Ubuntu 18.10 その8 - ShotwellとRhythmboxをGNOMEのモダンなアプリに置き換える提案

ShotwellとRhythmboxをGNOMEのモダンなアプリに置き換える提案

「Ubuntu」では、デフォルトのアプリケーションに写真や画像を管理する「Shotwell」と音楽の管理や再生を行う「Rhythmbox」を採用しています。
これらのアプリを「GNOME」が提供するモダンなアプリに置き換える提案が行われています。

• 18.10 Suggestion: drop “old” apps and go full GNOME

置き換え先は以下が提案されています。

RhythmboxとGNOME Music

「Rhythmbox」は「GNOME Music」よりも多機能であり、ローカルの音楽を再生するだけでなく、MP3ドングルとの連携や、オンラインラジオ局やLast.fmのサポート、ネットワーク上で音楽を共有する機能を備えています。

一方「GNOME Music」は、ローカルの音楽を再生する機能に特化しており、非常にシンプルな音楽プレーヤーです。（一つのことをうまくやる）


「GNOME Music」のデザインは「GNOME Shell」のポリシーに沿うデザインであり、アルバム一覧のグリッド表示や「CSD」を採用したデザインなど、モダンなデスクトップに相応しいデザインを提供しています。
（ただし「Rhythmbox」もプラグインにより「CSD」を採用しています。）

「GNOME Music」は「Rhythmbox」と比較して機能が少ないですが、オンラインラジオを利用したいユーザーは別途「Internet Radio」などのGNOME Shell拡張を利用したり、後から目的に合う別のアプリをインストールすることも可能です。

また「Rhythmbox」は安定性に課題があり、ユーザーの音楽の聴取方法もMP3ドングルとの連携やローカルの音楽再生よりも、「Spotify」や「Youtube」といったオンラインストリーミングサービスの利用へと変化しつつあり、「Rhythmbox」の機能は以前ほど有用ではなくなってきています。

ShotwellとGNOME Photos

「GNOME Photos」のデザインは「GNOME Shell」のポリシーに沿うデザインであり、メニューを廃し「CSD」を採用することで、画面の縦方向のスペースを有効に活用することができます。


また「GNOME Photos」はGNOMEコアアプリケーションの1つであり、「GNOME」の各リリース毎に頻繁なアップデートを行っています。

「GNOME Photos」も「GNOME Music」同様にシンプルなアプリであり、「Shotwell」のような高度な写真の管理機能は提供していません。

良くメンテナンスされているモダンなアプリを

「Ubuntu」はデスクトップ環境に「GNOME」を採用しており、モダンな「GNOME」デスクトップに合うモダンな「GNOME」のアプリの採用は、「Ubuntu」にとって合理的/必要なことではないか？とのことです。

また多機能さよりも、デスクトップと統合されたデザインに重きを置いた提案です。

デザインか、それとも機能か

ユーザーにとって必要な機能が提供されていないアプリは、インストールされていないのも同然です。

「GNOME Music」や「GNOME Photos」が提供する機能は非常にシンプルであり、この提案に対し機能不足に関する懸念や反対が挙げられています。
デフォルトのアプリを置き換えるなら、既存のアプリが提供する機能と同程度の機能を合理的な範囲で提供するアプリが好ましく、あまり良い反応を得られていません。

またデフォルトのアプリの変更は数百万の「Ubuntu」ユーザーに影響を与え、変更を適用した「Ubuntu」のリリース後、ユーザーから変更に対する反発が起きる可能性が高く、また「Ubuntu Desktop」では過去にこれに類似した経験もあります。
つまりデフォルトの変更は、十分に練られた移行計画と共にリスクに対するテストを行う必要があり、慎重に吟味する必要があります。

デザインと機能の両方を兼ね備えたアプリが一番良いのですが、現状そのようなアプリは見当たりません。