アートワークとパフォーマンスの改良・Cinnamonのプロセス分離
「Linux Mint 19.1」のリリースと「LMDE 3」に新しいパッケージを移植する作業が完了し、「Linux Mint」開発チームは次のリリースに向けて開発作業を開始しました。3つの分野に注目
開発方針を決めるにあたり「Linux Mint」開発チームは、以下の3つの分野に注目しました。- アートワーク
- パフォーマンス
- Cinnamonのプロセス分離
あくまで検討段階なので、実際に作業に結びつくのか、あるいは実を結ぶのかは、まだまだ先の話になります。
1.アートワーク
アートワークとは見た目に関する分野です。例えばテーマやデザインが該当します。
コントラストの調整
「Linux Mint 19.1」でテーマのコントラストが調整され、文字の視認性が向上しました。さらなるコントラストの調整が検討されています。
デフォルトのフォントの変更
デフォルトのフォントの変更が検討されています。起動画面の変更
ブート画面やスプラッシュスクリーンの一新が検討されています。これは「isolinux」「grub」「plymouth」が対象です。
またライブISOの起動時に、言語とキーボードレイアウトを選択できるようにする改善も検討されています。
Linux Mint公式ウェブサイトの改良
「Linux Mint」公式ウェブサイトでは、モダンなデザインへの追従や、様々なデバイスから問題なくアクセスできるようレスポンシブデザインに適合させる作業が行われています。2.パフォーマンス
「Cinnamon」の内部コンポーネントである「DocInfo」と「Appsys」の見直しが行われています。「DocInfo」は、最近使用したドキュメントを管理するコンポーネントです。
「Appsys」は「cinnamon-menus」と共に使用されるコンポーネントであり、アプリケーションのメタデータを扱います。
アプリをどのように起動するのか、アプリケーションメニューをどのように構築すればよいのか、どのウィンドウがどのアプリと関連しているのか、アプリはどのようなアイコンやアクションを持っているのか、と言った情報がメタデータに該当します。
読み込み時間の多くを占める
これら2種類のコンポーネントは、読み込み時間の多くを占めており、また技術的負債が多くあります。パフォーマンスの改良
アプリケーションメニューから「DocInfo」と「Appsys」を使用していますが、これらの使い方を見直し、より簡潔な使い方に変更することに加え、フレームレートへの影響を軽減できないか検討が行われています。また遅延ローディングの最適化も検討されています。
すべてのアプリケーションカテゴリーの見直し
「すべてのアプリケーション」カテゴリーを、最近使用したあるいは新規にインストールされたアプリケーションを一覧表示するカテゴリーに置き換える案も出ています。これによりメニューのパフォーマンスを向上させることができます。
その他
グループ化されたウィンドウリストとウィンドウマネージャーの改良、そして入力遅延(ラグ)の最適化作業が行われています。また「Cinnamon」のパフォーマンスを計測する「cinnamon-stat-stracker」の開発が行われ、CPUやメモリーの使用量といったリソースを計測できるようになります。
3.Cinnamonのプロセス分離
「Cinnamon」を複数にプロセスに分割する方法が検討されています。具体的な手段の1つとして、アプレットを自身のプロセスで起動し、リモートでアプレットを描画する方法が検討されています。
これは高度な取り組みであり、実現性の検証作業が行われています。
もしこれがうまくいかなかった場合は、アプレットの描画は「Cinnamon」側で引き続き行い、アプレット自身の処理を「dbus-menu」のようにアプレット側に委任するか、引き続き「Cinnamon」とアプレットを一緒に扱い、WMを分離する案が出ています。