Mozilla版Firefoxへの移行と移行準備
以前紹介したように「Linux Mint」はMozilla版「Firefox」へ移行します。その移行に関する準備が以下で紹介されています。
この内容は影響を受けるユーザー向けの内容ですので、目を通しておくと良いでしょう。
Mozilla版Firefoxへの移行
Mozilla版「Firefox」への移行に関する経緯は、以下を参照してください。Firefox 96から移行する
2022年1月11日、Mozillaから「Firefox 96」がリリースされました。そして「Linux Mint」はこれを受け、2022年1月14日にユーザー向けに「Firefox 96」をリリースする予定です。
(日本時間では+1日程度見ておきましょう)
影響を受けるLinux Mintのバージョン
Mozilla版「Firefox」への移行は、以下の「Linux Mint」のバージョンで実施されます。- Linux Mint 19.x
- Linux Mint 20.x
- LMDE 4
ただし「Linux Mint 20.3」では「Linux Mint 20.3 β版」の時点ですでに本移行が完了しています。
影響を受けるFirefoxの提供元
影響を受ける「Firefox」の提供元は、「Linux Mint」の公式リポジトリーから配布されている「Firefox」のみ、本件に影響を受けます。「Flatpak」から配布されている「Firefox」は、すでにMozilla版「Firefox」が提供されています。
もちろんMozilla公式から配布されている「Firefox」もそうですし、ESR版かそうでないかにも関わらずPPAから配布されている「Firefox」も同様です。
その他のブラウザーはそもそも本件には関係しません。
影響を受ける箇所
様々な「Firefox」の設定がMozillaのデフォルトの設定に変更されます。この設定は「Windows」版「Firefox」やその他Mozilla版「Firefox」を利用しているユーザーにとって馴染みある設定になります。
ユーザーが主に影響を受ける箇所は、以下の3点です。
- 検索エンジン
- スタートページ
- ブラウザーの設定
ブラウザーの設定
ブラウザーの設定は現在ユーザーがカスタマイズしている設定のみが引き継がれ、デフォルトの設定から変更されていない設定は、Mozilla版「Firefox」の設定に変更されます。これにより移行前と移行後に一部動作が変化する可能性があります。
また「Firefox」は、ユーザーがカスタマイズしたデフォルト値と異なる設定値のみをプロファイルに保存します。
ユーザーがデフォルト値と同じ設定値に変更した場合、それはユーザーが設定した設定値ではなく、デフォルトの設定値として扱われます。
バックアップ
Mozilla版「Firefox」へ移行する前に、システムやプロファイルのバックアップをとっておくと良いでしょう。システムのバックアップ
システムのスナップショットを作成し、システムをバックアップできます。もし移行に際し何かしら問題が発生した時は、ここで作成したスナップショットからシステムを復元できます。
システムのスナップショットは「Timeshift」で作成します。
「Timeshift」はデフォルトでインストールされています。
プロファイルのバックアップ
「Firefox」のプロファイルは「~/.mozilla」フォルダーに保存されます。手動でそのフォルダーをコピーするか、以下のコマンドで「~/.mozilla-backup」にコピーを作成できます。
cp -R .mozilla .mozilla-backup
カスタムポリシー
「Linux Mint」が提供するカスタムポリシーは、以下のファイルに記述されています。- /usr/lib/firefox/distribution/policies.json
もしユーザーがここにファイルを作成している場合、このファイルは上書きされます。
必要に応じてバックアップを作成してください。
またMozilla版「Firefox」への移行後、ユーザーは自身のポリシーを以下で設定できます。
- /etc/firefox/policies
移行後に確認すること
Mozilla版「Firefox」への移行後(アップデート後)、ブラウザーの設定を確認すると良いでしょう。「設定」から「Firefox」の設定を確認できます。
スペルチェックと辞書の設定確認
スペルチェックと辞書を利用する場合、一部の環境で影響を受ける可能性があります。「Firefox」のこれらの設定にユーザーの言語が含まれていない場合、以下のコマンドを実行し「Firefox」のロケールパッケージがインストールされている確認してください。
dpkg -l firefox*
「Linux Mint」で「Firefox」のロケールパッケージは「firefox-locale-」で始まるパッケージです。
例えば日本語では「firefox-locale-ja」パッケージが、フランス語では「firefox-locale-fr」パッケージが、ドイツ語では「firefox-locale-de」パッケージが該当します。
また「Firefox」のパッケージバージョンと同じパッケージバージョンのロケールパッケージがインストールされていることを確認してください。
一方「LMDE」では「firefox-l10n」で始まるパッケージです。
よく分からない時は
「Firefox」のロケールパッケージのインストール状況がよく分からない時は、「システムレポート」を実行してください。「システムレポート」ロケールパッケージのインストール状況を確認し、¥必要な情報をユーザーに提示します。
辞書に単語がない場合
辞書に単語がない場合、バックアップしたプロファイルの中から「persdict.dat」ファイルを探し出し、それを既存のプロファイル内にコピーしてください。カスタムChrome CSS
今回の移行に関係するかどうか分かりませんが、ユーザーからカスタムChrome CSSが失われる現象が報告されています。もしこのような現象が発生した場合は、バックアップしたプロファイルの中から
カスタムChrome CSSファイルやuserContent.cssファイルをコピーし、「about:config」で以下の設定を有効化してください。
- toolkit.legacyUserProfileCustomizations.stylesheets
ご使用のブラウザーはあなたの所属組織に管理されています。
このようなメッセージは気にしなくて良いです。この件は以下のFAQで紹介していますので、以下を参照してください。