Waylandセッションのデフォルト化
「Ubuntu」では、2種類のディスプレイサーバーに対応したセッションを提供しています。1つは従来のディスプレイサーバーである「X.Org/Xサーバー」を利用する「Xorg」セッションであり、もう1つは次世代のディスプレイサーバーである「Wayland」を利用する「Wayland」セッションです。
Ubuntu 17.10の時にWaylandがデフォルトになったが・・・
「Ubuntu 17.10」より前のバージョンでは「Xorg」がデフォルトでしたが、「Ubuntu 17.10」では「Wayland」がデフォルトになりました。これは次にリリースを控える「Ubuntu 18.04 LTS」を見越し、その影響を調査するために行われた変更です。
調査結果は「Wayland」の採用がユーザーが満足する結果に結びつくのであれば「Ubuntu 18.04 LTS」で「Wayland」をデフォルトにし、そうでなければ「Xorg」をデフォルトにする判断材料に活用されました。
Waylandは時期尚早だった
さてその結果、多くのユーザーが必要とするアプリが「Wayland」上で動作しないケースやパフォーマンス面での課題が見つかりました。例えばパッケージ管理ツールの「Synaptic」やスクリーンに作用するアプリが動作しない問題は、多くのユーザーから指摘された点の1つです。
今まで動作していたアプリが動作しなくなるという結果は、ユーザーとして受け入れがたい結果でしょう。
これを受け「Ubuntu 18.04 LTS」では「Xorg」がデフォルトになりました。
少なくとも「Ubuntu 18.04 LTS」で「Wayland」を採用するには時期尚早であり、当時はアプリの「Wayland」対応など「Wayland」を取り巻く環境は成熟していませんでした。
また「Ubuntu 18.10」でも「Xorg」がデフォルトになっています。
あれから1年と半年
「Wayland」をデフォルトにした「Ubuntu 17.10」のリリースから約1年と半年が経過しました。2020年4月に次のLTSである「Ubuntu 20.04 LTS」がリリースされる予定です。
もし「Ubuntu 20.04 LTS」で「Wayland」をデフォルトにする可能性や計画があるのであれば、それより前のバージョンで「Wayland」をデフォルトにし、再度影響を調査することになります。
つまり「Ubuntu 19.10」で「Wayland」をデフォルトにし、影響を調査することになります。
Ubuntu 20.10まで見送りか?
しかし「Wayland」を取り巻く環境はまだ十分に成熟していないとの判断があり、現状「Ubuntu 19.10」で「Wayland」をデフォルトにする計画はなく、「Ubuntu 19.10」で「Wayland」をデフォルトにしないならば、「Ubuntu 20.04 LTS」でも「Wayland」がデフォルトになることはないでしょう。その場合「Wayland」のデフォルト化は「Ubuntu 20.10」以降まで持ち越しとなります。