Thunderbird 78の採用へ
現在「Ubuntu 20.04 LTS」では「Thunderbird 68」が採用されていますが、今後「Thunderbird 78」にメジャーアップデートされます。また将来的に「Ubuntu 18.04 LTS」向けにも「Thunderbird 78」のアップデートが提供される予定です。
Ubuntuのアップデートポリシー
「Ubuntu」の公式リポジトリー(APT)から提供されるソフトウェアは一部のソフトウェアを除き、積極的にメジャーバージョンアップされることはありません。「Ubuntu」のリリース時に採用されたソフトウェアに致命的な不具合や脆弱性が見つかった場合、その問題に対応したアップストリームのマイナーアップデートを採用したり、その問題に対応したパッチを適用することでメジャーバージョンアップせずに各ソフトウェアをユーザーにリリースしています。
ソフトウェアのメジャーバージョンアップを抑えることでリグレッションのリスクを抑えることができ、またユーザーや開発者に変わらないUXを提供できます。
特にミドルウェアやコアコンポーネントにあたるソフトウェアはメジャーバージョンアップすることで仕様が変わることもあります。
これは多くのアプリに影響を与えやすくユーザーや開発者にとって新たな学習・対応コストの発生に繋がりかねません。
いずれにせよすべてはユーザーや開発者に安定した「Ubuntu」を提供するため、そして日常的に安心して「Ubuntu」を利用してもらえるよう、このようなポリシーが採用されています。
カジュアルなデスクトップユーザーから見れば、何気なくアプリをアップデートしたら使い方が変化しており、自身のワークフローを変えなければならない状況は面白くありません。
またそのような状況から始まる一日は楽しくないでしょう。
Thunderbird 68がサポートされなくなった
さて今回の件ですが、元々「Ubuntu 20.04 LTS」で採用されていた「Thunderbird 68」はすでにアップストリームでサポートされておらず、セキュリティーアップデートを継続的に提供することが困難な状況になっています。これを踏まえ「Thunderbird 78」にメジャーアップデートされることになりました。
使い勝手が変わる
「Thunderbird 68」から「Thunderbird 78」にメジャーアップデートすることで「Thunderbird」の使い勝手が変化します。これによりユーザーのワークフローに影響を与える可能性があります。
Enigmailが非サポートに
「Enigmail」は「OpenPGP」によるメールの暗号化や署名を行うソフトウェアです。「Enigmail」は「Thunderbird 78」で非サポートになっており、「Thunderbird 78」で「Enigmail」を利用することはできません。
代わりに「Thunderbird 78」が提供するPGP機能を利用することになります。
「Thunderbird 78」では「OpenPGP」によるメールの暗号化や署名を行う機能を提供しています。
つまり「Thunderbird」側で「Enigmail」相当の機能を実装しているので、ユーザーは「Thunderbird」でそれらの機能を利用することになります。
「Thunderbird」が対応しているPGP関連の機能は、上記リンク先を参照してください。
さて「Enigmail」を提供する「enigmail」パッケージは、ユーザーに「Thunderbird 78」が提供するPGP機能の利用を促すよう修正(アップデート)されます。
TinyJSDが非サポートに
「TinyJSD」は開発者向けのアドオンです。「TinyJSD」も非サポートになり「Thunderbird 78」で利用することはできません。
代わりに「Thunderbird」が提供する開発者ツールを利用してください。
JsUnitが非サポートに
「JsUnit」も開発者向けのアドオンです。「JsUnit」は「Thunderbird 78」向けに移植されておらず、非サポートになります。