既存のUbuntuユーザーに最新のNVIDIA GPUドライバーを
既存のUbuntuユーザーに最新のNVIDIA GPUドライバーを提供するため、以下で提供方針が検討されています。NVIDIA GPUドライバー
NVIDIA GPUドライバーとは、NVIDIAが提供するプロプライエタリードライバーのことです。NVIDIA GPUドライバーは、ゲームユーザーや、AI(人工知能)及びML(機械学習)などGPUコンピューティングの分野で広く利用されています。
NVIDIAは新しいGPUのサポートや不具合を修正したドライバーを定期的にリリースしています。
アップデートには方針がある
一度安定版としてリリースされたUbuntuは、リグレッションを避けるため基本的にソフトウェアのメジャーバージョンアップを行いません。アップデートは他のソフトウェアに影響を及ぼさない範囲で提供されます。
またアップデートするソフトウェアは必ずQA(テスト)に合格する必要があります。
ただし「Firefox」など一部のソフトウェアは、例外的にメジャーバージョンアップによるアップデートが提供されます。
最新のNVIDIA GPUドライバーを利用するには一苦労ある
UbuntuではNVIDIA GPUドライバーも積極的にアップデートを提供しないソフトウェアに分類されます。そのため「Ubuntu 18.04 LTS」など既存ユーザーが最新のNVIDIA GPUドライバーを利用するには、PPAなど非公式の提供元を利用する必要があります。
新しいGPUのサポートや機能が改善されたドライバーを公式の提供元から利用できるようにし、この状況を改善しようというのが本件の主目的になります。
そうするためにはサポート中のUbuntuに対し、最新版のドライバーを定期的にリリースする必要があります。
アップデートの提供対象は、サポート中のUbuntuが対象になります。
フレーバーはUbuntuと同じ基盤上に構築されているため、フレーバーでも同様の扱いになります。
3種類のドライバーとレベル
アップデートを提供するドライバーには3種類のレベルがあります。1.Long lived branch
「Long lived branch」は安定性を重視したドライバーです。このドライバーは新機能を提供せず、致命的な不具合の修正やリスクの小さい修正、その他マイナーアップデートを取り込んだドライバーです。
また新しいGPUのサポートも取り込まれます。(バックポート)
このドライバーは非レガシーGPU向けに提供されるドライバーであり、最新の機能を必要としないユーザーを対象としています。
2.Short lived branch
「Short lived branch」は新機能の導入を行うドライバーです。「1.」とは対照的ですね。
このドライバーは非レガシーGPU向けに提供されるドライバーであり、安定性よりも最新の機能を積極的に必要とするユーザーを対象としています。
3.Legacy drivers
「Legacy drivers」は古い世代のNVIDIA GPUを対象にしたドライバーです。「NVIDIA Unified UNIX Graphics Driver」のサポート対象から外れたGPUが対象です。
これらのGPUはNVIDIAが提供するLegacy GPUドライバーを通じてサポートされます。
Legacy GPUドライバーは、Linux kernelやXサーバーなど新バージョンのLinuxシステムコンポーネントをサポートするため、定期的にリリースされます。
アップデートの提供対象となるUbuntu
サポート中のUbuntuにNVIDIA GPUドライバーが提供されますが、LTSリリースのUbuntuと通常リリースのUbuntuでは、提供されるドライバーの種類が異なります。1.LTSリリースのUbuntu
LTSリリースのUbuntuでは、上記3種類のドライバーがすべて提供されます。2.通常リリースのUbuntu(非LTS)
通常リリースのUbuntuでは、「2.Short lived branch」を除く2種類のドライバーが提供されます。「2.Short lived branch」が含まれないのは、HWEポリシーと足並みを揃えるためです。
しかし状況によっては、「2.Short lived branch」も提供する方針に変わる可能性もあります。
リリースのスケジューリング
NVIDIAがドライバーリリース後、即座にUbuntuユーザーにそのドライバーが提供されるわけではありません。必ずUbuntu側でQA(テスト)を行い、品質や影響を確認した後、問題がなければユーザーにそのドライバーを提供します。
この手続きでは、約2ヶ月(8週間)のQAやパッケージング等の作業期間が設けられています。
即座に最新ドライバーを利用できないにしても、Ubuntuのテストを通過したドライバーであるため、ユーザーはトラブルを避けやすくなるでしょう。