KDE Plasma 5.24の新機能と変更点
2022年2月8日、「KDE Plasma 5.24」がリリースされました。リリースアナウンスから「KDE Plasma 5.24」の新機能と変更点を紹介します。
KDE Plasma
「KDE Plasma」はデスクトップ環境です。「KDE Plasma」はデスクトップを構成する様々なソフトウェアで構成されており、ユーザーが日々接するインターフェースになります。
LTSリリース
「KDE Plasma 5.24」はLTSリリースであり、長期サポートが提供されます。「KDE Plasma 5」シリーズの最終バージョンまで、アップデート及び不具合の修正が行われます。
デスクトップ
デスクトップに関連する変更点です。新しい壁紙
「KDE Plasma 5.24」では新しい壁紙が採用されました。Dolphinから簡単に壁紙を設定可能に
「Dolphin」はデフォルトのファイルマネージャーです。「Dolphin」で壁紙に設定したい画像を右クリックし、表示されるコンテキストメニューの「Set as Wallpaper」から壁紙を設定できるようになりました。
Picture of the Dayの改善
「Picture of the Day」は日替わりで壁紙を設定するプラグインです。「Picture of the Day」は「Simon Stålenhag’s gallery」から壁紙を取得できるようになりました。
ディスプレイの設定画面の表示
デスクトップを右クリックして表示されるコンテキストメニューから「Configure Display Settings」を選択し、以下のようにディスプレイの設定画面を表示できるようになりました。ディスプレイの設定画面では、ディスプレイの解像度や画面の向き、スケーリングといった各種ディスプレイの設定が可能です。
デスクトップパネル
デスクトップパネルに関連する変更点です。操作性の改善
「Edit Mode」時のデスクトップパネルでは、ツールバー上のどこからでもデスクトップパネルをドラッグできるようになり、簡単に画面の各端に沿うように移動及び配置できるようになりました。アニメーション表示
ウィジェットをデスクトップにドラッグ&ドロップし移動する際、最終的な配置位置へスムーズなアニメーションを行いながらウィジェットが移動するようになりました。テーマと見た目
テーマと見た目に関連する変更点です。カラースキーム名の変更
デフォルトの「Breeze」カラースキーム名が「Breeze Classic」に変更されました。これにより「Breeze Light」及び「Breeze Dark」が従来のカラースキームである「Breeze」と区別しやすくなりました。
任意のアクセントカラーを設定可能に
任意のアクセントカラーを設定できるようになりました。アクセントカラー自体については「KDE Plasma 5.23」の時に導入された機能です。
詳細は以下を参照してください。
FreeDesktop Colour Scheme Preferenceのサポート
カラースキームが「FreeDesktop Colour Scheme Preference」に対応しました。ライト系のカラースキームを選択すればライトモードを、ダーク系のカラースキームを選択すればダークモードを「FreeDesktop Colour Scheme Preference」に設定します。
これによりKDE以外のアプリでも「FreeDesktop Colour Scheme Preference」に対応したアプリならライトモード/ダークモードに追従してテーマを調整してくれるようになります。
Global ThemeがLatte Dockをサポート
「Latte Dock」はドックアプリです。「Global Theme」が「Latte Dock」をサポートし、「Latte Dock」のレイアウトの指定や変更を行えるようになりました。
フォーカスの強調
UIのコントロールで使用されるフォーカス効果にサイズが大きいフォーカスリングが採用され、現在フォーカスがあたっているアイテムを識別しやすくなりました。通知
通知に関連する変更点です。緊急性の高い通知の強調表示
緊急性の高い重要な通知を目立たせ、緊急性の低いメッセージと視覚的に区別できるようにするため、オレンジ色のバーが左側に描写されるようになりました。読みやすさの改善
すべての通知メッセージを読みやすくするため、通知のヘッダー及びタイトルラベルのコントラストと視認性が改善されました。動画ファイルに関連する通知の改善
動画ファイルに関連する通知では、動画のサムネイルが通知内に表示されるようになりました。システムトレイとウィジェット
システムトレイとウィジェットに関連する変更点です。Digital Clockウィジェット
「Digital Clock」ウィジェットでは、常に時間を下側に配置する「Date always below time」オプションが追加されました。Weatherウィジェット
「Weather」ウィジェットでは、初めてシステムトレイに追加した時に、設定を行うかどうかを確認するようになり、自動的に利用可能なすべての天気ソースを検索するようになりました。Battery & Brightnessウィジェット
「Battery & Brightness」ウィジェットでは、バッテリーがないPCでより正確なタイトルやアイコンが表示されるようになりました。ClipboardとNetworkウィジェット
「Clipboard」と「Network」ウィジェットでは、キーボードでアイテムのナビゲーションが可能になりました。タスクマネージャー
タスクマネージャーに関連する変更点です。パフォーマンスの向上
タスクマネージャー上のアイテムにマウスカーソルを置いた時にウィンドウのサムネイル付きのツールチップが表示されますが、このツールチップの読み込みが高速化されました。音量調整スライダー
オーディオを再生しているウィンドウでは、音量を調整するスライダーがツールチップに配置されるようになりました。コンテキストメニューの整理
新しいインスタンスでアプリを起動する「Start New Instance」の名称が「Open New Window」に変更されるなど、コンテキストメニューの分かりやすさが改善されました。また単一のメインウィンドウを持つアプリでは、「Open New Window」が表示されないようになりました。
従来の「More Actions」アイテムがメニューの下部に移動され、「More」に名称が変更されました。
システム設定
システム設定に関連する変更点です。ハンバーガメニューの位置
ハンバーガメニューの位置が検索テキストボックスの右側に移されました。検索機能の改善
検索機能ではユーザーの言語及び英語で各設定を検索できるようになりました。キーボードレイアウトの追加画面の改善
キーボードレイアウトの追加画面のUIが改善され、分かりやすさと使いやすさが向上しました。ディスプレイとモニタ
ディスプレイとモニタでは、物理解像度と同様に各スクリーンで使用されているスケールファクターを表示するようになりました。ウィンドウ管理
ウィンドウ管理に関連する変更点です。Overviewデスクトップ効果
現在まだβ版ですが、Overviewデスクトップ効果を利用できるようになりました。Overviewデスクトップ効果は、「システム設定」>「ワークスペースの挙動」>「デスクトップ効果」から有効化できます。
「Windows + W」キーを押すと、すべてのウィンドウと仮想デスクトップのオーバービューが表示されます。
ウィンドウをドラッグ&ドロップして別のデスクトップに移動したり、「KRunner」による検索や数式の計算、タスクの実行が可能です。
Cover FlipとFlip Switchが利用可能に
タスクスイッチャーで再び「Cover Flip」と「Flip Switch」を利用できるようになりました。「システム設定」>「ウィンドウの操作」>「タスクスイッチャー」から切り替えられます。
NVIDIA GPUのパフォーマンス改善
NVIDIA GPUを搭載したPCでパフォーマンスが改善されました。ウィンドウの初期位置
新しいウィンドウはデフォルトでスクリーンの中央で開かれるようになりました。Discover
「Discover」に関連する変更点です。自動的な再起動
「Update」ページの下部にソフトウェアのアップデート完了後に自動的にPCを再起動するチェックボックスが追加されました。アップデート画面の改善
「Update」ページでアップデート対象のソフトウェアを選択するUXが改善されました。またアップデートの提供元が表示されるようになりました。
ソフトウェアのアップデートではアップデートの確認処理が高速化され、「Update」ページのパフォーマンスも改善されています。
Flatpakのサポート改善
ローカルにダウンロードしたFlatpakパッケージを「Discover」からインストールできるようになりました。またFlatpakパッケージに対応したリポジトリーを自動的にシステムに登録できるようになりました。
不具合の報告先リンク
各アプリケーションの説明ページの下部に「Report a problem」リンクが追加されました。「Report a problem」は各アプリケーションの不具合の報告先にリンクされており、そこからアプリケーションの不具合を報告できます。
またソフトウェアのアップデートに問題が発生する場合は、OSの不具合報告サイトにリンクが飛ぶようになっています。
KRunner
「KRunner」に使い方や機能を紹介するヘルプ機能が搭載されました。「?」ボタンをクリックすると、以下のようにヘルプが表示されます。
各アイテムをクリックすると、そのアイテムの使い方に関する詳細情報が表示されます。
ログインやロック画面
ログインやロック画面に関連する変更点です。指紋認証に対応
「KDE Plasma」に指紋認証機能が取り込まれました。最大10件の指紋を登録でき、画面のアンロックやアプリケーションのパスワード認証に指紋認証を利用できます。
また「sudo」実行時の認証にも指紋認証を利用できます。
スリープやハイバネーション
最初にアンロックせずにPCをスリープやハイバネーションに移行できるようになりました。Wayland
「Wayland」に関連する変更点です。スタイラスのサポート改善
スタイラス利用時、ウィンドウのタイトルバーからそのウィンドウをアクティブにできるようになりました。またタイトルバーが提供しているその他一般的な機能への対応も改善されました。
仮想キーボード
仮想キーボードの表示・非表示を切り替えるシステムトレイのアイテムは、タブレットモード時のみがアクティブになるように変更されました。またタッチ入力やスタイラスでは、テキストコントロールにフォーカスがあたった時のみ、仮想キーボードが表示されるようになりました。
アプリやコンポーネントのサポート改善
プライマリーモニターを設定できるようになりました。スクリーンキャプチャーアプリの「Spectacle」は、Active Windowモードに対応できるようになりました。
「Minimize All Windows」ウィジェットも動作するようになりました。
X11環境で使用されている各種ショートカットキーのサポートも改善されており、「Super + Tab」キーといったキーのサポートも改善されています。