KDE Gear 21.12の新機能と変更点
2021年12月9日、「KDE Gear 21.12」がリリースされました。リリースノートから「KDE Gear 21.12」の新機能や変更点を紹介します。
KDE Gear
「KDE Gear」は「KDE」コミュニティーによって開発されているソフトウェア群(アプケーション群)です。例えばファイルマネージャーの「Dolphin」や高度なテキストエディターである「Kate」、ターミナルエミュレーターの「Konsole」など多くのアプリがこれに含まれます。
「KDE」環境では「KDE Gear」から提供されるアプリケーションの多くがデフォルトで採用されています。
今回紹介する新機能と変更点の中には、既存機能の紹介も含まれます。
Dolphin
「Dolphin」はファイルマネージャーです。「Dolphin」は高度な機能を提供しており、ファイルシステムのナビゲーションや様々なファイル操作だけでなく、オンラインストレージやスマフォ、Gitリポジトリ等との連携も可能です。
フィルター機能の改善
「Dolphin」には表示するファイルやフォルダーを名前でフィルタリングするフィルター機能があります。フィルター機能は、指定された名前を含むファイルやフォルダーのみを表示する機能です。
フィルター機能は「Ctrl + I」キーを押すか、ハンバーガーメニューの「フィルター」をクリックすれば、フィルターの表示・非表示を切り替えることができます。
例えばフィルターに「.txt」と入力すると、ファイルやフォルダー名に「.txt」を含むファイルやフォルダーのみ表示されます。
さてファイルやフォルダーの表示モードが詳細表示モードになっており、サブフォルダーが展開されている場合、展開されているサブフォルダーの内フィルター条件に合うファイルを含むサブフォルダーのみが表示されるように改善されました。
これにより表示上の煩雑さが軽減され、ユーザーは目的のファイルを見つけやすくなりました。
隠しファイルの並び替えの改善
通常「Dolphin」では隠しファイルやフォルダーは非表示になっています。「Ctrl + H」キーを押すか、ハンバーガーメニューの「隠しファイルを表示」をクリックすれば、隠しファイルの表示・非表示を切り替えることができます。
この時隠しファイルやフォルダーは通常のファイルやフォルダーと区別されることなく並び替えられファイル一覧に表示されます。
この機能が改善されハンバーガーメニューの「ソート基準」で「Hidden Files List」が有効になっている場合、隠しファイルやフォルダーは通常のファイルやフォルダーよりも後ろに並び替えられるようになりました。
プレビュー機能の改善
「Dolphin」には選択されているファイルの中身をプレビュー表示する機能があります。このプレビュー機能が改善され、「WEBP」フォーマットの画像を含むコミックブックファイル(.cbz )に対応しました。
またプレビュー機能のアイコン拡大機能が改善されました。
Spectacle
「Spectacle」はデスクトップのスクリーンショットを撮るアプリです。「KDE」向けのアプリらしく「Spectacle」も非常に多機能なアプリです。
スクリーンショットを撮ってその場で画像を編集したり注釈を加えることもできます。
設定画面の整理
「Spectacle」に限った話ではありませんが、多機能なアプリはその機能の豊富さ故、設定画面や設定項目が煩雑になりがちです。「Spectacle」の設定画面のデザインが見直され、煩雑さが改善され分かりやすさが向上しました。
また設定画面では「Spectacle」起動時の動作やスクリーンショット作成後の動作を指定できるようになりました。
スクリーンショット作成時、以前スクリーンショットを撮った時の設定を記憶しておき、以前と同じ矩形領域で再度スクリーンショットを撮ることも可能です。
スクリーンショットの保存
「Spectacle」のプレビュー画面から「Dolphin」にスクリーンショットをドラッグ&ドロップしてスクリーンショットを保存することも可能です。またオンライン画像ストレージにスクリーンショットをドラッグ&ドロップしてスクリーンショットを保存することも可能です。
10bitカラー深度のサポート改善
10bitカラー深度がサポートされているスクリーンでは、「Spectacle」は10bitカラー深度で正常にスクリーンショットを作成できるようになりました。Waylandのサポート改善
「Wayland」環境でも「X11」と同様にアクティブウィンドウのスクリーンショットを作成するなど、「Wayland」のサポートが改善されています。Kdenlive
「Kdenlive」は高度な動画編集アプリです。バックグラウンドノイズの除去
風や交通、波の音といった音声のバックグラウンドノイズを除去する機能が追加されました。モーショントラッキングの改善
モーショントラッキングが改善され、使いやすさが向上しました。モーショントラッキングの使い方は、以下を参照してください。
トランジションの改善
トランジションの操作性が向上し、トランジションの調整や設定が容易になりました。トランジションの使い方は、以下を参照してください。
トリミングモードの改善
新しい「Slipトリミングモード」や「Rippleトリミングモード」が利用できるようになりました。トリミングモードの使い方は、以下を参照してください。
マルチカム編集機能
マルチカム編集機能により複数の映像を確認しながら編集作業を行うことができます。Konsole
「Konsole」はターミナルエミュレーターです。デスクトップと連携した機能
「Konsole」はCUI環境を提供するだけでなく、デスクトップと連携して動作できるように便利な機能も提供しています。例えばパネルの分割やタブ機能により複数のタスクを同時に実行できます。
出力されたファイル上にマウスカーソルを合わせれば、そのファイルのプレビューがポップアップで表示されます。
また同様にそのファイルをクリックすれば、そのファイルを関連付けられたアプリで開きます。
ツールバーの改善
ツールバーにレイアウトやビューの分割に関する操作がツールバーに配置されました。メニューバーの表示切り替えなどツールバーのカスタマイズも可能です。
カラースキームの変更
「設定」メニューからカラースキームを変更できます。SSHマネージャー
「SSHマネージャー」はSSH接続を管理する機能です。「Konsole 21.08」の時に実装された機能ですが、この機能を実現するのに必要な実装が一部欠けていたため、直前にこの機能が削除されていました。
そのため今回改めてこの機能が登場することになりました。
Elisa
「Elisa」は音楽プレーヤーです。デザインがよりスタイリッシュになり、インターフェースやオプションの調整により使い勝手が向上しています。
Gwenview
「Gwenview」は、画像ビューアーです。「Gwenview」は画像の簡易編集機能も備えており、変更を適用する前にストレージの使用量を表示するようになりました。
KDE Connect
「KDE Connect」は、スマホなどモバイルデバイスと連携するためのアプリです。「エンター」キーでメッセージを送信できるようになりました。
メッセージの改行は「Shift + エンター」キーで行います。
KDE Itinerary
「KDE Itinerary」は旅行支援アプリです。「COVID 19」に関するデータの表示や、旅行日と共に旅行した国名が表示できるようになりました。
Kate
「Kate」は高度なテキストエディターです。埋め込みターミナルで複数のタブを開けるようになりました。
Git統合プラグインでは、ブランチを削除できるようになりました。
また開いているドキュメントやレイアウトなどセッションの状態を記憶できるようになりました。
KolourPaint
「KolourPaint」は、シンプルな画像編集ソフトです。UIデザインが新しくなりました。
Kontact
「Kontact」は、連絡先やカレンダー、メールアドレスなどを管理するアプリです。いわゆるPIMアプリですね。
メールフォルダーのようにリソースやコレクションの設定が簡単になり、「Outlook」ユーザーがアカウントにアクセスする際の安定性が向上しています。
Akregator
「Akregator」は「RSS」や「Atom」のフィードリーダーです。すでに目を通した記事の検索やフィードの更新が簡単になりました。
Skanlite
「Skanlite」はスキャナーからドキュメントや画像をスキャンするスキャンアプリです。スキャンした内容を単一ページのPDFファイルに直接保存することもできます。
また最後に使用したスキャナーの記憶や、内容を保存するときに最後に指定した画像フォーマットを記憶するようになりました。
Filelight
「Filelight」はディスクの使用状況を分析し、その結果を視覚化するアプリです。ストレージの分析をマルチスレッドで行えるようになり、パフォーマンスが改善されています。
Konqueror
「Konqueror」はクラシックスタイルのファイル及びウェブブラウザーです。証明書エラー発生時に、より詳細な情報が表示されるようになりました。
KCalc
「KCalc」は電卓です。計算式の履歴を表示・再利用できるビューを表示できるようになりました。
様々なKDEアプリケーション
さてKDEコミュニティーでは、様々なKDEアプリケーションを開発・提供しています。KDEコミュニティーが開発しているだけあって、同じくKDEコミュニティーが開発している「KDE Plasma」デスクトップ環境と高い親和性や使い勝手を提供しています。
KDEアプリケーションの一覧や紹介は、以下を参照してください。
どれも高機能及び多機能なアプリばかりです。
ユーザーのワークフローの構築や改善に大きく役立ってくれるでしょう。
KDE Gear 21.12をインストールするには
「KDE Gear 21.12」をインストールする方法です。1.Kubuntu 21.10を利用している場合
「Kubuntu 21.10」を利用している場合、以下の方法で「KDE Gear 21.12」をインストールできます。もし「Kubuntu Backports PPA」から利用したいアプリが提供されていない場合、以下の方法を試してください。