Active Directoryのサポート強化とADsys
「Ubuntu 22.04 LTS」で「Active Directory」のサポートが強化され、さらに使いやすさが向上しました。上記でその背景の第一弾が紹介されています。
Ubuntu 22.04 LTSのリリース情報
「Ubuntu 22.04 LTS」のリリース情報は、以下を参照してください。- Ubuntu 22.04 LTSがリリースされました・ディスクイメージのダウンロード
- Ubuntu 22.04 LTSの新機能と変更点
- Ubuntu 22.04 LTSの既知の問題
- Ubuntu 22.04 LTSで行われたRaspberry Piのサポート改善
- Ubuntu Desktop 22.04 LTSの注目機能
Active Directory
「Active Directory」は「Windows」で利用されている機能であり、システム管理者がユーザーやマシンリソースを一元的に管理するための仕組みです。「Active Directory」は特定のユーザーに対しリソースをどの程度割り当てるのか、同様にどの程度権限をもたせるのかを管理でき、企業などエンタープライズの分野で幅広く活用されています。
SSSDでActive Directoryをサポートしてきた
Linuxにおいて「Active Directory」は「SSSD(System Security Services Daemon)」でサポートしてきました。しかし「SSSD」がサポートする認証方式は限られており、「Group Policy Object」ポリシーに関連する機能も一部の機能に留まっていました。
新しいActive Directoryクライアント、ADsys登場
そこでその制約を改善するため、新しい「Active Directory」クライアントである「ADsys」が登場しました。Ubuntu Desktop 22.04 LTSでADsysを導入可能
「ADsys」は「Ubuntu Desktop 22.04 LTS」をサポートしており、「Ubuntu」をクライアントとして「Active Directory」に統合するのに必要な機能を提供しています。これには「admx」や「adml」テンプレートファイルのサポートも含まれています。
ADsysは2つのコンポーエントで構成されている
「ADsys」は以下の2つのコンポーエントで構成されています。- adsysd
- adsysctl
adsysdの役割
「adsysd」はサービスを支えるデーモンです。Group Policyプロトコルの実装や「Kerberos」「Samba」「LDAP」による認証、ポリシーの取得といった役割を担っています。
adsysctlの役割
「adsysctl」は「adsysd」を制御したり状態を確認するためのコマンドラインツールです。ADsysはSSSDやPAMを置き換えるものではない
「ADsys」は既存の「SSSD」や「PAM」を置き換えるものではなく、足りない機能を補完するためのものです。既存の仕組みは引き続きユーザー認証やホームディレクトリーの設定に活用されます。
ADsysの対応OS
「ADsys」は「Ubuntu 20.04.2 LTS」以降に対応しており、「Windows Server 2019」との組み合わせでテストされています。ADsysの関連情報
「ADsys」は「GPLv3」で開発されているオープンソースのソフトウェアです。「ADsys」は以下で開発されています。
「ADsys」の公式ドキュメントは以下を参照してください。
「Ubuntu Desktop」と「Active Directory」の統合や連携及び活用に関するホワイトペーパーは以下を参照してください。
ADsysは機能を追加する
「ADsys」は以下の機能を追加します。1.Group Policy Objectをネイティブにサポート
「ADsys」は「Group Policy Object」をネイティブにサポートします。クライアントマシンの「dconf」を活用し、マシン及びユーザーポリシーの設定をサポートします。
ちなみに「dconf」は「Windows」で言うところのレジストリーみたいなものです。
2.管理者権限の管理
デフォルトのローカルユーザー及び「Active Directory」のユーザーとグループに対し、管理者権限の付与や剥奪を行います。3.カスタムスクリプトの実行
マシンの起動時やシャットダウン時、及びユーザーのログインやログアウト時に、シェルスクリプトの実行をスケジューリングする機能を提供します。4.ポリシーファイルの生成
「adsysctl」で「Active Directory」にインストール可能な「.admx」及び「.adml」ポリシーファイルを生成できます。生成されたポリシーファイルを「Active Directory」にインポートすれば、「Windows Server」のグループポリシー管理エディターで簡単にポリシーを管理できるようになります。
ADsysが提供する高度な新機能を利用するには
「ADsys」が提供する高度な新機能を利用するには、「Canonical」のサポートサービスである「Ubuntu Advantage」に登録が必要です。制限はありますが個人向けに無償で利用可能なプランもあります。