LTS Enablement Stack
LTS版のUbuntuでは、新しいバージョンのLinux Kernel及びXサーバーを標準のリポジトリーからインストールすることができます。「LTS Enablement Stack」とは、この方針や取り組みのことです。
ちなみにスタックとは、新しいハードウェアをサポートするのに必要なモジュール類をまとめて表現したものです。
現状LTS版のUbuntuは、Ubuntu 12.04です。
ここではUbuntu 12.04を元に記述します。
LTS版以外のUbuntuについて
Ubuntu 12.10やUbuntu 13.04などLTS版ではないUbuntuは、「LTS Enablement Stack」の対象外です。新しいバージョンLinux Kernel及びXサーバー
新しいバージョンとは、それ以降にリリースされたUbuntuで採用されているバージョンのことを指します。LTS版Ubuntuにインストール可能な新しいバージョンのLinux Kernel及びXサーバーは、LTS版Ubuntuのバージョンにより異なります。
例えば、Ubuntu 12.04でインストール可能な新しいバージョンのLinux Kernel及びXサーバーは、Ubuntu 12.10 〜 Ubuntu 14.04で採用されたLinux Kernel及びXサーバーという事になります。
従って任意のバージョンがインストールできるという事ではありません。
現状、Ubuntu 14.10以降のLinux Kernel及びXサーバーをUbuntu 12.04でインストール出来るようにする計画は公表されていませんが、状況により変わるかもしれません。
LTS Enablement Stackの目的
「LTS Enablement Stack」の目的です。LTS版Ubuntuのサポート期間とハードウェア
そもそもLTS版のUbuntuには、5年間という長いサポート期間が設定されています。この5年間の間に、様々なハードウェアがリリースされます。
また同様に、新たなハードウェア規格が出るかもしれません。
CPUやチップセット、グラフィックカードはその最たる例ですね。
Ubuntu 12.04のLinux Kernelは、Linux Kernel 3.2がベースになっています。
このLinux Kernel 3.2で、今後5年間の間にリリースされる新たなハードウェアをサポートし続けることは困難です。
新しいLinux Kernelのバージョンから機能を取り込む?
新しいLinux Kernelのバージョンから一部の機能をLinux Kernel 3.2に取り入れることはできますが、機能によりそれ相応の手間(コスト)がかかります。そもそも機能の取り込みが困難なケースも存在しますし、品質面の保証も難しいでしょう。
というわけで
多くのハードウェアをサポートするためLTS版のUbuntuでは、新しいバージョンのUbuntuのLinux Kernelやグラフィックに関係するXサーバーを、LTS版のUbuntuにインストールできるようにしています。上記にも記述した通り、「LTS Enablement Stack」とは、この方針や取り組みのことです。
ポイントリリースとLTS Enablement Stack
ポイントリリースと「LTS Enablement Stack」の関係です。ポイントリリースとは
LTS版のUbuntuでは、ポイントリリースというWindowsで言うところのサービスパック相当のリリースを行なっています。「Windows XP SP3 適用済み」のWindows XPが販売されていたことがありましたが、似たようなものです。
現時点でUbuntu 12.04のポイントリリースは3回行われており、その最新バージョンはUbuntu 12.04.3です。
Ubuntu 13.10リリース後に、最後のポイントリリースが行われます。
4回目のポイントリリースですから、そのバージョンはUbuntu 12.04.4になります。
Ubuntu 12.04/Ubuntu 12.04.1とLTS Enablement Stack
いずれも変更はなく、Linux Kernel 3.2が採用されています。Xサーバーも同様です。
Ubuntu 12.04.2とLTS Enablement Stack
Ubuntu 12.04.2では、Linux Kernel 3.5が採用されています。Xサーバーも含め、Ubuntu 12.10相当になっています。
Ubuntu 12.04.3とLTS Enablement Stack
Ubuntu 12.04.3では、Linux Kernel 3.8が採用されています。Xサーバーも含め、Ubuntu 13.04相当になっています。
Ubuntu 12.04.4とLTS Enablement Stack
まだリリースされていないため、あくまでも予定です。Ubuntu 12.04.4では、Linux Kernel 3.11が採用される予定です。
Xサーバーも含め、Ubuntu 13.10相当になる予定です。
最後のLTS Enablement Stack
ポイントリリースはUbuntu 12.04.4で最後ですが、Ubuntu 14.04 LTSのLinux Kernelがインストールできるようになる予定です。Xサーバーも含めバージョンは未定ですが、Ubuntu 14.04 LTS相当になる予定です。
まとめると・・・
Ubuntu 12.04にインストールできるLinux Kernelのバージョンは以下のとおりです。(予定も含みます。Xサーバーのバージョンは省略します。)
- Linux Kernel 3.5(Ubuntu 12.10)
- Linux Kernel 3.8(Ubuntu 13.04)
- Linux Kernel 3.11(Ubuntu 13.10)
- Linux Kernel バージョンは未定(Ubuntu 14.04)