アプリのテーマとアイコンのカスタマイズはやめて
複数のアプリの開発者が、アプリのテーマとアイコンのカスタマイズをやめて欲しいとの公開状をコミュニティー宛てに出しています。誰宛の公開状か?
この公開状は、デフォルトでアプリのテーマとアイコンのカスタマイズし、ユーザーにディストリビューションを提供しているディストリビューターに宛てた公開状です。例えば「Yaru」テーマをデフォルトで採用している「Ubuntu」や、「Pop!_OS」テーマをデフォルトで採用している「Pop!_OS」がこれに該当します。
自身でテーマをカスタマイズし、テーマのカスタマイズを楽しんでいるユーザーは対象外です。
まず初めに
この公開状に署名(賛同)しているアプリの開発者達は、「GNOME」プラットフォーム向けにアプリをデザインし開発している開発者です。彼らは自身がデザインしたアプリのデザインに誇りを持ち、ユーザーに素晴らしいUXを提供するため、懸命に開発に取り組んでいます。
しかし彼らの取り組みは、第三者が提供するカスタマイズされたテーマにより、多くのケースで無に帰す結果となっています。
アプリのUXが壊れる
その一例を見てみましょうどのようなことが起き得るのでしょうか。1.読めない文字
壊れた「GTK Stylesheet」は、アプリが表示している文字を読みにくくします。2.意図に合致しない表現
壊れたアイコンテーマは、開発者が意図するメタファー(シンボル)とは異なるアイコンを表示します。3.アプリのアイコン
アプリのアイコンはアプリを一意に識別するものであり、アイコンの変更は開発者やブランドを否定するものです。4.アプリのスクリーンショットやヘルプ
アプリのスクリーンショットやヘルプがカスタマイズされたテーマ上のUIで作成された場合、環境によってデザインが異なるため、ユーザーへの十分な説明になっていません。というわけで
以上が開発者がデザインをカスタマイズして欲しくない理由になります。アプリの開発者は「GNOME」が提供するテーマ、アイコン、フォント上でアプリの構築やテストを行っており、そしてそのアプリのデザインはユーザーの環境でも同様に見えるデザインになります。
また開発者はアプリで直接カスタマイズテーマを無効化することも可能ですが、この問題は技術的な問題ではないため、技術的な解決策は効果的ではないと考えています。
開発者は公開状を通じてこの問題・課題を共有したいとのことです。
ユーザー自身でカスタムテーマを楽しむなら問題ない
ユーザー自身でカスタムテーマを楽しむなら問題ありませんが、その結果何かしらアプリに不都合・不具合が発生しても、それはアプリの開発者に報告するのではなく、テーマの開発者に報告してください。GTKはデフォルトで単一のスタイルシートをすべてのアプリに強制するのは止めるべき
開発者はプラットフォームレベルでは、GTKはデフォルトで単一のスタイルシートをすべてのアプリに強制するのはやめるべきと考えています。アプリがハードコーディングされたスタイルシートによりカスタマイズを無効化する代わりに、許可しない限りアプリはプラットフォームが提供するスタイルシートを使うべきです。
すべてのアプリがあらゆるスタイルシートとの組み合わせで問題なく動作するという想定や前提は誤りです。
テーマをカスタマイズしているディストリビューターは、方針を再考して欲しい
QA(品質保証)なしにサードパーティー製アプリのアイコンを変更することは無謀な行為であり、それは他全てのプラットフォームで受け入れ難いものでしょう。テーマのカスタマイズはアプリ開発者をひどく傷つけている行為であり、ディストリビューションを超え、エコシステム全体に損害を与えています。
ディストリビューションがブランディングのためにテーマのカスタマイズが必要であることを開発者は理解しています。
しかしこの方法ではなく別の方法でブランディングする方法を強く推奨しています。
アプリの開発者は本来サポートする意図がないカスタマイズされた環境でも動作するように余計な作業をしており、疲弊しています。
アプリ開発者の個人的見解である
公開状に賛同しているアプリ開発者の中には「GNOME」のメンバーや「GNOME」の開発に参加している開発者もいますが、これは「GNOME」及び関連組織による公式見解ではありません。反対意見と議論
反対意見と議論は、以下を参照してください。
(私達のテーマのカスタマイズを邪魔しないでください。)
いくつかピックアップしますが、リンク先の参照をおすすめします。
- カスタマイズテーマが気に入らないなら、自身でディストリビューションを作れば良い。
- アプリをオープンソースではなくプロプライエタリーソフトウェアにしてみては?
- 標準のテーマAPIを開発してみては?
- カスタムウィジェットの実装がおかしくない?
- 壊れたテーマを提供するディストリビューションは、そのディストリビューション以外に影響はない
他にも様々な意見がありますが、以下のコメントが最も建設的でしょう。
自由なソフトウェアのアップストリームはダウンストリームの自由を制御・抑制するのではなく、責任の所在を明確にし、コミュニティーや免責事項を通じて課題を解決していくのが良い。
「Ubuntu」や「Yaru」の開発者も参加しているので、目を通してみると良いでしょう。
解決策を見出そう
以下で妥協点含む解決策を模索するためのissueが立てられました。これからですね。