Linux Mint 19.3のトラブルシューティング
リリースノートから「Linux Mint 19.3」のトラブルシューティングを紹介します。1.タッチパッドの動作がおかしい時は
すべてのエディションでデフォルトのタッチパッドドライバーに「xserver-xorg-input-libinput」パッケージから提供される「libinput」を採用しています。synapticsも利用可能
もしタッチパッドの操作で問題が発生した場合は、「xserver-xorg-input-synaptics」パッケージから提供される「synaptics」に切り替えることも可能です。「libinput」と「synaptics」の両方がインストールされている場合、「synaptics」が優先されます。
現在のタッチパッドドライバーを調べるには
現在のタッチパッドドライバーを調べるには、以下のコマンドを実行します。
grep -i "Using input driver" /var/log/Xorg.0.log
入力デバイスで使用されているタッチパッドドライバーが出力されます。
libinputからsynapticsに切り替えるには
デフォルトのタッチパッドドライバーを「libinput」から「synaptics」に切り替えるには、以下のコマンドを実行します。
apt install xserver-xorg-input-synaptics
コマンド実行後、ログインし直すかPCを再起動します。
元に戻すには
デフォルトのタッチパッドドライバーを「libinput」に戻すには、以下のコマンドを実行します。
apt remove xserver-xorg-input-synaptics
コマンド実行後、ログインし直すかPCを再起動します。
もう一つの選択肢、evdevドライバー
もう一つの選択肢である「evdev」ドライバーをインストールしてみることも可能です。「evdev」ドライバーは「xserver-xorg-input-evdev」パッケージから提供されます。
2.Virtualbox
「Linux Mint」を「Virtualbox」にインストールする際の注意事項です。起動時に画面が真っ黒になる時は
「Virtualbox」で「Linux Mint」を起動すると画面が真っ黒になる場合は、仮想マシンの設定画面を開き、「ディスプレイ」の「グラフィックコントローラー」の設定を「VMSVGA」に変更してください。起動時に画面が崩れる場合は
「Virtualbox」で「Linux Mint」を起動すると画面が崩れる場合は、「HOST + F1」キーを押してコンソールに切り替えた後、再度「HOST + F7」キーを押して元の画面に戻ってください。「ホストキー」は通常「右Ctrl」キーに割り当てられています。
もう一つの回避策
もう一つの方法は、ネステッドページングを無効化することです。仮想マシンの設定を開き、「システム」の「アクセラレーション」タブで「ネステッドページングの有効化」チェックをオフにします。
また「ディスプレイ」の設定から、ビデオメモリーの割り当てを「128MB」に設定します。
補足
この問題はライブUSBなどライブセッションで起動した「Linux Mint」で発生し得る問題です。仮想マシンにインストールした後の「Linux Mint」では、ここで紹介する回避策は必要ありません。
Virtualbox Guest Additionsのインストールを
「Virtualbox」の仮想マシンに「Linux Mint」をインストールした場合、共有フォルダーやホスト・ゲスト間のドラッグ&ドロップ、描画パフォーマンスの向上や適切な解像度のサポートを得るために「Virtualbox Guest Additions」をインストールしておきましょう。「Virtualbox Guest Additions」のインストール方法は、以下を参照してください。
3.ホームフォルダーの暗号化
ホームフォルダーの暗号化は、ディスク全体の暗号化よりもパフォーマンスが低下します。これは「systemd」への移行により「ecrypts」でリグレッションが発生しているためです。
この問題のため「Linux Mint 19」以降、暗号化されたホームフォルダーはユーザーのログアウト時にアンマウントされません。
4.ゲストセッション
ゲストセッションはデフォルトで無効化されています。ゲストセッションを有効にするには、ログイン画面の設定でゲストセッションを有効にしてください。
5.スキャナーの問題
「libsane」の不具合により、スキャナーに関する問題が報告されています。スキャナーが検出されない
「Epson/Brother/Xerox/Samsung」といった多くのスキャナーが検出されません。この不具合は以下で報告されています。
この不具合はすでに対応されており、「アップデートマネージャー」からソフトウェアのアップデートを行ってください。
スキャン時に黒いバーが現れる
スキャン時に黒いバーが現れます。この不具合は以下で報告されています。
6.Sambaの問題
「Smaba」の安定性に問題があり、特に以下の問題により、WindowsネットワークやWindowsの共有フォルダーへのアクセスが困難になっています。- Regression in smbclient, username required for anonymous login
- gvfs-smb-browse can't browse samba/smb tree
回避策
「/etc/samba/smb.conf」ファイルを「root」で開き、「[global]」セクション内の「workgroup = WORKGROUP」行を探します。この行の直下に以下の2行を追記します。
name resolve order = bcast host lmhosts wins
client max protocol = NT1
client max protocol = NT1
その後ファイルを保存し、PCを再起動します。
これでWindowsネットワークやWindowsの共有フォルダーへアクセスできるようになります。
Windowsの共有フォルダーに接続するには、「ファイル」メニューから「サーバーへの接続(Connect to Server...)」を利用してください。
ゲストで接続できない時は
ゲストでWindowsの共有フォルダーに接続できない時は、接続時のユーザー名に「anonymous」を入力し、適当なパスワードを入力して接続してください。Sambaを頻繁に利用するユーザーは
「Smaba」を頻繁に利用するユーザーは、「Linux Mint 18.3」の利用を推奨します。7.Wine 4.0
「Wine 4.0」を簡単にインストールできるようになっています。安定版Wine 4.0のインストール
「WineHQ(Wineの開発元)」から安定版の「Wine」をインストールするには、「端末」で以下のコマンドを実行します。
apt install --install-recommends wine-installer
また「wine-desktop-files」もインストールされ、ランチャーメニューに「regedit」及び「C:\ドライブ」、その他アップストリームから不足している各種メニューエントリーが追加されます。
開発版Wineのインストール
安定版ではなく開発版(いわゆるβ版やα版に相当)をインストールするには、以下を参照しください。自分で「Wine」をインストールした場合でも、「wine-desktop-files」を忘れずにインストールしてください。
Wine 4.0にアップグレードするには
すでに「wine-stable 3.0」や「wine-development 3.0」がインストールされている環境で「Wine 4.0」へアップグレードするには、「アップデートマネージャー」でソフトウェアをアップデートした後に、以下のコマンドを実行します。
apt install --install-recommends wine-installer
Wine 3.0を削除するには
「Wine 4.0」へアップグレードした後「Wine 3.0」パッケージを削除するには、以下のコマンドを実行し「Wine 3.0」パッケージを調べます。
dpkg -l | grep wine | grep "3\."
出力されたパッケージは削除できます。
またこの削除過程で「PlayOnLinux」が削除された場合は、再度「PlayOnLinux」をインストールしてください。
8.サウンド及びマイクに関する問題
サウンド出力やマイクに関する問題に直面した時は、「pavucontrol」をインストールしてください。「pavucontrol」をインストールするとランチャーに「PulseAudio Volume Control」が追加されます。
「PulseAudio Volume Control」はデフォルトで搭載している音量調整よりも、高度な設定が可能です。
「PulseAudio Volume Control」で設定を調整し、問題の解決を試みてください。
9.VLCでDVDドライブが見つからない時は
「VLC」で「DVD」が見つからない場合は、「メディア」メニューから「ディスクを開く」を選択し、ディスクデバイスに「/dev/sr0」を指定してください。10.KDEアプリに関する問題
「Okular」や「Gwenview」、「KStars」といったKDEアプリ利用時に問題が発生した場合は、以下のコマンドを実行しパッケージを追加インストールしてください。
apt install kdelibs-bin kdelibs5-data kdelibs5-plugins
11.インストール時にUEFIの強制インストール画面でフリーズする
ある条件を満たした環境で「Linux Mint」をインストールしようとすると、以下のようにUEFIモードで強制インストールを確認するメッセージが表示され、ここでインストーラーがフリーズします。この問題は以下の条件を満たした時に発生します。
- UEFI環境でPCを起動した
- ストレージ(HDD/SSD)にパーティションテーブルがない
- インストーラーがインターネットに接続できる環境である
本件の不具合報告は、以下を参照してください。
回避策
インストーラーを起動する前にインターネット接続を無効にしておきます。もしくは予めストレージにパーティションを作成しておきます。
自動インストールで「Linux Mint」をインストールした後に、手動パーティション設定で「Linux Mint」をインストールし直す方法もあります。
12.HiDPIディスプレイでGRUB 2の画面が小さい時は
「HiDPI」ディスプレイを使用しており「GRUB 2」の画面が小さい時は、「grub2-theme-mint-2k」のパッケージをインストールしてください。13.ライブセッションのユーザー名とパスワード
ライブセッションとは、ライブUSBやライブDVDから起動した「Linux Mint」のことです。ライブセッションのユーザー名は「mint」です。
パスワードはありません。
パスワードを求められたら何も入力せずに「エンター」キーを押してください。
14.ウィンドウが画面からはみ出した時は
アプリのウィンドウが画面からはみ出し操作できない場合は、「Alt」キーを押しながらウィンドウの任意の部分をマウスでドラッグ&ドロップしてください。これで画面からはみ出したアプリのウィンドウを任意の位置に移動できます。
15.マルチメディアコーデックをオフラインでインストールするには
マルチメディアコーデックをオフラインでインストールする方法です。1.Linux Mintの起動
インターネットに接続可能なPCでライブUSBやライブDVDから「Linux Mint」を起動します。2.パッケージのダウンロード
「端末」を起動して以下のコマンドを実行し、パッケージをダウンロードします。
apt download mint-meta-codecs
3.パッケージ及びアーカイブの取得
「2.」の実行が完了すると、パッケージ及び「mint-meta-codecs.tgz」アーカイブを取得できるので、これらのファイルをUSBメモリー等にコピーしておきます。4.オフラインのPCでインストール
オフラインのPCを起動し、取得したアーカイブを展開します。その中にある「install.sh」を「端末」から実行します。
あるいは以下のコマンドでパッケージを纏めてインストールします。
sudo dpkg -i *.deb
16.PAEに対応していないCPUで起動するには
「Pentium M」など一部のCPUでは、公式に「PAE」のサポートを表明していません。このようなCPUを搭載したPCで「Linux Mint」を起動するには、ブートメニューで「Start Linux Mint with PAE forced」を選択して「Linux Mint」を起動してください。
17.起動時にフリーズする場合は
一部のGPUは「Linux Mint」が標準で同梱しているオープンソースドライバーとの組み合わせでうまく動作しなことがあります。「Linux Mint」起動時にPCがフリーズする場合は、ブートオプションに「nomodeset」を指定して起動してください。
BIOSで起動する場合
「BIOS」環境でライブUSBやライブDVDから「Linux Mint」を起動する場合は、以下を参照してください。UEFIで起動する場合
「UEFI」環境でライブUSBやライブDVDから「Linux Mint」を起動する場合は、以下を参照してください。Linux Mintインストール後
「Linux Mint」インストール後にオプションを指定するには、まず「Shift」キーを押しっぱなしにしてPCを起動します。ブートメニューが表示されるので、以下のようにブートオプションを指定します。
NVIDIA製GPUを搭載している場合
NVIDIA製GPUを搭載している場合、インストール済みの「Linux Mint」を起動した後、以下の手順でNVIDIAドライバーをインストールしてください。- ドライバーマネージャーを起動する
- NVIDIAドライバーをインストールする
- PCを再起動する
これで「nomodeset」オプションを指定する必要がなくなります。
それでも起動時にフリーズする場合は
上記の対応でも起動時にフリーズする場合は、以下のいずれかの方法を試してみてください。- 「nomodeset」の代わりに「nouveau.noaccel=1」ブートオプションを指定して起動する
- ブートオプションから「quiet splash」を削除し、代わりに「noapic noacpi nosplash irqpoll」ブートオプションを指定して起動する
- 互換モードで起動し、「Linux Mint」をインストールする
- インストール後ブートメニューで「Advanced Options」を選択し「Recovery mode」で起動する。その後「resume」を選択して起動する