Ubuntu Desktop 18.10へようこそ!
「Ubuntu Desktop」の注目機能が以下で紹介されています。次のLTSへの布石
「Ubuntu 18.10」は通常リリースであり9ヶ月のサポート期間が提供されます。そして通常リリースの「Ubuntu」は、次のLTSリリースである「Ubuntu 20.04 LTS」への布石となります。
「Ubuntu 20.04 LTS」は2020年4月にリリース予定です。
Ubuntu Desktop 18.10
「Ubuntu Desktop 18.10」の「GNOME」は、最新のGNOMEスタックにアップデートされており、改良されたSnapをデスクトップ上で利用できます。また機能や使い勝手の改良も行われており、コミュニティーにより開発された素晴らしい「Yaru」テーマを採用しています。
AMD製GPUのサポート改善
「Linux kernel 4.18」の採用により、「AMD Radeon RX Vega M GPU」がサポートされています。アップデートされた「linux-firmware」パッケージでは、「AMD GPU」に関連するバイナリーが含まれるようになっており、「AMD GPU」のサポートが大きく改善されています。
「Ubuntu」をインストールするだけで、すぐに「AMD GPU」を活用することができます。
また「AMD」の協力のおかげで、アップストリームの「Linux kernel」にGPUサポートのコードが取り込まれました。
OpenSSL 1.1.1
「OpenSSL 1.1.1」の採用により、「TLS 1.3」のサポートが有効になっています。「TLS 1.3」により、より高速で安全な通信を実現できます。
GNOME 3.30
「GNOME 3.30」の採用により、機能の改善やパフォーマンスの改善、新機能の追加が行われています。また「GNOMEコアアプリケーション」もアップデートされています。
VeraCryptのサポート
「GNOME Disks(ディスク)」は「VeraCrypt」で暗号化されたストレージボリュームを復号しマウントできるようになりました。これにより、より安全にデータの共有が可能になります。
Thunderboltの管理パネル
「Settings(設定)」に「Thunderbolt」デバイスを管理する新しいパネルが追加されました。また各ハードウェアに関連するパネルは、そのハードウェアが検出されたときのみ表示されるようになりました。
GNOME Shellのパフォーマンス改善
より多くのシェル要素がGPU RAMにキャッシュされるようになり、CPU/GPUの負荷が減り、フレームレートが向上しました。デスクトップズームはよりスムーズになり、ウィンドウプレビューのスムージング処理がCPU/GPUの負荷の状況を配慮するようになりました。
処理中など高負荷なアプリのウィンドウプレビュー表示時に、ウィンドウプレビューのスムージング処理がシステム全体に影響を与えないようになりました。
その他
その他の新機能や改善です。エラーレポート
エラーレポートを送信する際、ユーザーの選択肢を記憶しておくオプションが追加されました。チェックをオンにすると、それ以降クラッシュレポートが自動的にエラートラッカーに送信され、不具合の特定や修正の優先順付けに役立てられるようになります。
このオプションはすでに「Settings(設定)」で設定可能になっていますが、エラーレポートにこのオプションを追加することでユーザーに何が起きるのか、状況をより分かりやすく表現することができます。
Yaruテーマの採用
「Ubuntu Desktop 18.10」では、コミュニティーが開発した「Yaru」テーマがデフォルトのテーマになっており、今までとは大きく異なる印象をもたらしています。指紋認証によるロック解除
「Ubuntu Desktop 18.10」では、「Fingerprint」スタックである「fprintd」と「libfprint」が「main」に配置されました。「Fingerprint」は、すでにログインしているユーザーのセッションをアンロックする時に利用することができます。
新規セッションにログインする時に利用する機能ではありません。
指紋はユーザー名と同等のものである、ただしパスワードと同等のものではない、というセキュリティー上の考え方があります。
ユーザーはすでに自動ログインするかどうか、パスワードでスクリーンをロックするかどうか、設定を選択することができます。
「Fingerprint」もこれと同等です。
「Fingerprint」を利用するには、指紋の読み取りデバイスに対応したドライバーが提供されている必要があります。
XDG Portals
「Snap」のようなサンドボックス化されたアプリケーションは、ホストシステム上のリソースへのアクセスに制限があります。Portalsは、そのようなアプリのリソースへのアクセスを管理及び制御できるようにする仕組みです。
デスクトップ上で動作するサンドボックス化されたSnapアプリにとってPortalsの「Snap」サポートは、使い勝手を改善する上で重要なサポートになります。
アップストリームのPortalsプロジェクトでSnapのサポートが追加され、そのサポートが「Ubuntu 18.10」で利用できるようになりました。
「Ubuntu 18.10」でこの機能のテストが十分に行われれば、「Ubuntu 18.04 LTS」にもバックポートされるでしょう。
そしてより多くのアプリが将来的にこの機能を活用できるようになります。
GNOMEソフトウェアのデザイン
「GNOMEソフトウェア(Ubuntuソフトウェア)」のUIデザインを改良するための議論が行われました。この議論では、ソフトウェアのプロモーションに関する新しいアイデアの創出と、「GNOMEソフトウェア」内のアプリケーションページのレイアウトを改良する方法が検討されました。
デザインの調整はアップストリームの開発者により継続的に行われていますが、そのいくつかの実装はすでに「GNOMEソフトウェア」に取り込まれています。
今後「Ubuntu 19.04」の開発では、「GNOMEソフトウェア」がアプリやアップデートの情報をもっと見せられるよう、より多くの改良が為される予定です。
- Report from the GNOME Software design sprint
- Custom header artwork for the app view
- “Magazine” view for front page
GS Connect
「GS Connect」は、接続されたスマートフォンとの連携を「GNOME Shell」上で行えるようにするGNOMEシェル拡張です。最初「GS Connect」をデフォルトでインストールする予定でしたが、「GS Connect」のコードの書き直しが行われており、「Ubuntu 18.10」の開発後期でその新しいコードを取り込むにはリスクが高くデフォルトのインストールから外されました。
しかし「GS Connect」はパッケージ化されており、「universe」に配置されています。
そのためユーザーは「GS Connect」を以下のコマンドでインストールすることが可能です。
sudo apt install gnome-shell-extension-gsconnect
将来的に「GS Connect」は「main」に配置され、デフォルトでインストールされる日が来るでしょう。
Ubuntuユーザーの統計情報の公開
以前紹介したように「Ubuntu」では、収集したユーザーの統計情報を公開するウェブサイトの構築に取り組んできました。そのウェブサイトが公開されました。
ウェブサイトでは、「Ubuntu Report」の調査結果が公開されています。
世界中のどこにでも「Ubuntu」ユーザーがいることが分かります。
メディアの共有
開発チームは「Ubuntu 18.10」で「DLNA」サーバーの機能をデフォルトでデスクトップに追加したいと考えていました。これを実現するには、「universe」に配置されている「DLNA」関連のパッケージを「main」に移す作業が必要になります。
この作業では「Ubuntu」の開発者によるレビューが必要であり、レビューではセキュリティー、コードの品質、保守性といったソフトウェアの品質を示す指標が満たされているかどうか確認が行われます。
しかしこれらの作業を完遂するには時間が足りず、「Ubuntu 18.10」では「DLNA」サーバーの搭載を諦めました。
今後「Ubuntu 19.04」でこれが実現可能かどうか、再度検討が行われます。
Hyper-V
以前「Hyper-V」で簡単に「Ubuntu 18.04 LTS」を利用できるよう、「Hyper-V」に最適化された「Ubuntu 18.04 LTS」イメージの提供が行われました。「Ubuntu 18.10」でも同様に、近々「Ubuntu 18.10」のイメージが提供される予定です。