PowerShell その24 - PowerShell Core 6.0 GAがリリースされました・初の安定版リリース

PowerShell Core 6.0 GAがリリースされました

2018年1月10日、「PowerShell Core 6.0 GA」がリリースされました。

• PowerShell Core 6.0: Generally Available (GA) and Supported!

「GA」は「Generally Available」の略で、いわゆる安定版を意味します。
加えて「Microsoft」のサポートポリシーに基づくサポートが提供されます。

PowerShell Coreとは

「PowerShell Core」は、「.NET Core」で実装されている「PowerShell」のことです。
「PowerShell Core」はクロスプラットホームで提供され、「Windows」だけでなく「Linux」でも利用可能なシェルです。

「PowerShell」のスキルを有する組織や個人は、 「PowerShell Core」を利用することで、「Windows」だけでなく「Linux」や「macOS」でもそのスキルを活用できます。

リリース情報

「PowerShell Core 6.0 GA」のリリース情報です。

• リリースアナウンス：PowerShell Core 6.0: Generally Available (GA) and Supported!
• ダウンロードとインストール：Installing PowerShell Core on Windows
• ダウンロードとインストール：Installing PowerShell Core on macOS and Linux

UbuntuにPowerShell Core 6.0 GAをインストールするには

 UbuntuにPowerShell Core 6.0 GAをインストールする方法は、以下を参照してください。

• PowerShell Core 6.0 GAをインストールするには

PowerShell CoreがサポートするOS

「PowerShell Core」がサポートするOSは、以下の通りです。

• Windows 7/8.1/10
• Windows Server 2008 R2/2012 R2/2016
• Windows Server Semi-Annual Channel
• Ubuntu 14.04/16.04/17.04
• Debian 8.7以降/9
• CentOS 7
• Red Hat Enterprise Linux 7
• OpenSUSE 42.2
• Fedora 25, 26
• macOS 10.12以降

公式なサポートはありませんが、以下のOS/プラットフォームでも利用できます。

• Arch Linux
• Kali Linux
• AppImage（多くのLinuxディストリビューションで利用可能）

公式なサポートはありませんが、以下のOSでも試験的なリリースが行われています。

• Windows on ARM32/ARM64
• Raspbian (Stretch)

Windows PowerShellとPowerShell Core違い

「Windows PowerShell」と「PowerShell Core」の特徴の違いです。

幅広い環境での採用実績

「Windows PowerShell」は、10年以上幅広い環境で利用されています。

.NET Frameworkと.NET Core

「Windows PowerShell」は、「.NET Framework（FullCLR）」上に構築される「PowerShell」です。

一方「PowerShell Core」は、「.NET Core（CoreCLR）」上に構築される「PowerShell」です。

動作するプラットフォーム

「Windows PowerShell」は「.NET Framework」上に構築されるため、Windows上でのみ動作します。

一方「PowerShell Core」はクロスプラットホームであり、「Windows」、「macOS」、「Linux」上で動作します。
これは「PowerShell Core」の基盤となっている「.NET Core」がクロスプラットホームで提供されているためです。

PowerShell Core 5.0/5.1について

「PowerShell Core 5.0/5.1」は「Microsoft Nano Server」の一部として「Microsoft Nano Server」向けに独占的にリリースされています。

今までリリースされたバージョン

今までリリースされた「Windows PowerShell」のバージョンは、以下の通りです。

• Windows PowerShell 1.0
• Windows PowerShell 2.0
• Windows PowerShell 3.0
• Windows PowerShell 4.0
• Windows PowerShell 5.0
• Windows PowerShell 5.1

すぐに利用可能

「Windows PowerShell」は、WindowsクライアントとWindowsサーバーに予め組み込まれており、すぐに利用できます。
デフォルトでインストールされています。

実行ファイル

「Windows PowerShell」の実行ファイルは、「powershell.exe」です。

一方「PowerShell Core」は、「Windows」では「pwsh.exe」であり、「macOS」と「Linux」では、「pwsh」です。

$PSVersionTable.PSEditionの設定

「Windows PowerShell 5.0/5.1」では、「$PSVersionTable.PSEdition」が「Desktop」に設定されます。

一方「PowerShell Core」では、「$PSVersionTable.PSEdition」が「Core」に設定されます。

利用できる.NETの機能

「Windows PowerShell」は、「.NET Framework」ランタイムが提供する「C# コマンドレット」、「Add-Type」、「.NETのスタティックメソッドの呼び出し」といった様々な「.NET」ベースの機能を利用できます。
言い換えれば、「.NET Framework」と「.NET Standard」が提供する機能を利用できるということです。

一方「PowerShell Core」は、「.NET Core」ランタイムが提供する「C# コマンドレット」、「Add-Type」、「.NETのスタティックメソッドの呼び出し」といった様々な「.NET」ベースの機能を利用できます。
言い換えれば、「.NET Core」と「.NET Standard」が提供する機能を利用できるということです。

サポート

「Windows PowerShell」は、「Windows」と「Windows Server」の最新リリースにおいて、致命的な不具合の修正サポートが提供されます。

一方「PowerShell Core」は、「PowerShell Core Support Lifecycle 」に基づきサポートが提供されます。

PowerShell CoreのFAQ

「PowerShell Core」のFAQです。

1.Windows PowerShellと共存できる？

共存できます。

「PowerShell Core」は、「Windows PowerShell」と完全に環境が分離しています。
既存の「Windows PowerShell」環境に影響を与えることなく、「PowerShell Core」の機能を利用できます。

「PowerShell Core」を「MSI（インストーラー）」からインストールしようが、ZIPアーカイブからインストールしようが、「Windows PowerShell」環境に影響を与えることなく、「PowerShell Core」と「Windows PowerShell」を共存して利用できます。

2.PowerShell Coreで動作するモジュールは？

現在以下のモジュールが「PowerShell Core」のビルトインモジュールとして提供されています。

• CimCmdlets
• Microsoft.PowerShell.Archive
• Microsoft.PowerShell.Diagnostics
• Microsoft.PowerShell.Host
• Microsoft.PowerShell.Management
• Microsoft.PowerShell.Security
• Microsoft.PowerShell.Utility
• Microsoft.WSMan.Management
• PackageManagement
• PowerShellGet
• PSDesiredStateConfiguration
• PSDiagnostics
• PSReadLine

これらのモジュールのリファレンスは、「PowerShell Module Browser」から参照できます。
また有効なモジュールの一覧は、以下のコマンドで表示できます。

Windows PowerShellで利用可能な一部のコマンドレットは利用できない

「Windows PowerShell」で利用可能な一部の「コマンドレット」は、現在「PowerShell Core」から利用することができません。
現在メンテナンスされている「コマンドレット」の一覧は、以下を参照してください。

• PowerShell/test/powershell/engine/Basic/DefaultCommands.Tests.ps1

3.他のMicrosoft製モジュールは？

まずMicrosoft製モジュールは、基本的に以下の3つのカテゴリーに分類されます。

1.Windows client及びWindows Serverの一部として提供されるモジュール

これらのモジュールは、「Windows」インストール後に以下のコマンドで一覧を表示できます。


上記のビルトインモジュール数より少なくなります。

2.Microsoftプロダクトの一部として提供されるモジュール

例えばシステムカレンダーアプリケーションは、アプリのインストール時に「PowerShell」モジュールをインストールする。

3.PowerShell Galleryから提供されるモジュール

例えば「Azure PowerShell」は、「PowerShell Gallery」から提供されるモジュールです。

サポートについて

上記3つのカテゴリーに属するすべてのモジュールは、「Windows」もしくは製品グループによって明示的にサポートが表明されていない限り、「PowerShell Core」で動作保証はありません。

ただし「.NET Standard」及び「CDXML」の動作が保証されているため、「Windows PowerShell」向けに設計された多くのモジュールは、「PowerShell Core」と高い互換性があります。

「PowerShell Core」で利用するためこれらのモジュールを「PSModulePath」へ追加する方法は、以下を参照してください。

• Backwards compatibility with Windows PowerShell

4.PowerShell GalleryのモジュールがPowerShell Coreで動作するかどうか調べるには

「PowerShell Gallery」のモジュールが「PowerShell Core」で動作するかどうか調べるには、「PSEdition_Core」タグで検索してください。

詳細は以下を参照してください。

• Items with compatible PowerShell Editions

5.PowerShell Coreと互換性のあるモジュールやスクリプトを作るには

C#ベースのコマンドレット

C#ベースの「コマンドレット」を作成しているなら、「.NET Standard 2.0」と「PowerShell Standard」に従う必要があります。

詳細は、以下を参照してください。

• Creating a cross-platform binary module with the .NET Core command-line interface tools
  Building a C# Cmdlet with Visual Studio

現在「PowerShell Standard」のバージョンは、3.0プレビュー版になっています。
これは「PowerShell 3.0」〜「PowerShell 6.0」が対象になっています。
近々「PowerShell 5.0」 〜 「PowerShell 6.0」のより多くのAPI群を含む「PowerShell Standard 5.0」が登場する予定です。

PowerShellベースのコマンドレットやスクリプト

「PowerShell」ベースの「コマンドレット」やスクリプトを作成しているなら、.NETタイプ及び.NETアセンブリを使用している必要があります。
加えてターゲットとしているプラットフォームで利用可能な「コマンドレット」とモジュールを使用している必要があります。

この作業を支援する「PSScriptAnalyzer」が近々登場する予定です。

6..NET CoreアプリケーションからPowerShell Coreをホストできる？

できます。
詳細は以下を参照してください。

• Hosting PowerShell Core in .NET Core Applications

7.PowerShell Coreでリモート処理はできる？

できます。

「PowerShell Core」は「WSMan」及び「SSH」経由で「PowerShell Remoting Protocol（PSRP）」の利用をサポートしています。
加えて「WSMan」上の「Windows PowerShell」と相互運用可能です。

ただしWindows以外のOS上の「WSMan」ベースのリモートでは、サポートされていない認証方式があります。
詳細は以下を参照してください。

• SSH Remoting in PowerShell Core
• WSMan Remoting in PowerShell Core

8.PowerShell Coreのサポートポリシー

「PowerShell Core」のサポートポリシーは、「Microsoft Modern Lifecycle Policy」です。
ユーザーは常に最新版の「PowerShell Core」を利用していくことになります。
「PowerShell Core」のサポートに関する詳細情報は、以下を参照してください。

• PowerShell Core Support Lifecycle

9.PowerShell Coreに引き継がれなかった機能

「PowerShell Core」はクロスプラットホームで提供されるため、「Windows」専用の「Windows PowerShell」から引き継がれなかった機能がいくつかあります。

またユーザーにあまり使われていない機能は、「PowerShell Core」に引き継がれていませんが、そう判断された機能の一部は今後「PowerShell Core」で利用できるようになるかも知れません。
ただしそれらの機能の多くは、引き継がれない予定です。

• PowerShell Workflows
• PowerShell Snap-ins
• WMIv1コマンドレット（Get-WmiObject/Invoke-WmiMethodなど）
  CIM/WMIv2コマンドレット（Get-CimInstance/Invoke-CimMethod等への移行を推奨)
• Desired State Configuration（DSC）リソースの利用

詳細は以下を参照してください。

• Breaking Changes in PowerShell Core

10.Windows PowerShellの立ち位置は？

「Windows PowerShell 3.0/4.0/5.1」は「Windows lifecycle fact sheet」に基づき引き続きサポートされます。
「Windows PowerShell 2.0」もサポートされていますが、非推奨になっています。

ただし「Windows PowerShell」に新機能の追加計画はありません。
また新しい「Windows Management Framework（WMF）」パッケージの提供予定もありません。

これは「Windows PowerShell」のリグレッションリスクが非常に小さいことを意味します。
従って既存のワークロードの安定版プラットフォームとして「Windows PowerShell」を利用することができます。