GNOME 3.28の対応状況
「Ubuntu 18.04」では、一部のコンポーネントを除いて「GNOME 3.28」を採用します。「Ubuntu 18.04」ではすでにいくつかのコンポーネントが、「GNOME 3.28 β版(GNOME 3.27)」にアップデートされています。
その一方で課題の解決やアップストリームの作業待ちになっているコンポーネントもあります。
以下で現在の「GNOME 3.28」の対応状況が紹介されています。
gnome-desktop3
デスクトップに関するコンポーネントです。現在デスクトップは以下の課題を抱えており、まだ「GNOME 3.28(β版)」を提供できていません。
- dbus-test-runnerでglibのautopkgtestに失敗する問題
- NetworkManager 1.10がautopkgtestに失敗するリグレッション
- libglvndのMIRとNVIDIAパッケージのアップデート
- Unityがビルドに失敗する
- LibreOfficeがautopkgtestに失敗する問題
evolution-data-server
「evolution-data-server」は、Evolutionのデータベースバックエンドサーバーです。メールやカレンダーアドレス帳といった情報を管理するソフトウェアです。
「evolution-data-server」は「gnome-desktop3」の対応待ちになっています。
「evolution-data-server」の対応は来週、「Ubuntu 18.04」がFeature Freezeを迎える前に行われる予定です。
Mutter/GNOME Shell/gnome-settings-daemon
これらのソフトウェアは、まだリリースされていません。Mutter
「Mutter」のsonameを変える必要がありますが、まだこの作業は行われていません。また「budgie-desktop」が「Mutter」を利用しているため、新バージョンに対し確実にビルド及び実行できるようにする必要があります。
gnome-settings-daemon
新バージョンの「gnome-settings-daemon」の主な変更点は、「Mutter」で実装されているプラグインの削除です。そのため「Mutter」のアップデートを行うまで、「gnome-settings-daemon」のアップデートはそれほど意味がありません。
つまり「Mutter」のアップデート待ちです。
GNOME Shell
「GNOME Shell」では、新しい仮想キーボードがサポートされます。これは「Caribou」を置き換えます。
まだ「GNOME Shell」の新バージョンはまだリリースされていないため、十分なテストが行われていません。
gnome-session
「Ubuntu」は数年前に「GNOME」が削除した「gnome-session-properties」アプリを維持するため、パッチを提供してきました。このパッチを「Meson」向けにアップデートする必要があります。
gnome-control-center
「gnome-control-center」は、パッチのリベースやアイコンテーマの修正など必要な作業や課題が以下で挙げれられています。Cantarell font
「Cantarell font」は再設計されたため、これに合わせた対応作業が必要です。GNOME Builder
「GNOME Builder」は、「PCRE2」を使用しないパッチをあてるか「3.26」に留まる予定です。GNOME Calendar
「GNOME Calendar」は、「libdazzle」の「MIR」待ちです。GNOME Files(Nautilus)
「Nautilus」は以前紹介したように、「Nautilus 3.26」に留まります。GNOME Games
メンテナーが「libmanette」の名称変更を検討しており、その作業待ちになっています。GNOME Photos
「babl」及び「gegl」のテストに失敗しているアーキテクチャーがあるため、対応作業が必要です。GTK4
「GTK4」は「Ubuntu 18.04」で使われず、プレリリース版をLTSで提供すると混乱をもたらし兼ねないため、「Ubuntu 18.04」リリース前に「GTK4」はアーカイブから削除されます。「GTK4」は、PPAでメンテナンス及び提供される可能性があります。
WebKit
「WebKit」は、「brotli2」及び「woff2」の「MIR」待ちです。「webkit2gtk」のアップデート作業が行われる予定ですが、その作業が行われるまで、「devhelp」と「epiphany-browser」のアップデートは行われません。
yelp/yelp-xsl/yelp-tools
新バージョンの「yelp-xsl」では仕様が変更され、既存の仕様と互換性が無くなりました。「Ubuntu 18.04」では、この新バージョンの「yelp-xsl」を採用する予定です。
しかし「Ubuntu Docs Team」は、この仕様変更に追従するために「https://help.ubuntu.com/」で使われているスタイルシートの更新が必要になり、多くの作業を行わなければなりません。
そのため「Ubuntu Docs Team」は、ドキュメントの構築に新しい「yelp-xsl」を使用するか、それとも古い「yelp-xsl」を使用するか別途判断が必要になります。
このスタイルシートの課題は、デスクトップユーザー(Yelp)に直接影響を与えることは全くありません。