Lubuntuはどこに向かうのか
以前紹介したように、「Lubuntu 18.10」ではデスクトップ環境が「LXDE」から「LXQt」に変わります。また32bit版の開発及びサポートに関し、「Lubuntu」開発チームは公式ブログにてその見解を表明しました。
その内容は以下を参照してください。
さて「Lubuntu」開発チームは、その過程でユーザーから様々なフィードバック(意見)を受け取りました。
そこで開発チームは「Lubuntu」が目指す方向性に関し、以下で見解とその見解に至った経緯や理由を説明しています。
Lubuntuが目指す先
「Lubuntu」開発チームの主要な焦点は、古いハードウェア向けに「Lubuntu」を提供することから、ユーザーのワークフローを妨げる要素を排除し、機能的な「Lubuntu」を提供することに変わります。目標の核となる部分は、以下の通りです。
- 機能的なUXを提供するため、モダンなQtベースの技術やプログラムを活用する
- 引き続き透明性を確保し、開かれたディストリビューションであり続け、コミュニティーと情報の共有を行う
- 初心者から上級者までLubuntuを活用し、そして開発に貢献できるよう、ドキュメントを整備する
- デフォルトでは軽量なUXを提供し、ユーザーが好みに応じて高度な機能を利用できるようにする
- 多言語を扱えるようにし、協力者がOSのすべてのコンポーネントを簡単に翻訳できるようにする
「Lubuntu」は引き続き軽量なディストリビューションとして提供されます。
古いハードウェアを利用しているユーザーにとっても引き続き「Lubuntu」は利用できるしょう。
しかし開発チームは今後、最小システム要件を提供しません。
また古いハードウェアを念頭に置いた取り組みも行いません。
経緯や背景
時間の経過と共に10年前のPCは性能が向上していく
特に古いハードウェア向けにLinuxディストリビューションを開発することは、困難なことになりつつあります。時間が過ぎゆく中で、”古いマシン”の定義は変化していきます。
開発チームは、10年前のマシンのサポートを慣例としていました。
例えば今から10年前に販売されたとある「AMD Phenom X3」搭載PCを見てみると、CPUは2コアを搭載し、メモリーは2GB搭載しています。
また64bitのアーキテクチャー(amd64)もサポートしています。
5年前を基準にその時点での10年前のマシン(つまり今から15年前)に販売されたPCと比較すれば、5年分”古いマシン”は”新しいマシン”へと移り変わっています。
リソースの消費量とアーキテクチャー
例えばシングルコアのCPUと2GBのメモリーを搭載した環境(QEMU)にて、「Kubuntu 18.04.1(64bit/amd64)」と「Kubuntu 18.04.1(32bit/i386)」 のリソース使用量を比較してみましょう。「LibreOffice」を起動し「Firefox」で「Lubuntu公式サイト」を開いている状態でリソースの使用量を比較すると、以下のようになります。
項目 | 32bit版 | 64bit版 |
---|---|---|
アイドル時のCPUの使用率 | 6% | 7% |
メモリーの使用率 | 790MB | 1GB |
32bit版のリソース使用量を見て、メモリーの使用量が少ない分もっと効果的にシステムを活用できるなど、利点を感じるでしょう。
しかし「Lubuntu」だけがかつて10年前のハードウェアをサポートするために取り組んできたことは、今や他のディストリビューションでも実現できます。
2021年
「Lubuntu 18.04」のサポートは、2021年4月に終了します。今から約3年後、32bitアーキテクチャーや古いハードウェアを取り巻く状況はどのように変化しているのでしょうか。
これらの状況は「Lubuntu」開発チームに多くの議論をもたらすことになりました。
そして「Lubuntu」 開発チームは、今の市場に追従し適応して行くこと、そして「前に進むこと」を決断しました。