KDE Gear 21.08の新機能と変更点
2021年8月12日にリリースされた「KDE Gear 21.08」の新機能と変更点を紹介します。KDE Gear
「KDE Gear」は「KDE」環境向けに開発されているアプケーション群です。例えばファイルマネージャーの「Dolphin」や高度なテキストエディターである「Kate」、ターミナルエミュレーターの「Konsole」など多くのアプリがこれに含まれます。
今回紹介する新機能と変更点の中には、既存機能の紹介も含まれます。
Dolphin
「Dolphin」はファイルマネージャーです。「Dolphin」は高度な機能を提供しており、ファイルシステムのナビゲーションだけでなく、オンラインストレージやスマフォ、Gitリポジトリ等との連携も可能です。
1.フォルダーのプレビュー機能の改善
例えばフォルダー内に複数の画像がある場合、それらの画像のプレビューをアニメーションで切り替えながら表示できるようになりました。プレビュー生成処理も改善され、パフォーマンスが向上しています。
また「Plasma Vaults」等で暗号化されたフォルダー内もプレビュー可能になりました。
2.情報パネル
「F11」キーを押すと「Dolphin」の右側にファイルの情報を表示する「情報パネル」が表示されます。「情報パネル」には現在選択されているファイルもしくはマウスカーソルの下にあるファイルの情報が表示されます。
この「情報パネル」内に表示される情報がリアルタイムに更新されるようになりました。
例えば他のアプリでファイルを編集した場合、その結果が即座に反映されるようになりました。
3.ファイル名変更機能の改善
ファイル名の作業性が向上しました。ファイル名を変更したいファイルを選択して「F2」キーを押すと、以下のようにファイル名を変更できるようになります。
そして「Tab」キーを押せば、次のファイルのファイル名を変更できるようになります。
同様に「Shift + Tab」キーを押せば、1つ前のファイルのファイル名を変更できるようになります。
またファイル名を選択し、その部分をクリップボードにコピーできるようになりました。
4.ハンバーガメニューの改善
画面右上に配置されているハンバーガメニューでは、操作性とわかり易さが改善されました。このメニューからユーザーが必要とする様々な操作や機能にアクセスできます。
5.ごみ箱の設定画面
場所パネルにある「ごみ箱」を右クリックした時に表示されるコンテキストメニューに、ごみ箱の設定画面を表示する項目が追加されました。「Configure Trash...」をクリックすれば、以下のようにごみ箱の設定画面が表示されます。
Okular
「Okular」はドキュメントビューアーです。1.配色の切り替え
ドキュメントの配色を落ち着いた色に切り替えられるようになりました。ライトカラー(標準)
ダークカラー
ダークカラーは目への負担を抑える配色になっています。Change Dark & Light Colorsを利用するには
この機能を利用するには、ツールバーに「Change Dark & Light Colors」を追加します。- ツールバーを右クリックし、表示されるメニューから「ツールバーを設定」をクリック
- 「ツールバー」で「メインツールバー <okular_part>」を選択
- 左側の一覧から「Change Dark and Light colors」を選択し、中央の「>」ボタンをクリック
後はツールバーに配置された「Change Dark & Light Colors」ボタンをクリックすることでドキュメントの配色を切り替えられます。
2.通知の抑制
埋め込みファイルやフォーム、署名に関する通知メッセージを抑制できるようになりました。3.アノテーションの改善
ハイライトや下線などアノテーションのオン・オフを切り替えられるようになり、「Okular」はその設定を記憶するようになりました。またアノテーション作業開始時、「Okular」は「Browse」及び「Text Selection」モードを自動的に無効化するようになりました。
これにより余計な誤操作を回避できます。
Konsole
「Konsole」はターミナルエミュレーターです。1.画像ファイルのプレビューに対応
「Konsole」には色を表示するプレビュー機能があります。例えば「red」と入力してその上にマウスカーソルを合わせると、以下のように色のプレビューが表示されます。
HTMLのカラーコードにも対応しています。
このプレビュー機能が拡張され、画像ファイル上にマウスカーソルを合わせると、以下のように画像のプレビューを表示できるようになりました。
この機能を有効にするには、「ファイルに下線をつける」を有効にしてください。
2.ファイル操作
「1.」と同様にファイルをアプリで開くことも可能です。また「Alt」キーを押しながらファイルをドラッグ&ドロップし、ファイルマネージャーと同様の振る舞いを行うことも可能です。
3.タブの分割
「Konsole」はタブを分割(画面を分割)し、1つのウィンドウ内で複数のコンソールを実行できます。タブを分割するにはツールバーからタブを分割するボタンをクリックするか、「Ctrl + (」キーもしくは「Ctrl + )」キーを押します。
各分割画面はボーダーをドラッグ&ドロップすることでリサイズできます。
またツールバーにはタブレイアウトのプリセットが用意されており、それらのボタンをクリックすることでタブを分割することも可能です。
4.タブレイアウトの保存と復元
「3.」に関連しますが、分割したタブの状態を保存及び復元できます。タブレイアウトの保存と復元は、「表示」メニューの「Save tab layout to file」及び「Load tab layout to file」から実行可能です。
5.複数のコンソールに入力を送信
「編集」メニューの「入力をコピー」から、複数のコンソールにキー入力を同時に送信することが可能です。送信先のコンソールを選択することも可能です。
6.SSH接続が簡単に
SSHプラグインが搭載され、SSH接続がもっと簡単になりました。すでに「.ssh/config」があるなら「Plugin」メニューから「Show SSH Manager」をクリックします。
「SSH Manager」が表示されるので画面下部の「Import」ボタンをクリックします。
以下のようにSSHの設定が取り込まれ、各種サーバーに簡単に接続できます。
また「+」ボタンをクリックすれば、新規項目を追加することも可能です。
Gwenview
「Gwenview」はイメージビューアーです。イメージビューアーですが、画像の回転やリサイズ、切り抜きといった画像の簡易編集機能も備えています。
1.画像の拡大・縮小表示が簡単に
画面右下のポップアップメニューから、簡単に画像の表示倍率を指定できるようになりました。2.画像の背景色の変更
白い画像を表示する際、画像の背景(画像の周りの色)が暗色の方が都合通いでしょう。画面下部のカラーピッカーから画像表示エリアの色を変更できるようになりました。
3.ハンバーガメニュー
画面右上のハンバーガメニューから「Gwenview」の各種機能にアクセスできるようになりました。従来のメニューバーを表示することも可能です。
4.画像のブラウジング
画面上部にある矢印ボタン(<,>)をクリックすれば、フォルダー内の画像を画像のブラウジングが可能です。キーボードの矢印キーでも同様の操作が可能です。
また最後の画像を表示している状態で次の画像を表示すると、最初の画像が表示されます。
5.動画の再生
動画の再生にも対応しています。動画を読み込むと再生を制御する各種コントロールが画面下部に表示されます。
「スペースキー」で動画の再生と停止を切り替えることができます。
6.16bitカラーとカラープロファイルの読み込み
16bitカラーの画像に対応しました。また「JPEG」や「PNG」などに含まれるカラープロファイルの読み込みにも対応しています。
Elisa
「Elisa」は音楽プレーヤーです。1.UIの切り替え
「F11」キーを押すと、以下のようにシンプルなUIに切り替えることができます。2.再生状況の記憶
再生中の音楽や再生の停止位置を記憶し、次回起動時に再生を継続することも可能です。Spectacle
「Spectacle」はスクリーンキャプチャーです。1.マウスカーソル下にあるウィドウのキャプチャー
「Super + Ctrl + Print」キーで現在マウスカーソルの下にあるウィドウをキャプチャーできるようになりました。2.Waylandのサポート改善
「Wayland」のサポートが改善され、「Wayland」環境でも今までよりも高速にそして安定して動作するようになりました。3.キャプチャー後の動作
設定画面では、キャプチャー後の動作設定が従来よりも分かりやすくなりました。Kate
「Kate」はテキストエディターです。1.Snippets
「Snippets(スニペット)」は文章やコードの一部を保持し、それらを再利用する機能です。2.Dartに対応
「LSP(Language Server Protocol)」がプログラミング言語の「Dart」に対応しました。Kdenlive
「Kdenlive」は動画編集ソフトです。1.既存機能の強化
「MLT 7」に対応し、キーフレーム効果付きでクリップの速度を変更するなど既存機能が強化されました。2.パフォーマンスの改善
ジョブマネージャーの改善や、プロジェクトを従来よりも高速に開いたり、ファイルのインポートが高速化されました。KDE Connect
「KDE Connect」はスマフォのファイルやリソースを共有するなど、各種デバイスと連携するためのアプリです。1.メッセージの返信
通知から簡単にテキストメッセージを返信できるようになりました。Yakuake
「Yakuake」はターミナルエミュレーターです。デスクトップ上部に常駐し、HUDスタイルでコンソールを提供します。
「F12」キーを押せばコンソールが表示されます。
「Konsole」のように画面の分割や複数のタブに対応しています。
1.ペインの切り替え
「Ctrl + Tab」キーで次のペインに切り替えることができます。Ark
「Ark」はアーカイブマネージャーです。アーカイブ(いわゆる圧縮ファイル)の作成や展開に利用します。
1.スプラッシュスクリーンの表示
アーカイブを指定せずに起動した場合、スプラッシュスクリーンを表示するようになりました。2.ZIPファイルのサポート改善
Windowsスタイルのバックスラッシュをセパレーターとして使用している「ZIP」ファイルの展開に対応しました。KDE Gear 21.08をインストールするには
「KDE Gear 21.08」をインストールする方法です。1.Kubuntu 21.04を利用している場合
「Kubuntu 21.04」を利用している場合、以下の方法で「KDE Gear 21.08」をインストールできます。もし「Kubuntu Backports PPA」から利用したいアプリが提供されていない場合、以下の方法を試してください。