LMDE 4にアップグレードするには
「LMDE 4」にアップグレードする方法です。「LMDE 4」のリリース情報は、以下を参照してください。
注意
「LMDE 4」へのアップグレードは、新しいパッケージベースへのアップグレードになりますが、この作業は簡単な作業ではなく、初心者ユーザーが気軽に行える作業ではありません。- アップグレードの実行には、「APT」とコマンドラインに関する知識と理解が必要です。
- コマンドの入力方法やコマンドの出力内容を把握できる知識が必要です。
- 「APT」コマンドの利用に慣れている必要があり、アップグレード実行中に「APT」コマンドが出力する内容を理解できる知識が必要です。
- 削除するパッケージの内容や、パッケージの競合及び依存関係の不整合によるアップグレードの中止、依存関係が衝突するパッケージの解消など、パッケージ管理の知識が必要です。
1.事前準備
まずはアップグレードに向け事前準備を行います。1-1.全パッケージのアップデート
「メニュー(アプリケーションランチャー)」の「システム管理」から「アップデートマネージャー」を起動し、すべてのパッケージをアップデートします。「更新」ボタンをクリックすれば、アップデートの有無を確認できます。
パッケージのアップデートがある場合、「すべて選択」ボタンをクリックし、「アップデートのインストール」ボタンをクリックします。
すべてのパッケージをアップデートした後、再度「アップデートマネージャー」を起動し、他にアップデートがないかチェックしてください。
またアップデート後にPCを再起動してください。
1-2.スナップショットの作成
システムのスナップショットを作成し、アップグレードに失敗した時に備えシステムをスナップショットから復元できるようにします。スナップショットの作成や復元は、「Timeshift」から行います。
「メニュー(アプリケーションランチャー)」の「システム管理」から「Timeshift」を起動します。
初めて「Timeshift」を利用する場合や「Wizard」ボタンをクリックした場合は、ウィザード形式によるスナップショットの各種設定を行えます。
スナップショットの保存先等の設定を行っておきます。
「Create」ボタンをクリックすれば、スナップショットを作成できます。
システムの復元について
スナップショットからシステムを復元する場合も「Timeshift」から行います。現在起動している「LMDE」から「Timeshift」を起動し、スナップショットからシステムを復元したり、ライブセッション(ライブUSB/ライブDVD)から「Timeshift」を起動し、スナップショットからシステムを復元することも可能です。
システム復元の注意事項
システムを復元する際、「Timeshift」で「Disclaimer」ウィンドウが表示されます。このウィンドウの中身が空の場合、ウィンドウ内にテキストが表示されるまで、そのまま2分ほど待ってください。
ウィンドウの中身が空のまま復元を続行しようとすると、復元に失敗します。
その場合はPCを再起動し、再度復元を実行してください。
スナップショットの作成手順を飛ばす場合は
スナップショットの作成手順を飛ばす場合は、以下のコマンドを実行してからアップグレードを実行してください。
sudo touch /etc/timeshift.json
2.非公式のDebianマルチメディアパッケージのダウングレード
非公式のDebianマルチメディアリポジトリー(deb-multimedia.org)は、「LMDE 4」では使用されません。アップグレード時にパッケージが衝突する問題を回避するため、非公式のDebianマルチメディアリポジトリーの削除及びそのリポジトリーから提供されているパッケージ群を「Debian」のパッケージに戻す必要があります。
この作業は以下の手順で行います。
2-1.official-packages-repositories.listを開く
「端末」を起動し以下のコマンドを実行して、「/etc/apt/sources.list.d/official-packages-repositories.list」ファイルを「root」で開きます。
sudo xed /etc/apt/sources.list.d/official-package-repositories.list
2-2.リポジトリーの削除
ファイルの下の方にある以下の記述を削除し、ファイルを上書き保存します。
deb https://www.deb-multimedia.org stretch main non-free
2-3.パッケージインデックスファイルの更新
以下のコマンドを実行し、パッケージインデックスファイルを更新します。
apt update
2-4.パッケージのダウングレード
「ソフトウェアソース(mintsources)」を起動し、左の項目一覧から「メンテナンス」を選択します。右側の「Downgrade Foreign Packages」ボタンをクリックします。
以下のようにダウングレードするパッケージ一覧が表示されるので、「すべて選択」ボタンをクリックし、「ダウングレード」ボタンをクリックします。
埋め込みの端末が表示され、パッケージの操作内容と作業の続行確認が表示されます。
問題がなければ、パッケージのダウングレードを続行してください。
2-5.残ったパッケージの削除
ダウングレード対象にならない残りのパッケージを削除します。同じく「ソフトウェアソース(mintsources)」を起動し、左の項目一覧から「メンテナンス」を選択します。
右側の「Remove Foreign Packages」ボタンをクリックします。
以下のように削除するパッケージ一覧が表示されるので、「Installed version」に「-dmo」が含まれているパッケージのみをすべて選択します。
「削除」ボタンをクリックし、それらのパッケージを削除します。
この時点で「mint-meta-codecs」パッケージも削除対象になりますが、問題ありません。
続行してください。
以上でアップグレードの事前準備は完了です。
3.アップグレード
アップグレードを行います。3-1.アップグレードツールのインストール
「端末」で以下のコマンドを実行し、アップグレードツールをインストールします。
apt install mintupgrade
3-2.アップグレードチェック
以下のコマンドを実行し、アップグレードチェックを実行します。
mintupgrade check
このコマンドを実行すると、システムのリポジトリーが一時的に「LMDE 4」のリポジトリーに置き換えられ、アップグレードに必要な事前処理が行われます。
置き換えられたリポジトリーは、コマンド実行後に元に戻ります。
アップグレードのチェックが行われた後、アップグレード可能かどうかが出力され、アップグレード可能であれば、アップグレードされるパッケージやインストールされるパッケージ、削除されるパッケージ等、影響を受けるパッケージの一覧が出力されます。
このパッケージ一覧の内容は非常に重要な内容であり、システムに与える影響と共に内容を理解しておく必要があります。
それらを踏まえた上で特に問題がなければ、次の手順に移ってください。
3-3.パッケージのダウンロード
以下のコマンドを実行し、アップグレード及びインストールするパッケージをダウンロードします。
mintupgrade download
このコマンドはパッケージをダウロードするのみで、パッケージのアップグレードやインストールは行いません。
またこのコマンドを実行すると、システムのリポジトリーが「LMDE 4」のリポジトリーに置き換えられます。
アップグレードを取りやめる時などシステムのリポジトリーを元に戻したい場合は、以下のコマンドを実行してください。
mintupgrade restore-sources
ダウンロードを中止した場合や失敗した後に再度パッケージをダウンロードしたい場合は、またこのコマンドを実行してください。
3-4.パッケージの適用
以下のコマンドを実行し、ダウンロードしたパッケージをシステムに適用します。この手順を実行すると、システムを元に戻すことはできません。
この手順実行後にシステムを元に戻す唯一の方法は、スナップショットからシステムを復元する方法です。
nice mintupgrade upgrade
注意
アップグレード処理は負荷が高く、環境によっては一時的に画面がフリーズする可能性があります。10分ほどフリーズすることもありますが、問題ありません。
そのまま処理が完了するまで待ち続けてください。
この現象を避けるなら、全ユーザーがログアウトしている状態で「CTRL+ALT+F1」キーを押し、コンソールから「mintupgrade upgrade」コマンドを実行してください。
3-5.LMDE 4に存在しないパッケージのダウングレード
「LMDE 4」のパッケージの中には、「LMDE 3」のパッケージよりもバージョンの低いパッケージが存在します。これらのパッケージはダウングレードしないと適切に機能しません。
これらのパッケージをダウングレードする方法は、「2-4.パッケージのダウングレード」の方法と同じです。
3-6.LMDE 4に存在しないパッケージの削除
「LMDE 3」のパッケージの中には、「LMDE 4」で提供されていないパッケージが存在します。これらのパッケージを削除するには、「2-5.残ったパッケージの削除」と同じように削除するパッケージの一覧を表示し、「すべて選択」ボタンをクリックし、「削除」ボタンをクリックします。
後はPCを再起動してください。
アップグレードがうまくいかない場合は
どうしてもアップグレードがうまくいかない時は、「Fresh Upgrades」を検討してみてください。もしくはクリーンインストールしてください。