • Linux kernel 3.7
  • Linux kernel 3.7(ドライバー・ハードウェア)
  • Linux kernel 3.8
  • Linux kernel 3.8(ドライバー・ハードウェア)

Unity 7

  Unityがバージョン7になりました。
  パフォーマンスが改善されたほか、機能の追加と変更点があります。

  ウィンドウリストの表示

    クイックリストにアプリが表示しているウィンドウの一覧が表示されるようになりました。


    各ウィンドウの項目をクリックすると、該当するウィンドウが前面に表示されます。

  ウィンドウの切り替え

    複数のウィンドウを表示しているアプリのアイコン上で、マウスホイールをスクロールすると、ウィンドウを切り替えて全面に表示することができます。

    また今までは、Unityランチャー上でマウスホイールをスクロールすると、Unityランチャーそのもののスクロールが行えていましたが、上記機能の実装に伴いこれができなくなりました。

    今までどおりマウスカーソルをUnityランチャーの上部・下部に持って行く事で、Unityランチャーのスクロールが可能です。

  ワークスペースの数

    今までは2x2のワークスペースが有効になっていましたが、1x1に変更されています。
    ワークスペースはWindowsで言うところの仮想デスクトップです。
    またこれに伴いUnityランチャー上から「ワークスペーススイッチャー」が削除されています。

    ワークスペースの数を変更したい場合は「システム設定」の「外観」から変更することができます。
    「ワークスペーススイッチャー」のアイコンをUnityランチャー上に配置することも可能です。

  アイコンの変更

    一部のアプリのアイコンが大きく変更されました。


LibreOffice 4.0

  Ubuntu 12.10にはLibreOffice 3.6がインストールされていましたが、Ubuntu 13.04ではLibreOffice 4.0がインストールされています。


  Microsoft Officeとの互換性も上がっています。
  変更点はLibreOffice 4.0 ReleaseNotesを参照するとよいでしょう。

CUPS 1.6.2 および cups-filters 1.0.34

  Ubuntu 12.10ではCUPS 1.61が採用されており、それほど変更点が無いように思えますが、ネットワークプリンターの共有方法が変更されています。

  特にUbuntu 12.04をプリンターサーバーとして利用している人は、共有方法が変更されているため、設定の確認を行う必要があります。
  Ubuntu 12.04はCUPS 1.5.3を採用しているため、リリースノート内の記述に該当します。

Ubuntu 13.04の不具合

  リリースノートから気になる不具合を抜粋します。

  Skypeが起動しない

    Skypeが起動時にクラッシュします。

      skype crashed with SIGSEGV in malloc@plt()
      Skype won't start (segmentation fault)

    プロプライエタリーグラフィックドライバーが影響しているようで、Radeonオープンソースドライバーをインストールした環境では、以下のようにSkypeが起動しました。



  Google Chromeがインストールできない

    ライブラリーの依存関係の問題で、Google ChromeをUbntu 13.04にインストールすることができません。
    「libudev0」パッケージがUbntu 13.04でなくなっているためです。

       Issue 226002: Google Chrome can not install in Ubuntu 13.04

    すでに修正は行われており、そのうちUbntu 13.04で利用できるようになります。

    ちなみに、Google Chromeインストール済みのUbuntu 12.10からUbuntu 13.04にアップグレードした環境では、「libudev0」パッケージがインストールされているため、引き続きGoogle Chromeを利用することができます。

  HDMIオーディオが機能しない

    HDMIオーディオが機能しないそうです。
    プロプライエタリーグラフィックドライバーのインストールで改善する可能性があります。
  
      3.8.0-18 HDMI audio regression: Either oops or opening device fails with -ENODEV

    以下の最新ドライバーで改善したと報告されています。

      Packages in “ALSA daily build snapshots”

    またメインラインカーネル 3.8.8で改善したとの報告もされています。
    ただしいずれの方法もリスキーな方法なので、この現象に該当する人は上記の手段を用いず、対応方針や状況を確認したほうが良いです。

  インストール画面で「次へ」ボタンが機能しないことがある

    Ubuntu 13.04を新規にインストールする際に、「インストールの種類」画面で「次へ」ボタンが機能しない時があるそうです。
    「戻る」ボタンで一旦前の画面に戻り、再度「次へ」進めば回避できるそうなので、大した問題ではないですね。

  というわけで

    Ubuntu 12.10の時と比較し、致命的な不具合はないようです。


Ubuntu 13.04
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