5年間のサポートを受ける
以前記述したように、Ubuntu 12.04.2以降にリリースされたポイントリリースは、「LTS Enablement Stack」により新しいバージョンのLinux KernelとXサーバーが適用されているため、それらのパッケージのサポート期間が短くなります。サポート期間が5年間欲しい
5年間のサポートを受けたい時は、Ubuntu 12.04.2以降にリリースされたポイントリリースを利用せずに、Ubuntu 12.04やUbuntu 12.04.1をインストールする必要があります。その後「ソフトウェアの更新」でアップデートすれば、5年間のサポートを受けられる構成でUbuntu 12.04を利用し続けることができます。
Linux KernelとXサーバー以外は、同じ構成になります。
例えばGIMPやLibreOfficeのバージョンは、どちらの構成でも全く同じです。
自動インストールされない
「LTS Enablement Stack」により提供されるパッケージは、自動的にアップデート等でインストールされることはありません。ユーザーが自分で指定してインストールする必要があるため、いつの間にか新しいバージョンのUbuntuのLinux KernelとXサーバーがインストールされていた、という事態は起きません。
Ubuntu 14.04 LTSのLinux KernelとXサーバー
将来的にUbuntu 12.04では「LTS Enablement Stack」により、Ubuntu 14.04 LTSのLinux KernelとXサーバーをインストール出来るようになります。この場合Ubuntu 14.04 LTSのサポート期間は5年間あるため、Ubuntu 12.04のサポート期間が先に切れることになります。
Ubuntuのバージョンアップへの影響
「LTS Enablement Stack」により提供されているパッケージをインストールした環境では、Ubuntuのバージョンアップに以下の影響が出ます。例えばUbuntu 12.04.3をインストールした環境があるとします。
この環境では、Linux KernelとXサーバーはUbuntu 13.04相当になっています。
このUbuntu 12.04をUbuntu 12.10にバージョンアップするケースを見てみます。
Ubuntuのバージョンとの不整合
Ubuntu 12.04からみれば、Ubuntu 12.10は1つ新しいバージョンになります。従ってUbuntu 12.04をUbuntu 12.10へバージョンアップすることができます。
しかし、Linux KernelとXサーバーはUbuntu 13.04相当になっており、かつ、Ubuntu 12.10では「LTS Enablement Stack」の対象外であるため、Ubuntu 13.04相当のLinux KernelとXサーバーは提供されません。
ここでUbuntu 12.10ではサポートされていないUbuntu 13.04相当のLinux KernelとXサーバーがインストールされている、という不整合が発生します。
どちらのLinux KernelとXサーバーが使われるか?
このような状況では、Ubuntu 12.10のLinux KernelとXサーバーよりも新しいバージョンであるUbuntu 13.04相当のLinux KernelとXサーバーが利用されます。しかしUbuntu 12.10ではサポートされていない組み合わせになるため、このままではトラブルが発生する可能性があります。
またUbuntu 12.04では「LTS Enablement Stack」により提供されているパッケージがアップデートされると、それに合わせてLinux KernelとXサーバーはアップデートされます。
しかし、Ubuntu 12.10では「LTS Enablement Stack」の対象外であるため、それらのアップデートは感知されず、アップデートは行われません。
というわけで
「LTS Enablement Stack」により提供されているパッケージがインストールされている環境でUbuntuを新しいバージョンにバージョンアップしたい場合、次のLTSにバージョンアップすることになります。例えばUbuntu 12.04は、次期LTS版であるUbuntu 14.04 LTSにバージョンアップすることになります。
Ubuntu 12.04 〜 Ubuntu 14.04間にリリースされたUbuntu 12.10/Ubuntu13.04/Ubuntu13.10はスキップします。