kledgeb UbuntuやLinuxの最新情報を紹介

Ubuntu 15.10 その12 - Libavが無くなり、FFmpegに戻りました

LibavからFFmpegへ

  Ubuntu 15.10ではLibavがリポジトリーから削除され、FFmpegがインストールされるようになりました。


  LibavとFFmpegの役割

    いずれのソフトウェアも、動画や音声などで使用される様々なフォーマットのエンコードやデコードを行うマルチメディアフレームワークです。

    一般的なデスクトップユーザーから見れば、動画や音声を再生する時に利用されるソフトウェアです。
    メディアプレーヤーのバックエンドで動作します。

  袂を分かち5年弱

    LibavはFFmpegからフォークしたプロジェクトです。

    フォークのきっかけは、FFmpegプロジェクト内で起きたプロジェクトの管理方針やポリシーに対する考え方の相違でした。

    それを契機として、2011年3月にLibavプロジェクトが発足しました。

    FFmpegを利用していたDebian及びUbuntuはLibavを支持し、FFmpegからLibavへ移行することになりました。

    Libav採用後、UbuntuはユーザーにFFmpegからLibavへの移行を促し、Ubuntu 14.04以降、UbuntuのリポジトリーからFFmpegを削除しました。

  類似したソフトウェア

    それぞれのプロジェクトが独自の進化を遂げて行ったかというとそうでもなく、お互いがお互いの変更点を取り込んでソフトウェアをリリースしていました。

    もちろん取り込む変更点や取り込むタイミングには差異があり、また、ソフトウェアのリリースサイクルも異なっていたため、全く同じ機能を提供するソフトウェアではありませんでしたが、ユーザーから見ると類似したソフトウェアであることに変わりありませんでした。

  Ubuntu 15.04でFFmpegが復活

    そんな状況の中、Ubuntu 15.04のリポジトリーにFFmpegが復活しました。
    ユーザーは必要に応じて、LibavやFFmpegを利用できるようになりました。


  Ubuntu 15.10でLibavが無くなった

    Ubuntu 15.10ではLibavが無くなり、LibavからFFmpegへ移行しました。

  

  FFmpegへ戻った理由

    FFmpegへ戻った理由は、LibavよりもFFmpegの方が積極的にメンテナンスされている点です。
    特にセキュリティーに関する問題は、早期に対応されることが望まれます。

    Libavで行われた変更や修正の大半はFFmpegへ取り込まれてきましたが、その一方で、FFmpegで行われた変更や修正の多くは、Libavに取り込まれていません。

    そのため、FFmpegで修正された不具合がLibavでは修正されておらず、Libavに不具合が残ったままになっています。

    また、LibavとFFmpegに同じ不具合を報告したのに、Libavでは返事がなく、FFmpegでは2日かからず対応してくれた、という状況もありました。

    時を経て、FFmpegは新機能への対応も積極的に行い、機能に差が出始めます。
    FFmpegで再生できるフォーマットでもLibavでは再生できないフォーマットが出てきました。

    また懸案事項でもあったFFmpegのAPIが、リリース頻度が高いにも関わらずLibav並に安定してきたという点も、FFmpegへ戻る理由の一つになっています。

  DebianもFFmpegへ移行する

    Ubuntuの派生元であるDebianも、次期バージョンであるDebian 9(stretch)でLibavからFFmpegへ移行します。

  Michael氏辞任へ

    11年間FFmpegでリーダーシップを取ってきたMichael氏が、2015年7月31にリーダーの辞任を表明しました。

    彼はフォークが起きた時の当事者の1人でした。
    彼はフォークしたLibavがFFmpegに合流し、一つのチーム及びプロジェクトになることを望んでいます。
    また、自分がリーダーを辞任することで、分裂したプロジェクトの統合が容易になることを望んでいます。

    この件もFFmpegへの移行の後押しになっているのでしょうか。

Ubuntu 15.10のLibav

  Libavはリポジトリーから無くなりましたが、リポジトリーからインストールできるすべてのソフトウェアが、FFmpegに対応しているとは限りません。

  Libavを要求するソフトウェアも存在します。
  Ubuntu 15.10でLibavがどのように扱われるのかを見てみます。

  libav-toolsのインストール

    UbuntuがLibavに移行した際、ユーザーは「ffmpeg」コマンドではなく「avconv」コマンドを利用するよう案内されていました。
    この「avconv」コマンドを利用するには、「libav-tools」パッケージをインストールする必要があります。

    「Ubuntuソフトウェアセンター」等で「libav-tools」パッケージを探しても、「libav-tools-links」パッケージしか見つかりません。


    「端末」から「libav-tools」パッケージをインストールしてみます。


    ポイントは以下のメッセージです。

'libav-tools' の代わりに 'libav-tools-links' を選択しています

    「libav-tools」パッケージをインストールしようとすると、代わりに「libav-tools-links」パッケージがインストールされます。

     このまま続行して「libav-tools-links」パッケージをインストールします。

  avconvの実態

    「libav-tools-links」パッケージのインストールにより、「avconv」コマンドが利用できるようになりました。

    「avconv」コマンドの実態を調べてみます。



    「avconv」コマンドは、「ffmpeg」コマンドを指すシンボリックリンクになっていることが分かります。

  というわけで

    「avconv」コマンドでLibav使ってると思っていたら、「ffmpeg」コマンドでFFmpeg使ってる状態になっています。

    「libav-tools-links」パッケージがいつまで提供されるかわかりませんが、以下のコマンドを利用している人は、FFmpegが提供するコマンドを使用するようにしましょう。

Libav FFmpeg
avconv ffmpeg
avplay ffplay
avprobe ffprobe


Ubuntu 15.10
スポンサー
コメント
コメントポリシー
コメントをする前に UbuntuのCode of Conduct(CoC/行動規範) を確認し、CoCに沿ったコメントをお願いします。
コメントの使い方は、コメントの使い方を参照してください。
同一カテゴリーの記事
SNS
人気の記事
  • Ubuntu 22.04 LTSのインストール その5 - UEFI環境でパーティションの作成と構成 〜 ブートローダーのインストール先の選択
    UEFI環境でパーティションの作成と構成を行う UEFI環境でパーティションの作成と構成を行います。
  • Ubuntu 22.04 その79 - 画面ロックの有効・無効を設定するには・画面ロック時の設定をカスタマイズするには
    画面ロックの有効・無効を設定するには 一定時間ユーザーによる操作がない時に、自動的に画面をロックしパスワードで保護したり、画面をブランク状態にできます。
  • Ubuntu 22.04 その120 - UbuntuのブートローダーをBoot Repairで修復するには・Ubuntuが起動しないトラブルを解決
    UbuntuのブートローダーをBoot Repairで修復するには 「Boot Repair」はOSのブートローダーに起因するOSが起動しない問題を簡単に解決してくれるアプリです。
  • Ubuntu 22.04 その95 - ディスプレイサーバーを切り替えるには・XorgとWayland
    ディスプレイサーバーを切り替えるには 「Ubuntu」はデフォルトで2種類のディスプレイサーバーを提供しています。
  • Ubuntu 22.04 その98 - 入力ソースとキーボートレイアウトと日本語入力のカスタマイズ
    入力ソースとキーボートレイアウトと日本語入力 「Ubuntu」ではユーザーが利用しているキーボードレイアウトや日本語入力のカスタマイズが可能です。
  • VirtualBox その125 - ゲストOSのUbuntuにLinux Guest Additionsをインストールするには
    ゲストOSのUbuntuにLinux Guest Additionsをインストールするには 仮想マシンにインストールしたゲストOSの「Ubuntu」に、「Linux Guest Additions」をインストールする方法です。
  • Ubuntuのバージョンと開発コードの対応表
    UbuntuのバージョンとUbuntuの開発コード 「Ubuntu」には各バージョンごとに開発コードが設定されます。
  • Ubuntu 22.04 その99 - 日本語入力(Mozc)の設定をカスタマイズして作業効率を上げよう
    日本語入力(Mozc)の設定をカスタマイズするには 「Ubuntu」では日本語入力に「Mozc」を採用しています。
  • Ubuntu 22.04 LTSのインストール その1 - インストールの準備 〜 ライブメディアの作成とUbuntuの起動
    Ubuntu 22.04 LTSのインストールの準備 ここではPCに「Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Desktop)」をインストール方法を紹介します。 まずはインストールの準備からです。
  • Linux その215 - GNOME 48 リリース・GNOME 48 の新機能と変更点
    GNOME 48 の新機能と変更点 2025年3月19日、GNOME 48(コードネーム:Bengaluru) がリリースされました。 リリースノートから GNOME 48 の新機能と変更点を紹介します。
記事のピックアップ
オプション