Ubuntu Budgie 20.04 LTSの新機能と変更点
リリースノートから「Ubuntu Budgie 20.04 LTS」の新機能と変更点を紹介します。リリース情報
「Ubuntu Budgie 20.04 LTS」のリリース情報は、以下を参照してください。Budgie 10.5.1の変更点
「Ubuntu Budgie 20.04 LTS」ではデスクトップ環境に「Budgie 10.5.1」を採用しています。リリースノート
「Budgie 10.5.1」のリリースノート は、以下を参照してください。いくつかピックアップします。
Classic Budgie Menu
「Classic Budgie Menu」は、メニューアイテムがロケールに配慮した順番で並ぶようになりました。Icon Task List
「Icon Task List」は、複数のウィンドウが存在する時にウィンドウを追跡するインスタンスの修正が行われました。「Icon Task List」にお気に入りとして登録されていない実行中のアプリケーションやウィンドウを、グルーピングモードの有無に関わらず移動できるようになりました。
「Icon Task List」上のアイコンボタンに対応したウィンドウが、1つのウィンドウのみの場合、そのウィンドウタイトルがツールチップに表示されるようになりました。
Raven
「Raven」の通知が適切な位置揃えで配置されるようになりました。またサウンドアプレットのアプリケーションのボリューム調整では、Gvc ChannelMapの状態変化を扱えるようになりました。
「Firefox」が動画を再生する時などアプリケーションがストリームを作成した時に、アプリケーションによっては正確なGvcStreamのボリューム情報を提供しません。
このようなアプリケーション利用時に、より正確なミュート状態をサウンドアプレットに反映できるようになりました。
ウィンドウマネージャー
フォーカスモードがマウスオーバー、もしくはマウスフォーカスかつ250msクリックに設定されている場合、即座かつ自動的にウィンドウを前面に持ってくるようになりました。これにより迅速にウィンドウが前面に配置されるようになります。
デスクトップフォントの設定
「Budgie 10.5.1」では、「Budgieデスクトップの設定」から、デスクトップで使用するフォントのヒンティングとアンチエイリアスの設定が行えるようになりました。ヒンティングとアンチエイリアスは、文字の描画品質を調整する仕組みです。
これらの設定を調整することで、ユーザーが使用しているディスプレイに最適な描画品質を得ることができます。
これらの設定は、描画される文字の滑らかさや読みやすさに影響する設定です。
ヒンティング
ヒンティングの設定では、以下の設定が可能です。- Full
- Medium
- Slight
- しない
下の選択肢に移るほど、ヒンティングの効きが弱く・無くなっていきます。
アンチエイリアス
アンチエイリアスの設定では、以下の設定が可能です。- Subpixel (for LCD screens)
- Standard(grayscale)
- しない
通常は「Subpixel (for LCD screens)」がお薦めです。
ワークスペース
「Budgie 10.5.1」では、デフォルトのワークスペース数を設定する機能と共に、「Budgie」起動時に作成されたワークスペースを永続的に保持する機能が追加されました。デフォルトのワークスペース数
デフォルトのワークスペース数は、「Budgieデスクトップの設定」の「デスクトップ」から設定できます。動的にワークスペース数を調整したい場合は
デフォルトのワークスペース数とは別に動的にワークスペース数を調整したい場合は、「Workspaceアプレット」で動的にワークスペース数を追加することができます。Ubuntu Budgieの変更点
「Ubuntu Budgie」の変更点です。1.System Trayアプレットの削除
「System Trayアプレット」は、デフォルトから削除されました。「System Trayアプレット」は品質に課題があり、代わりに新しいネットワークマネージャーアプレットがデフォルトに置き換わったためです。
2.network-managerアプレットを起動しない機能の追加
「System Trayアプレット」を表示しないようにするため、従来の「network-manager」アプレットを起動しない機能が追加されました。3.ワークスペースの入れ替え
「Ctrl + Alt + →」キー及び「Ctrl + Alt + ←」キーで、画面中央にワークスペースインジケーターを表示せずにワークスペースを入れ替えることができます。これによりワークスペースを迅速に切り替えることができ、加えてワークスペース切り替えアニメーションの衝突によりクラッシュする可能性を排除できます。
4.イベント警告音がデフォルトで無効に
イベント警告音がデフォルトで無効になりました。イベント警告音が必要なら、「設定」の「サウンド」画面で警告音の選択と音量の調整を行ってください。
5.HiDPI(4K)のサポート改善
ビルトイン及びサードパーティー製のBudgieアプレットがHiDPI(4K)をサポートしました。ポップアップも期待通りに動作します。
6.Qtアプリのデザイン
Qtアプリのデザインを決める仕組みが、「qt5-style-plugins」から「qt5ct」に変更されました。「Qt5 Settings」でQtアプリのデザインを調整することができます。
ただし「VLC」のようにアプリによっては、自身でデザインを設定する機能を持つアプリもあります。
7.大きいサイズのグローバルメニュー
「budgie-desktop」パネルで大きいサイズのグローバルメニューがサポートされました。パネルからはみ出したメニューは、マウスホイールでスクロール可能です。
8.ロック画面の改善
ボタンにフラットなデザインが採用され、ロック画面ダイアログに合うデザインに変更されました。9.Pixel SaverとPocillo
「Pixel Saver」と「Pocillo」の閉じるボタンのデザインが、CSDウィンドウのデザインに合うように修正されました。10.その他の変更
- キーボードショートカットが修正されました。
- マルチモニター環境でウィンドウを最大化した時に、トップバーとウィンドウが重ならないように修正されました。
- MokaアイコンがGNOME 3.32/3.34/3.36の変更に合うように修正されました。
デスクトップレイアウト
デスクトップレイアウトを、ワンクリックで切り替えられるようになりました。デスクトップレイアウトは、パネルやアプレットの配置を定義したものです。
以下の6種類のデスクトップレイアウトが用意されています。
- Traditional Budgie
- Classic Ubuntu Budgie
- Ubuntu Budgie
- Cupertino
- The One
- redmond
自分のワークフローに近いデスクトップレイアウトを選択し、そこからさらにアプレットなど各種設定をカスタマイズしていくと良いでしょう。
Budgie Applications Menuアプレット
アプリの検索や起動を行うアプレットに「Budgie Applications Menu(AppMenu)」が採用されました。Power-strip
「AppMenu」に「Power-strip」を表示し、「AppMenu」からPCの再起動やログアウト等の操作も可能です。「Power-strip」の表示設定は、「AppMenu」アプレットの「Power-strip」設定で行います。
アプリの追加アクション
アプリによっては、アプリを右クリックすることでそのアプリの追加アクションを実行できます。電卓
以下のように検索に計算式を入力すると、電卓として機能します。ウェブサイトを開く
検索にURLを入力すると、以下のようにウェブサイトをブラウザーで開くことが可能です。Zeitgeistとの連携
「Zeitgeist」がインストールされていれば、アプリ検索時にユーザーが良く利用するアプリを優先的に表示するようになります。Network Managerアプレット
ネットワーク管理を行うアプレットに、「Budgie」ベースの新しい「Network Manager」アプレットが採用されました。この新しい「Network Manager」アプレットは、「Budgie」デスクトップと完全に統合されています。
Budgie Window Shuffler
「Window Shuffler」は、ショートカットキーでウィンドウのリサイズや配置位置を調整するソフトウェアです。「Window Shuffler」の実装が見直され、パフォーマンスの向上や新機能の実装が行われました。
豊富な設定とショートカットキー
ウィンドウをグリッド状に配置する時のマージンとパディングの設定やショートカットキーの追加など機能の充実が図られています。WallStreet
「WallStreet」は、「Budgie」と親和性のある軽量な壁紙切り替えアプリです。「WallStreet」を利用するには、別途インストールが必要です。
Visual Spaceアプレット
「Visual Space」アプレットは、ワークスペースを切り替えるアプレットです。デフォルトでパネルに登録されています。
アプレットを開くとアプリの一覧が表示され、アプリを選択すればそのアプリが属するワークスペースに切り替え、アプリにフォーカスを設定します。
DropByアプレット
「DropBy」アプレットは、USBデバイスのマウントやアンマウント、ボリュームを開くなど、USBデバイスに簡単にアクセスできるようにするアプレットです。デフォルトでパネルに登録されています。
アプレットやミニアプリをインストールするには
アプレットやミニアプリをインストールするには「Budgieへようこそ」を起動し、「ソフトウェアをインストール」ボタンをクリックして「Budgieアプレット」を選択してください。以下のようにアプレットやミニアプリをインストール画面が表示されます。
現在35種類のアプレットやミニアプリを上記からインストールできます。
デスクトップテーマ
デフォルトのテーマに最新版の「Pocillo」テーマと「QogirBudgie」テーマを採用しています。また各テーマのアイコンやフォントなどを個別にデスクトップに反映することも可能です。
デフォルトのアプリケーション
デフォルトでインストールされるアプリケーションの紹介です。1.GNOME Firmware
「GNOME Firmware」はデバイスのファームウェアをアップデートするソフトウェアです。「GNOME Firmware」がデフォルトでインストールされるようになりました。
ハードウェアに関する問題を「Linux kernel」のアップデートで解決できない場合にのみ、デバイスのファームウェアのアップデートを検討してください。
またすべてのハードウェアメーカーが「Linux」上でインストール可能なファームウェアを提供しているとは限りません。
加えてデバイスによっては、ファームウェアのアップデートを「Windows」上でのみサポートしているケースもあります。
2.Drawing
「Drawing」はシンプルな画像編集アプリです。「Drawing」がデフォルトでインストールされるようになりました。
3.Celluloid
デフォルトのメディアプレーヤーに「Celluloid」が採用されています。これは「gnome-mpv」の置き換えになります。
その他の変更点
その他の変更点です。1.新しい壁紙
壁紙コンテストで選ばれた壁紙が含まれています。2.バックポートパッケージ
「Ubuntu Budgie 20.04 LTS」向けにバックポートパッケージが再構築されました。例えば以下のパッケージは、バックポートを通じて提供されます。
- nemo-share
- nemo-dropbox
- skippy-xd
3.Budgie Welcome
「Budgie Welcome」のローカライズが進み、より多くの言語に対応しました。4.Sambaをデフォルトのインストールから削除
「Samba」がデフォルトでインストールされなくなりました。5.Androidデバイスとの連携
「go-mtpfs」がデフォルトでインストールされるようになり、Androidデバイスと連携できるようになりました。PCにAndroidデバイスを接続すれば、接続したAndroidデバイスが「Nemo」に表示されます。
PCとAndroidデバイス間でファイルのコピーが可能です。
6.その他
- Ubuntu Budgie 19.10でQtベースのアプリの起動が遅くなる問題の修正
- ログインとログアウト時に表示されるエラー報告数の削減
- GNOME Softwareからアップデートタブの削除(代わりにソフトウェアの更新を利用してください。)
- 左右のパネルを含むカスタムレイアウトを利用できるようにbudgie-desktopの不具合修正
- Ubuntu Budgieデスクトップ環境をアンインストールせずにデフォルトのアプレットをアンインストールできるように改善
- Tilixの起動に割り当てられていたF12キーを割り当てから解除(ブラウザーで共通的に使用されるキーボードショートカットであるため)
「Linux kernel」など「Ubuntu」との共通の変更点は、以下の「Ubuntu」の変更点を参照してください。
既知の不具合
既知の不具合です。1.VirtualBox/QEMUでセッションがクラッシュする
「VirtualBox」及び「QEMU」で、デフォルト設定のまま「Ubuntu Budgie 20.04 LTS」をインストールすると、初回ログイン時「budgie-welcome」を最初に開くとセションがクラッシュします。また「設定」といった他のアプリを起動したときにも、セションがクラッシュします。
この不具合の詳細は、以下を参照してください。
「KVM」や「QEMU」で仮想マシンを利用している場合、ビデオアダプター(グラフィックコントローラー)で「virtio」を選択してください。
「VirtualBox」で仮想マシンを利用している場合、グラフィックコントローラーの設定で「VMVGA」を選択してください。
もしくは「gstreamer1.0-vaapi」パッケージを削除してください。
詳細は、以下を参照してください。
2.アップグレード後にパネルがクラッシュする時は
アップグレード後にメニューボタンをクリックするとパネルがクラッシュする時は、「Ctrl + Alt + T」キーを押して端末起動し、以下のコマンドを実行してください。
nohup budgie-panel --reset --replace &
3.ターミナルベースのアプリが起動しない
メニューからターミナルベースのアプリを起動しても、ターミナルベースのアプリは起動しません。この不具合の詳細は、以下を参照してください。
回避策は、端末起動し、以下のコマンドを実行してください。
sudo ln -s /usr/bin/tilix /usr/bin/nxterm