Ubuntu 18.04をインストールする前に
2018年4月26日に「Ubuntu 18.04 LTS」がリリースされました。ここでは「Ubuntu 18.04」をインストールしたいユーザーのために、「Ubuntu」の基本から順を追って「Ubuntu 18.04」のインストール方法を紹介します。
まずはUbuntuの試用から
「Ubuntu 18.04」をインストールする前に、「Ubuntu 18.04」のインストールに必要な準備や「Ubuntu 18.04」が正常に動作するかどうかを確認する必要があります。いきなり「Ubuntu」をインストールするのではなく、まずは「Ubuntu」を試用してみましょう。
「Ubuntu」はPCに「Ubuntu」をインストールすることなく試用することができ、PCのパーティション等ストレージに影響を与えることもありません。
「Ubuntu」が正常に起動するかどうか、使い勝手は良いか、パフォーマンスは十分か、インターネットに接続できるかなど、「Ubuntu」の試用を通じて状況を事前に確認しておきましょう。
確認の結果特に問題がなければ、試用のために起動した「Ubuntu」からインストールを行うこともできます。
Ubuntuの特徴
「Ubuntu」は「Debian」から派生したOSであり、初心者でも誰でも簡単に利用できるOSを目指し開発が行われています。「Ubuntu」はLinuxディストリビューションの中で非常にユーザー数が多く、最低でも3000万人以上のユーザーが「Ubuntu」を利用しています。
また「Ubuntu」はデスクトップ向けだけでなくサーバーやクラウド、IoTなど様々な分野に最適化したエディションを提供しており、幅広い分野でUbuntuが使われています。
個人ユーザーから「Ubuntu」を見た場合、利用者が多いため情報量が非常に多く、初心者の助けになる情報が得られやすい、という利点があります。
また同様に開発者も多く、「Ubuntu」向けに多くのソフトウェアが提供されています。
利用者の多さはサードパーティーにとって「Ubuntu」向けにソフトウェアを提供する動機の1つとなっています。
例えば「Skype」や「Google Chrome」、「.NET Core」、「PowerShell Core」、「Visual Studio Code」、「Discord」など様々なソフトウェアがサードパーティーからリリースされています。
加えて「Ubuntu」は、「Windows」に向けても提供されています。(WSL)
「Ubuntu」は数あるLinuxディストリビューションの中で、非常に大きな存在となっています。
日本語ユーザーから見たUbuntu
日本語ユーザーにとって日本語入力や日本語の表示は必須機能です。「Ubuntu」は日本語環境も充実しており、インストール時に日本語環境を自動的に構築してくれます。
そして「Ubuntu」の日本語ユーザーを支援しているUbuntu Japanese Teamコミュニティーにより、日本語ユーザー向けの情報や、ユーザー参加型のフォーラムが提供されています。
自分一人では解決できない疑問や質問、そして相談を、日本語ユーザー同士でやり取りする場が提供されています。
インストールが簡単
誰でも簡単に利用できるOSを目指して開発されているため、多くの人にとって扱いやすいOSです。インストールも難しくありません。
初心者にとってハードルになり易いインストール作業も、お任せでインストールする機能を提供しており、画面の案内に従って操作していけばインストールが完了します。
Canonicalによる強力な支援
「Canonical(カノニカル)」は、「Ubuntu」の商用サポートや「Ubuntu」に関連したサービスを展開する法人です。「Ubuntu」の開発に多大な支援を行っています。
「Ubuntu」を立ち上げた「Mark Shuttleworth氏」が出資して設立した会社でもあり、「Ubuntu」と「Canonical」には強い結び付きがあります。
また「Canonical」は「Ubuntu」の積極的な開発支援や「Ubuntu」ブランドの展開も行っており、「Ubuntu」やコミュニティーの強力な後ろ盾となっています。
「Ubuntu」をよりモダンなシステムにするために、そしてオープンソースの開発者やユーザにとってより便利な仕組みを提供するために、新たな仕組みを開発し「Ubuntu」に投入しています。
初心者からエキスパートまで
「Ubuntu」は、「初心者専用」のOSではありません。「初心者でも扱える」OSであり、「Ubuntu」のターゲット層は非常に幅広く設定されています。
初心者でも扱えるように様々な工夫がなされていますが、深い所を知りたければ下は「Linux Kernel」から上はアプリケーションまで、ユーザーは自由に手を延ばすことができます。
足を突っ込んだら底なし沼だった、頼んでないのにそんな経験だってできます。
デスクトップ環境にサーバーのソフトウェアをインストールし、サーバーの機能を利用することもできます。
デスクトップでもありサーバーでもある環境を構築することもできます。
「Ubuntu」はGUI環境だけでなく、元々充実しているCUI環境も共存して利用できます。
テキストの編集にGUIアプリの「gedit」を利用しても良いですし、CUIの「vim」や「nano」を利用することも可能です。
このように柔軟性のある使い方が実現できます。
もちろん難しいことを行うにはそれ相応の知識が必要ですが、新たな知識を手に入れる良い機会となるでしょう。
フレーバーでさらに幅が広がる
「Ubuntu」にはフレーバーという仕組みがあり、デスクトップ環境を入れ替えたり、特定の地域向けに最適化されたOSが提供されています。「Kubuntu」や「Xubuntu」、「Lubuntu」など、「Ubuntu」には数多くのフレーバーが存在します。
いずれのフレーバーもベースは「Ubuntu」と同じであるため、扱いやすさはさほど変わりません。
軽量なOSが使いたければ「Lubuntu」を選択したり、モダンでカスタマイズの幅が広いユーザーインターフェースを満喫したければ「Kubuntu」を選択するなど、フレーバーによりユーザーの選択肢に幅ができます。
1.Ubuntuが動作するPC
「Ubuntu」を動作させるには、以下のハードウェアが必要です。項目 | 推奨するハードウェア |
---|---|
CPU | デュアルコアCPU 2GHz以上 |
メモリー | 2GB以上 |
HDD | 25GB以上の空き容量 |
DVD | ライブDVDから起動する場合に必要 |
USB 2.0 | ライブUSBから起動する場合に必要 |
ネットワーク | インターネットに接続できる環境(推奨) |
公式サイトでは上記スペックを推奨していますが、上記スペックそのままではパフォーマンスに不満が出るかもしれません。
1ランクから2ランク上の環境を用意すると良いでしょう。
CPU
「Intel Core 2 Duo」世代が基準になります。「Intel Core i7/i5/i3」シリーズがお勧めです。
メモリー
使用するアプリケーションや作業に合わせて、必要とするメモリーの容量が変わってきます。できれば4GBは欲しいところです。
8GBもあれば十分です。
GPU
デスクトップ環境である「GNOME」が「OpenGL」を使用するため、「AMD Radeon HD 5000」シリーズ程度の性能が欲しいところです。「AMD Radeon HD 7700」シリーズなら十分です。
「Windows 7」の「Aero」が快適に動作するPCであれば、大丈夫でしょう。
ただし「AMD」「NVIDIA」「Intel」以外のGPUや古いGPUは、ドライバーのサポートに不安があるため避けたほうが良いです。
ストレージ
ストレージの性能は、ユーザーが体感するパフォーマンスに直接的な影響を与えます。SSDがお薦めですが、HDDでも良いです。
性能が十分かどうかは試用して決める
性能が十分かどうかは、実際に「Ubuntu」を試用して決めると良いです。2.ディスクイメージをダウンロードしよう
以下から「Ubuntu」のディスクイメージをダウンロードしてください。2-1.リリースノートを読もう
ディスクイメージをダウンロードしている間に、リリースノートを読みましょう。リリースノートには、変更点やサポート期間、既知の不具合等が記述されています。
リリースノートは上記のリンク先で紹介しています。
また「Ubuntu Desktop」に関する情報を以下で紹介しています。
3.ライブメディアを作ろう
ディスクイメージをダウンロードしたら、ディスクイメージからライブメディアを作成します。このライブメディアから「Ubuntu」を起動します。
3-1.ライブメディアとは
「Ubuntu」はDVDメディアやUSBメモリーから起動することができます。「Ubuntu」が起動するDVDメディアやUSBメモリーのことをまとめてここではライブメディアと表現しています。
ライブメディアは「Ubuntu」のインストールや試用に利用します。
3-2.ライブメディアの種類
ライブメディアには、DVDメディアとUSBメモリーの2種類がります。PCが起動に対応しているメディアを選択してください。
詳しくはPCの説明書を確認してください。
おすすめはUSBメモリーです。
USBメモリーは使い回しができ、DVDメディアよりも高速にライブメディアを作成することができます。
USB 2.0以降対応のUSBメモリーでライブUSBメモリーを作成すると楽です。
3-3.ライブメディアで起動したデスクトップ環境について
ライブメディアから起動した「Ubuntu」では、HDDにインストールした「Ubuntu」のようにアプリの利用やインストールが可能です。HDDにインストールした「Ubuntu」とほぼ同様に利用することができます。ただし、その「Ubuntu」で行った「Ubuntu」に対する変更は保存されません。
再起動すれば元の状態に戻ります。
3-4.言語環境について
公式サイトからダウンロードしたディスクイメージを元にライブメディアを作成した場合、日本語環境が含まれていないため英語での利用になります。「Ubuntu 18.04日本語 Remix」がリリースされれば、「Ubuntu 18.04日本語 Remix」のディスクイメージを元にライブメディアを作成し、日本語環境で「Ubuntu」を利用することができます。
ただし「Ubuntu」のインストールやインストール後の「Ubuntu」は、公式サイトからダウンロードしたディスクイメージを元に作成したライブメディアでも、日本語環境で利用できます。
3-5.UbuntuでライブDVDを作成する場合は
「Ubuntu」でライブDVDを作成する場合は、「Brasero」を利用してライブDVDを作成します。ディスクイメージからライブDVDを作成する方法は、以下を参考にしてください。
3-6.UbuntuでライブUSBメモリーを作成する場合は
「Ubuntu」でライブUSBメモリーを作成する場合は、以下のいずれかの方法を利用してライブUSBメモリーを作成します。- UbuntuのライブUSBメモリーを作成するには(Ubuntu/GNOME Disks編)
- UbuntuのライブUSBメモリーを作成するには(Ubuntu/Startup Disk Creator編)
- UbuntuのライブUSBメモリーを作成するには(Ubuntu/UNetbootin編)
3-7.WindowsでライブDVDを作成する場合は
「Windows」でライブDVDを作成する場合は、以下を参考にしてライブDVDを作成します。3-8.WindowsでライブUSBメモリーを作成する場合は
「Windows」でライブUSBメモリーを作成する場合は、以下を参考にしてライブUSBメモリーを作成します。4.Ubuntuを起動しよう
ライブメディアを作成したら、実際に「Ubuntu」を起動してみましょう。ライブメディアから起動した「Ubuntu」は、ほぼフルセットの「Ubuntu」が動作します。
既存のシステムに変更を加えること無く、「Ubuntu」を試しに利用してみることができます。
4-1.どうやってUbuntuを起動する?
ライブメディアをPCに挿入して、PCを起動してください。4-2.Ubuntuが起動しない時は
PCやPCの設定によっては、ライブメディアを挿入しただけでは「Ubuntu」をライブメディアから起動することができません。「BIOS」や「UEFI」では、どの順番でストレージ(HDDやDVDドライブあるいはUSBメモリーなど)に入っているOSを起動するのかを指定することができます。
ライブメディアを挿入しても「Ubuntu」が起動しない場合は、「BIOS」や「UEFI」の設定を確認してください。
DVDドライブやUSBメモリーの優先順位をHDDより上げることで、ライブメディアから「Ubuntu」を起動できるようになります。
これらの設定は、「BIOS」や「UEFI」の設定画面から行います。
4-3.BIOSやUEFIの設定画面を表示するには
OSの起動順を設定するには、「BIOS」や「UEFI」の設定画面を表示する必要があります。多くのPCでは、PC起動時(電源投入時/メーカーのロゴが表示されている最中)に何かしらのキーを押すことで、「BIOS」や「UEFI」の画面を表示することができます。
メーカーやPCのモデルにより押すキーが異なるため、PCの説明書を参考にしてください。
BIOSやUEFIの設定例
例えば「VALUESTAR S(VALUESTAR G タイプS)」の場合、リンク先から以下のことが分かります。「本機の起動時に、OSを起動するデバイスを手動選択する」から、PCの起動時に「F2」キーを連打すれば、「UEFI」の画面が表示できることが分かります。
「Boot」メニューの「1st Boot」に「CD/DVD」を設定すれば、DVDのライブメディアからUbuntuを起動できることが分かります。
同様に「Advanced」メニューの「USB Storage Device Support」を「Enabled」に設定し、「Boot」メニューの「1st Boot」に「USB HardDisk」を設定すれば、USBメモリーのライブメディアから「Ubuntu」を起動できることが分かります。
5.Ubuntuが起動したら(BIOS)
「BIOS」で「Ubuntu」を起動した場合と「UEFI」で「Ubuntu」を起動した場合で、デスクトップ画面が表示されるまでの流れが少し異なります。「BIOS」で「Ubuntu」を起動した時の流れを紹介します。
5-1.起動画面
「BIOS」で「Ubuntu」を起動した時は、起動時に紫色の画面が表示されます。5-2.Welcome画面
Welcome画面が表示されます。 左側の言語一覧を一番したまでスクロールし、「日本語」を選択します。画面が日本語に切り替わります。
5-3.Ubuntuの試用
「Ubuntuを試す」ボタンをクリックします。5-4.デスクトップ画面
以下のようにデスクトップ画面が表示されます。アプリを起動したりインストールするなど、色々いじってみてください。
また「Firefox」を起動し、インターネットに接続できるか確認しておくと良いでしょう。
5.Ubuntuが起動したら(UEFI)
「UEFI」で「Ubuntu」を起動した時の流れを紹介します。5-1.Ubuntuの起動
以下のように黒背景の起動画面が表示されるので、「Try Ubuntu without installing」を選択して「エンター」キーを押します。5-2.デスクトップ画面
以下のようにデスクトップ画面が表示されます。アプリを起動したりインストールするなど、色々いじってみてください。
また「Firefox」を起動し、インターネットに接続できるか確認しておくと良いでしょう。
6.Ubuntuのインストール
「Ubuntu」を試しに使ってみて特に問題がなければ、現在起動している「Ubuntu」からPCに「Ubuntu」をインストールすることができます。6-1.ストレージの確認を
「Ubuntu」のインストールを行う前に、「Ubuntu」をインストールするストレージ(HDD/SSD)を確認しておくと良いでしょう。「Windows」と異なり「Ubuntu」には「C:¥」のようなドライブレターがありません。
ストレージやパーティションの概念は「Windows」と同じですが、ストレージや各パーティションの命名規約(識別子)が異なります。
ここではストレージや各パーティションの確認方法を紹介します。
6-2.Diskの起動
ストレージや各パーティションの確認は、「Disks」から行います。画面左上の「Activities」をクリックし、以下のように「Disks」を検索します。
「Disks」が見つかるので、「Disks」をクリックし「Disks」を起動します。
6-3.ストレージとパーティションの確認
以下のように認識されているストレージの一覧と、選択されたストレージのパーティションの一覧が表示されます。1.ストレージ一覧
現在PCに接続され認識されているストレージの一覧が表示されます。2.パーティション構成
「1.」で選択されたストレージのパーティション一覧が表示されます。3.パーティションのデバイスファイル
「2.」で選択されたパーティションのデバイスファイルが表示されます。このデバイスファイルにストレージとパーティションの識別子が含まれています。
例えば上記の例では「/dev/sda1」と表示されています。
この時「sda」がストレージの識別子になります。
また「sda1」がパーティションの識別子になります。
言葉で表現すると、「sda」というストレージの「1」番目のパーティション、という意味になります。
インストール時、インストール先の情報にこの識別子が使われるため、これらの識別子を覚えておくと良いでしょう。
6-4.Ubuntuをインストール前に
「Ubuntu」をインストールする前に、重要なデータは必ずバックアップしておいてください。またインストール後の手間を省くため、できればインターネットに接続している状態で「Ubuntu」のインストールを行ってください。
6-5.Ubuntuのインストールへ
「Ubuntu」をインストールする方法は、「BIOS」で起動するPCと「UEFI」で起動するPCで少し手順が変わります。それぞれのインストール方法は、以下を参照してください。