GNOME 40の採用見送りへ
「Ubuntu 21.04」では最新版の「GNOME 40」を採用せず、「GNOME 3.38」に留まります。「GTK」も「GTK4」ではなく「GTK3」に留まります。
GNOME 40
以前紹介したように「GNOME 3.38」を最後に「GNOME」のバージョンの付け方が変わりました。「GNOME 3.38」の次のバージョンは「GNOME 40」になります。
バージョニングの変更については、以下を参照してください。
懸念事項
採用を見送った理由は「GNOME 40」の「GNOME Shell」と「GTK4」の安定性に懸念があり、それらの懸念の調査や課題に対応する余裕がないためです。シェルのデザイン
シェルのデザインは「Ubuntu」のデスクトップやGNOME Shell拡張のUXに影響を与えます。例えば「Ubuntu」は「GNOME」に「Ubuntu Dock」を搭載してリリースしています。
「Ubuntu Dock」とはデスクトップの左側に配置されるドックのことです。
このドックを左側に配置するレイアウトのままで良いのか、新しいシェルのデザインと調和するUXを検証する必要があります。
現時点で「GNOME 40」でシェルのデザインが安定しているという確信がなく、解決すべきデザイン上の懸念やそれなりの規模を伴うコードの変更が発生する可能性があります。
GTK4
「GTK4」がリリースされ「Debian」で「GTK4」のパッケージ化作業が行われています。これにより「Ubuntu」で追加作業を発生させることなく「GTK4」を利用できるようになります。
しかし実際に「Ubuntu」で「GTK4」を導入する場合、それによる影響や安定性の確認、「GNOME」が「GTK4」に完全移行しない場合のリスクを検証する必要があります。
Yaruテーマ
「Ubuntu」ではデスクトップのテーマに「Yaru」を採用しています。「Yaru」と「GTK4」の組み合わせで問題ないことを確認する必要があります。
開発チームに余裕がない
上記懸念の検証や対応にリソースを割く必要がありますが、開発チームはすでに他の作業で大きな負担を抱えておりリソースを割く余裕がありません。加えて「Ubuntu 21.04」のリリースまで残り約3ヶ月です。
これらの対応は更に次の「Ubuntu」、つまり2021年10月リリース予定の「Ubuntu 21.10」で予定されています。