Ubuntu Touch OTA-7がリリースされました
2019年1月8日、「Ubuntu Touch OTA-7」がリリースされました。Ubuntu Touchとは
「Ubuntu Touch」は、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイス向けに最適化されたOSです。ユーザーのプライバシーと自由を尊重したOSです。
「Ubuntu Touch」は「Ubuntu」ベースのOSであり、「UBports」コミュニティーにより開発が行われています。
外部ディスプレイとキーボード、そしてマウスをモバイルデバイスに接続すれば、UIがデスクトップ向けのUIに変化し、デスクトップとして活用することもできます。
つまり1つのモバイルデバイスで、モバイル環境とデスクトップ環境を利用することができます。
「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスや、各デバイスで利用可能な機能及び制限は、以下を参照してください。
Ubuntu Touch OTA-7の提供
「Ubuntu Touch OTA-7」は、「Ubuntu Touch」がサポートしているすべてのデバイスに対して提供されます。上記でも紹介していますが、「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスは、以下を参照してください。
「Ubuntu Touch OTA-7」がリリースされたのは2019年1月8日ですが、すべてのデバイスに対して一斉にアップデートが提供されるわけではありません。
2019年1月8日から5日間掛けてすべてのデバイスにアップデートが提供されます。
つまり2019年1月8日〜2019年1月13日の期間にアップデートが提供されます。
Ubuntu Touch OTA-7の新機能と変更点
「Ubuntu Touch OTA-7」の新機能と変更点です。1.キーボードテーマのサポート
ユーザーがキーボードのテーマを変更できるようになりました。またデフォルトで9つのキーボードテーマが含まれています。
このキーボードテーマには、ライト系とダーク系のテーマ、そしてボーダー付きのデザインとフラットデザインのテーマが含まれています。
キーボードテーマは「Settings -> Language & Text -> Keyboard theme」から変更できます。
またキーボード上にある「Language」ボタンを長押しすれば「Language & Text」へのショートカットとなり、そこから「Settings」を選択してキーボードテーマを変更することも可能です。
2.リトアニア語キーボードレイアウトの追加
リトアニア語キーボードレイアウトが追加されました。3.スイス・フランス語のキーボードレイアウトの修正
スイス・フランス語のキーボードレイアウトが正常に読み込めない問題が修正されました。4.Morph Browserの改良
ブラウザーでは、以下の問題が修正されています。- ブラウザーウィンドウを閉じると、ブラウザー自身も終了する
- ウィンドウを閉じると、新しいブラウザーセッションが再度開かれる
また以下の改良が行われています。
- タブスイッチャーから現在のタブを閉じる機能の追加
- 動画を再生中にデバイスのスリープを阻止する機能の追加
- ページごとのズーム設定とデフォルト設定オプションの追加
詳細は以下を参照してください。
- close current tab / close single window
- "keep display on" for audio playback and fullscreen (video)
- update user agent before accepting mainFrame navigation requests.
- default zoom factor for webbrowser is configurable in settings
5.Nexus 4向けの改良
「Ubuntu Touch OTA-5/OTA-6」で含まれていなかったカーネルモジュールが有効化されました。これにより「Nexus 4」でより多くの暗号化システムが利用できるようになりました。
6.Nexus 7 2013 Wifi向けの改良
以前の「Ubuntu Touch」では、「Nexus 7 2013 Wifi」モデルに「Ubuntu Touch」を正常にインストールすることができませんでした。「Ubuntu Touch OTA-7」でこの問題が修正されました。
「Nexus 7 2013」のあるリビジョンから、新しいメモリーチップが採用されました。
この変更は「Google」が「Android 5.1」を搭載した「Nexus 7」が出荷された頃に行われた変更です。
そのため「Android 5.1」を搭載したほとんどのデバイスは、この新しいメモリーチップを採用しています。
「Ubuntu Touch」は今までこの新しいメモリーチップをサポートするようにアップデートされていなかったため、インストールの問題が発生していました。
7.Libhybrisのアップデート
「Libhybris」は、AndroidドライバーとGNU libcベースのユーザースペースを橋渡し(翻訳)するためのツールです。最新の「Libhybris」を採用し、安定性やパフォーマンスの改良が行われました。
Ubuntu Touchをより多くのデバイスへ
新しいAndroid Nリンカーにより、「Android 7.1」デバイスから多くのドライバーを「Ubuntu Touch」から利用できるようになります。加えて新しい「android-caf」Mirプラットフォームが導入されました。
これにより「Mir」は「Android 7.1」デバイス上の「Qualcommディスプレイドライバー」が利用できるようになります。
上記の利点により、「Halium」を活用し新しいデバイスに今までよりも非常に簡単に「Ubuntu Touch」を移植できるようになります。
Changelog
変更点の詳細です。- Add themes to on-screen keyboard: ubports/keyboard-component#57 and ubports/system-settings#117
- Fix issue with mobile network dropping after a call on Pro 5: ubports/telepathy-ofono#3
- Fix a problem where low-RAM devices (Bq E4.5 and E5) would run out of memory, killing Unity8: ubports/lxc-android-config#20
- Fix issue causing Swiss-French keyboard not to load: ubports/keyboard-component#61
- Add Lithuanian keyboard layout: ubports/keyboard-component#55
- Switch online account logins to use QtWebEngine, breaking Oxide dependency: ubports/ubuntu-system-settings-online-accounts#6
- Upgrade to upstream Libhybris: upborts/libhybris#7
- Add support in Mir for Android 7 on Qualcomm phones: ubports/mir#12
- Fix problem where closing a single browser window would close the entire browser: ubports/morph-browser#131
- Fix problem where some closed windows would be reopened in new browser sessions: ubports/morph-browser#131
- Add ability to close the current tab from the tab switcher view: ubports/morph-browser#131
- Prevent the device going to sleep while a video is playing: ubports/morph-browser#132
- Fix desktop mode not being respected in first tab: ubports/morph-browser#120
- Add options for default and per-page zoom: ubports/morph-browser#89
- Fix an issue where some drivers and cryptographic ciphers weren't available on the Nexus 4: ubports/ubuntu-touch#996
- Enable installation of Ubuntu Touch on those Nexus 7 2013 Wi-Fi handsets which shipped initially with Android 5.1: ubports/ubuntu-touch#300
Ubuntu Touch OTA-7の既知の問題
既知の問題です。1.ビューファインダーがフリーズする
「Nexus 5」で写真撮影時に「viewfinder」がフリーズします。類似した問題が「Oneplus One」及び「Nexus 4」でも報告されています。
- [Xenial] Opo camera viewfinder stays on last photo
- camera app freezes after taking some pictures (in quick sequence?)
回避策
「viewfinder」がフリーズしても写真の撮影は引き続き可能です。アプリを切り替えカメラに戻れば、「viewfinder」が復帰します。
2.選択範囲を開くとブラウザーが終了する
「BQ M10」や「Nexus 7」など大きい画面のデバイスで、横(ランドスケープ)モードでブラウザーを起動し選択範囲を開くと、ブラウザーが終了します。回避策
ブラウザーを三本指で右側にドラッグするか、デバイスをポートレートモードで使用すれば回避できます。3.キーボードの入力タイプが更新されない
ブラウザーでテキストボックス間を移動すると、キーボードの入力タイプが更新されません。回避策
テキストボックスを移動する前にキーボードを閉じるか、テキストボックス以外の場所をタップすれば回避できます。4.ブラウザーで選択された範囲が新しいウィンドウで表示される
ブラウザーで選択された範囲が新しいウィンドウで表示されます。この問題は「Mir」の新バージョンを採用するまで残ったままになるでしょう。「Mir」の新バージョンは、「OTA-8」で採用される予定です。
5.ダイアログが画面からはみ出す
一部のダイアログは、キーボードを表示すると画面からはみ出します。この問題の修正が以下で提案されています。
しかし以下のテストにパスするまで、上記の修正は適用されません。
Ubuntu Touch OTA-7をインストールするには
「Ubuntu Touch OTA-7」のインストール方法です。stableチャンネルでUbuntu Touchを利用している既存のユーザーは
デフォルトで「Ubuntu Touch」は「stable」チャンネルからインストールされます。ですので既存のユーザーの多くは「stable」チャンネルから「Ubuntu Touch」を利用しているユーザーでしょう。
すでに「stable」チャンネルで「Ubuntu Touch」を利用している既存のユーザーは、「System Settings」の「Updates」画面から「Ubuntu Touch OTA-7」へのアップグレードを受け取れます。
ただし「Ubuntu Touch OTA-7」の提供は、2019年1月8日〜2019年1月13日にかけて行われるため、デバイスによりアップグレードを受け取れる時期が異なります。
今すぐUbuntu Touch OTA-7へアップグレードしたい場合
もし今すぐ「Ubuntu Touch OTA-7」へアップグレードしたい場合は、ADBアクセスを有効にし、「adb shell」上で以下のコマンドを実行してください。
sudo system-image-cli -v -p 0