GNOME 42の対応方針
以下で「Ubuntu 22.04 LTS」における「GNOME 42」の対応方針が紹介されています。以前「GNOME 42」の採用に関する話題を紹介しましたが、今回はもっと具体的な内容が紹介されています。
GNOME 42の対応方針
今までもそうですが「GNOME」の新バージョンを採用する際、「GNOME」からリリースされたすべての新バージョンのソフトウェアをそのまま採用するとは限りません。開発上の都合もあり一部のアプリやコンポーネントは従来のバージョンを採用するなど、状況によってソフトウェアごとに採用方針が変わることもあります。
さて今回も「GNOME Shell」とGNOMEコアアプリケーションに話題が別れています。
GNOME Shellは42を採用予定
「GNOME Shell」は「GNOME 42」由来の「GNOME Shell」が採用される予定です。開発チームは一旦「GNOME 41」由来の「GNOME Shell」を採用した後、「GNOME 42」由来の「GNOME Shell」へと移行する予定です。
ですので最終的に「Ubuntu 22.04 LTS」では、「GNOME 42」由来の「GNOME Shell」が採用される予定です。
GTK 4への移行は見送りか
次にGNOMEコアアプリケーション側の話です。少なくとも「Ubuntu」にデフォルトでインストールされるアプリケーション群は、「GTK 4」の採用に消極的になります。
品質の確保が難しい
現在「Ubuntu 22.04 LTS」のリポジトリーで「GTK 4」に移行しているアプリが「gnome-chess」しかなく、広範にわたる「GTK 4」の十分なテストを実施できません。加えて「GNOME」における「GTK 4」への移行作業は現在行われている最中であり、また移行作業だけでなくコードの見直しも一緒に行われることもあります。
そのためこの移行作業により新たな不具合(リグレッション)が発生する可能性があります。
「Ubuntu 22.04 LTS」はLTSリリースであり、長期サポートと高い品質を提供しなければなりません。
そのため通常リリースの「Ubuntu」よりも十分なテストを実施する必要があり、そしてこのようなリスクはLTSリリースの「Ubuntu」には不向きです。
テーマやカラーリングのカスタマイズができない
GNOMEコアアプリケーションは「libadwaita」への移行を行っていますが、現時点でこの仕組みによりテーマやカラーリングのカスタマイズが困難になっています。そのため「Ubuntu」が提供する他のソフトウェアと一貫性あるデザインを確保できません。
これが特に大きな課題になっています。
「Ubuntu」は今後この課題を解決するために「GNOME」と連携して取り組んでいく予定ですが、その取り組みは「Ubuntu 22.04 LTS」では行われません。
さらに次のリリースの「Ubuntu 22.10」で検討されることになります。
GTK 3に留まる
これらを踏まえ少なくとも「Ubuntu」にデフォルトでインストールされるアプリケーション群は、「GTK 3」ベースに留まる予定です。gnome-control-centerも採用見送り
「GNOME 42」由来の「gnome-control-center」も採用が見送られる予定です。例えテーマやカラーリングの課題が影響しなかったとしても、「gnome-control-center」のパッケージングに大きな作業負担がかかるためです。
Dark Style Preference対応
「Dark Style Preference」対応についても紹介されています。「Dark Style Preference」の概要は以下を参考にしてください。
「libhandy」が提供する「Dark Style Preference」機能を活用できないか、今後検証される予定です。