Mir 1.1のリリースに向けて
近々「Mir 1.1」がリリースされる予定です。Mirとは
「Mir」は次世代のディスプレイサーバーです。デスクトップやモバイルデバイス、そしてIoTまで、幅広い分野をサポートするディスプレイサーバーです。
デスクトップPCから見れば、既存のXサーバーを置き換えるソフトウェアになります。
「Mir」に関する詳細は、以下を参照してください。
- 公式サイト:Mir Display Server
- ユーザー向けドキュメント:Getting and Using Mir
- 開発者向けドキュメント:Welcome to Mir
- GitHub:MirServer/mir
- コミュニティー:Mir category
X11の試験的なサポート
「Mir 1.1」では、X11の試験的なサポートが行われます。元々X11のサポートは「UBports」のコミュニティーメンバーによる貢献から始まりました。
現在「Mir」と「UBports」の開発チームはもっと優先度の高いタスクがあるため、この対応状況はしばらく続くものと思われます。
ソースコードに関心があるなら、以下を参照してください。
デスクトップ向けシェルに必要な機能
X11のサポートは、デスクトップ向けシェルに必要な機能です。来年のある時点でデスクトップ向け「Unity 8」や「Wayland」に移植作業を行っている「MATE」がこの機能を必要とするでしょう。
また「Ubuntu Touch」のデスクトップモードでもこの機能が利点につながるでしょう。
NVIDIAサポート
「NVIDIA GPU(ドライバー)」の「EGLStream」サポートが行われます。ただし現在のサポートには、いくつか制限や注意事項があります。
ドライバーバージョンの制限
「Mir 1.1」の「NVIDIA」サポートは、バージョン「396」以降のNVIDIAドライバーに依存しています。ここでいうNVIDIAドライバーとはプロプライエタリーなドライバーのことであり、オープンソースのドライバーのことではありません。
現在「Ubuntu」のリポジトリーでバージョン「396」以降のNVIDIAドライバーを提供している「Ubuntu」のバージョンは、開発中の「Ubuntu 19.04」のみです。
「Ubuntu 19.04」では「nvidia-driver-410」パッケージでNVIDIAドライバーを提供しています。
現在サポートされている「Ubuntu」では、「396」以降のNVIDIAドライバーを提供していません。
そのため既存の「Ubuntu」では、以下のPPAを利用して新しいNVIDIAドライバーを利用する必要があります。
プラットフォームとアーキテクチャーの制限
開発チームが想定しているNVIDIAプラットフォームでのみビルドを行っており、アーキテクチャーは「amd64」と「i386」が対象になります。egmstream-kmsのインストール
「egmstream-kms」プラットフォームは「mir-graphics-drivers-desktop」パッケージ経由でインストールされなくなりました。代わりに「mir-graphics-drivers-nvidia」パッケージ経由でインストールされます。
NVIDIAサポートを試すには
1.NVIDIA GPUの用意
NVIDIAサポートを試すには、NVIDIA GPUが必要です。2.ドライバーの準備
「396」以降のNVIDIAドライバーが必要です。「Ubuntu 19.04」なら「nvidia-driver-410」パッケージを利用できます。
「Ubuntu 18.04」なら以下のコマンドで「“Graphics Drivers” team PPA」を追加して新しいNVIDIAドライバーを利用します。
sudo apt-add-repository --update ppa:graphics-drivers/ppa
3.開発版Mirとドライバーのインストール
以下のコマンドを1行ずつ実行し、開発版Mirとドライバーをインストールします。
sudo apt-add-repository --update ppa:mir-team/dev
sudo apt install mir-demos mir-graphics-drivers-nvidia nvidia-driver-410
sudo apt install mir-demos mir-graphics-drivers-nvidia nvidia-driver-410
4.miral-appの実行
「miral-app」を実行します。
miral-app
MATEのWayland/Mirへの移植
先ほど紹介した通り、MATEのWayland移植作業が行われています。この作業では「Layer Shell」Wayland拡張のため「Mir」のABI変更が必要になります。
「Mir 1.1」のリリースはこの変更のレビューが完了する前(変更が適用される前)に行われる可能性がありますが、もしその場合でもレビュー完了後に別途リリースが行われるでしょう。