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Ubuntu mdadm その3 - スペアディスクについて・フォルティーディスクについて・デグレードモードについて

スペアディスク

  冗長性のあるアレイの種類(RAID 1/4/5/6/10)では、スペアディスクの設定を行うことができます。
  スペアディスクとは、アレイに結び付けられている予備の物理ボリュームのことです。


  もしアレイを構成する物理ボリュームに障害が発生した場合、このスペアディスクが故障した物理ボリュームの代わりに使用されます。
  「MDドライバー」は物理ボリュームの障害を検知すると、即座に故障した物理ボリュームを切り離し、スペアディスクと置き換え、アレイの修復を行います。


  スペアディスクは必須ではなく、スペアディスク無しの状態でアレイを構成することも可能です。
  また、複数のスペアディスクを設定することも可能です。

  スペアディスクはアレイと関連付ける必要があるため、アレイに対してスペアディスクの設定を行います。
  
  スペアディスクは、物理ボリュームの障害に対応する仕組みです。

フォルティーディスク

  フォルティーディスクとは、障害が発生した物理ボリュームのことです。
  障害とは、故障のことです。


  データの書き込みに失敗した時など「MDドライバー」が障害を検知すると、その物理ボリュームはフォルティーディスクとしてマークされます。
  この時フォルティーディスクは切り離され使用されなくなりますが、アレイを構成する物理ボリュームとしてアレイに結び付けられたままになります。

  その後「MDドライバー」はアレイの修復を試みますが、アレイの種類や設定により動作が変わります。

  冗長性がないアレイの種類だった場合

    冗長性がないアレイの種類だった場合、そもそも修復できないため、「MDドライバー」はどうすることもできません。
    またデータも失われます。


    ユーザーがバックアップからデータを復旧するなど、ユーザー自身の手でアレイを修復する必要があります。

  冗長性があるアレイの種類だった場合(スペアディスク無し)

    冗長性があるアレイの種類だがアレイにスペアディスクが設定されていない場合、「MDドライバー」は修復を行わずデグレードモードで動作します。


    RAID 1の例

      2台の物理ボリュームで作成した「RAID 1」アレイでは、物理ボリュームが1台故障してもデータが失われることはありません。
      「RAID 1」アレイで物理ボリュームが1台故障した場合、データそのものは利用可能であるため、デグレードモードで動作します。
      論理ボリュームは引き続き利用できますが、アレイの種類によってはパフォーマンスが落ちます。

    即座に復旧する必要がある

      デグレードモードで動作しているということは、冗長性がない状態、あるいはその程度が落ちている状態で動作していることになります。
      「RAID 5」アレイの場合、物理ボリュームが2台故障した場合は、「冗長性がないアレイの種類だった場合」と同様になります。

      デグレードモードで動作している時に新しい物理ボリュームをアレイに追加すれば、「mdadm」はアレイの修復を行います。

  冗長性があるアレイの種類だった場合(スペアディスクあり)

    冗長性があるアレイの種類かつアレイにスペアディスクが設定されている場合、「MDドライバー」はスペアディスクを使用してアレイの修復を即座に行います。


    ただし、修復が完了するまではデグレードモード同様に冗長性がない状態です。
    アレイの修復中にスペアディスク以外の物理ボリュームに障害が発生した場合は、「冗長性がないアレイの種類だった場合」と同様になります。

    修復が完了するまでは、デグレードモードだということです。

    RAID 5の例

      物理ボリュームが1台故障した際、スペアディスクを使用しアレイの修復が行われます。
      この時、アレイの修復が完了する前にスペアディスク以外の物理ボリュームが1台故障した場合は、アレイの修復は失敗しデータが失われます。


mdadm
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