10年サポートはESMによる提供か
以前紹介したように「Ubuntu 18.04 LTS」で10年間のサポート期間を提供するとのアナウンスが行われました。- Ubuntu 18.04 LTS、10年間のサポートを表明・サポート内容やサポート方法の詳細はまだ不明
- Wiki Page “Releases” is out of date after Shuttleworth announcment
「Ubuntu 18.04 LTS」は2018年4月にリリースされた現在最新のLTS版「Ubuntu」です。
LTS版「Ubuntu」では、リリースされてから5年間の無償サポート期間が提供されます。
つまり「Ubuntu 18.04 LTS」は、2023年4月まで無償サポートが提供されることになります。
Ubuntuのアップグレード
サポート期間は有限であり、「Ubuntu」のサポートが切れる前にサポート中の新しい「Ubuntu」への移行が必要になります。しかし特に法人では、システムを簡単にリプレースやアップグレードできない事情が存在します。
そのようなケースでは、移行のために5年を超えるサポート期間が必要になるでしょう。
ESMによる有償サポート
「Canonical」では、「Ubuntu」の無償サポート期間が終了した後も一部のパッケージに対し継続的にセキュリティーアップデートを提供する「ESM(Extended Security Maintenance)」有償サービスを展開しています。このサービスは「Ubuntu」の移行を支援するサポートサービスです。
「ESM」の詳細に関しては、以下を参照してください。
「ESM」はLTS版「Ubuntu」に対し提供されるサービスであり、「Ubuntu 18.10」など通常リリースの「Ubuntu」は「ESM」の対象外です。
現在「ESM」が提供されている「Ubuntu」は、「Ubuntu 12.04 LTS」のみです。
将来的に「Ubuntu 14.04 LTS」も「Ubuntu 14.04 LTS」のサポート期間終了後に、「ESM」による有償サポートが提供される予定です。
捕捉
「ESM」によるアップデートが提供されている「Ubuntu」では、「Ubuntu」のバージョンの後に「ESM」が付きます。例えば「Ubuntu 12.04」は「ESM」によるアップデートが提供されている「Ubuntu」であるため、「Ubuntu 12.04 EMS」と表記されます。
ESMのサポート期間
有償サポートとは言え、「ESM」にもサポート期間が設定されています。現在のサポート期間
現時点で「Ubuntu 12.04 EMS」は、2年間のサポート期間が設定されています。「Ubuntu 12.04 LTS」は2012年4月にリリースされ、5年間の無償サポートが提供されていました。
つまり2017年4月まで無償サポートが提供されていました。
その後「ESM」による有償サポートに切り替わり、2年間の有償サポートが提供されています。
つまり2019年4月まで「ESM」による有償サポートが提供されます。
「Ubuntu」の無償サポート期間や「ESM」のサポート期間は、以下でまとめられています。
「Ubuntu 14.04 EMS」と「Ubuntu 16.04 EMS」は、3年間のサポート期間が設定されています。
Ubuntu 18.04のサポート期間
「Ubuntu 18.04(.x) LTS」を見ると、5年間の無償サポート期間が設定されています。「Ubuntu 18.04 ESM」を見ると、5年間の「ESM」による有償サポート期間が設定されています。
「Ubuntu 18.04 LTS」の5年間の無償サポート期間と5年間の有償サポート期間を組み合わせれば、10年間のサポート期間となります。
無償サポート期間は5年間から変わっていないため、「Ubuntu 18.04」の無償サポート期間は5年間から変わらないと見たほうが良いでしょう。
ESMサポート対象のパッケージ
「ESM」によるアップデートの提供は、一部のパッケージのみが対象です。つまり無償サポート期間中に提供されるアップデートと同じアップデートは提供されません。
サポート対象のパッケージを調べるには
現在「ESM」が適用されている「Ubuntu」は「Ubuntu 12.04 EMS」のみですので、「Ubuntu 12.04 EMS」で提供されるパッケージを見てみましょう。サポート対象のパッケージは、以下で参照できます。
上記で紹介されているパッケージは、ソースパッケージです。
これらのソースパッケージから生成されたバイナリーパッケージがアップデートとしてユーザーに届けられます。
デスクトップユーザーには不向き
上記のサポート対象パッケージの一覧を見て分かる通り、「Firefox」などデスクトップユーザーが期待するソフトウェアは含まれていません。サーバー向けなどコアパッケージがサポート対象になっています。
有償サポートということもあり、個人のデスクトップユーザーが利用するには不向きな内容でしょう。