Ubuntu Touch その59 - Unity 8とWaylandへの移行・Ubuntu TouchでWaylandのサポート

Unity 8とWaylandへの移行

「Unity 8」と「Wayland」への移行に関する紹介です。

• Ubuntu Touch Q&A 51

Ubuntu Touchとは

「Ubuntu Touch」は、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイス向けに最適化されたOSです。
ユーザーのプライバシーと自由を尊重したOSです。
「Ubuntu Touch」は「Ubuntu」ベースのOSであり、「UBports」コミュニティーにより開発が行われています。

• A Mobile Version of the Ubuntu Operating System 

外部ディスプレイとキーボード、そしてマウスをモバイルデバイスに接続すれば、UIがデスクトップ向けのUIに変化し、デスクトップとして活用することもできます。
つまり1つのモバイルデバイスで、モバイル環境とデスクトップ環境を利用することができます。


「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスや、各デバイスで利用可能な機能及び制限は、以下を参照してください。

• Get Your Phone or Tablet to Run Ubuntu Touch
• devices.ubuntu-touch.io

Unity 8

「Wayland」コンポジターである新しい「Mir」へ「Unity 8」を適合させるには、段階的な移行作業が必要になります。

1. 新しいMirの採用（Waylandに対応したMir）
2. XWaylandと連携して動作する新しいUnity 8の採用
3. Waylandをサポートするツールキットで開発されたアプリのサポート
4. 既存アプリのWaylandへの移行
5. コンポジターコンポーネントのWaylandへの移行

これらは作業順序も含めた項目です。
「Wayland」へ移行するのに必要な作業を全て列挙したものではありませんが、中心となる作業です。
また「Mir」にとって「XWayland」は、「Mir」の「XMir」を置き換えるものです。

新機能の提供よりも安定性を重視

開発チームは動作の安定性に主眼を置き開発を行っていきます。
デスクトップだけでなくモバイルでも日々ユーザーが活用可能な環境を目指し、開発が行われていきます。

安定性と共に新たな機能を

そして安定性と共に、新しいドローワーを含む新たなデザインがもたらされるでしょう。
グローバルメニューも利用できるようになり、全体的に新しくなったデスクトップモードが登場する予定です。

デスクトップモードとは、「Ubuntu Touch」をインストールしたモバイルデバイスにマウスとキーボードそして外部ディスプレイを接続すると、「Unity 8」がデスクトップ向けのデザインに切り替わり、デスクトップの代わりに利用できる機能です。
上記の画像がデスクトップモードで動作する「Unity 8」ですね。
Webのレスポンシブデザインを想像すれば分かりやすいでしょう。

メンテナンスコストの削減

開発チームはメンテナンスコストを削減するため、開発チームが抱えているコンポーネントのメンテナンスを最小限にする取り組みを行っています。
例えば現在「Mir」は「Mir 1.2」がリリースされていますが、この新しい「Mir」に追従することがメンテナンスコストの削減に繋がります。

XMirからXWaylandへ

「XMir」も「XWayland」もX環境を提供するための仕組みです。
「XMir」は「Libertine」の元でのみ動作するウィンドウサーバーになっています。
例えば「LibreOffice」を起動すると、「LibreOffice」は「XMir」に接続し、そして「XMir」は「Mir」に接続し、アプリのウィンドウが画面に表示されることになります。
開発チームは「XMir」から「XWayland」への切り替えを行っています。

Ubuntu TouchでWaylandのサポート

次の大きな段階として、「Ubuntu Touch」で「Wayland」のサポートが計画されています。
これは「Ubuntu Touch」上で「Wayland」アプリを直接動作可能にする、ということです。

技術的な調査が必要

現時点では目標・方針であり、「Android」デバイスで「Wayland」を動作させることができるのか、「GTK」アプリや「QtWayland」使用し「Wayland」ネイティブに動作しているアプリをそのまま動作させることができるかなど、実現性も含めた調査及び確認が必要になります。

既存のアプリをWaylandに移行

もし「Wayland」のサポートが可能ならば、「Ubuntu Touch」上で動作している既存のアプリを「Wayland」上で動作するように移行作業を行います。

OTA-10で完了する作業ではない

今後次の「Ubuntu Touch」のアップデートである「Ubuntu Touch OTA-10」のリリースが控えています。
しかし上記で紹介した内容がすべて「OTA-10」のリリースで完了するということではありません。
「Ubuntu Touch OTA-10」では、アップデート版の「Mir」と「Unity 8」が提供される予定です。

最終的にUnity 8はWaylandへ移行する

最終的に「Unity 8」は「Wayland」へ移行します。
「Wayland」に完全移行した「Unity 8」の登場はまだまだ先の話であり、おそらく来年になるでしょう。