Ubuntu 22.04 LTSのインストールの準備
ここではPCに「Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Desktop)」をインストール方法を紹介します。まずはインストールの準備からです。
1.BIOSとUEFI
「BIOS」や「UEFI」はPCのマザーボード上に実装されているファームウェア(ソフトウェア)です。1-1.ファームウェア
PCには電源を入れた時に各種ハードウェアを初期化したりハードウェアへのアクセスを提供するファームウェアがマザーボード上に実装されています。このファームウェアのことを「BIOS」と言います。
「BIOS」には従来からある「BIOS(Legacy BIOS)」と、新しい「UEFI」という仕様に対応した「UEFI BIOS」があります。
ここでは便宜上前者を「BIOS」、後者を「UEFI」と表現します。
1-2.UEFIはBIOSを置き換える
「UEFI」は従来の「BIOS」を置き換える新しい仕組みであり、2011年頃から「UEFI」に対応したPCやマザーボードが普及し始めました。現在販売されているPCは「UEFI」に対応したPCです。
1-3.BIOSやUEFIの設定
「BIOS」や「UEFI」にはハードウェアなど各種設定を行う設定画面が提供されています。PC起動時に「F2」キーや「Del」キーなど特定のキーを押すと、「UEFI」や「BIOS」の設定画面に移れますね。
今どきはグラフィカルな設定画面が一般的でしょうか。
さてどのキーが設定画面の表示に対応しているのかは、PCによって異なります。
また設定内容もPCにより異なります。
ですので「BIOS」及び「UEFI」の設定は、PCの説明書を参照してください。
例えばDellでは設定画面の表示に「F2」キーが割り当てられています。
1-4.UEFIとセキュアブート
「UEFI」ではセキュアブートという仕組みがあり、OS起動時に起動に関わるソフトウェアが認証された正当なソフトウェアかどうかをチェックすることができます。セキュアブートに対応しているかどうかはPCによって異なります。
またPCによっては、セキュアブートの有効・無効を切り替えられるPCもあります。
これもPCの説明書を参照してください。
例えばDellでは以下の手順でセキュアブートの切り替え方法を紹介しています。
1-5.UEFIとBIOS互換環境
「UEFI」に対応しているPCでも「CSM(Compatibility Support Module)」により、従来の「BIOS」環境と互換性のある環境を提供できるPCも数多く存在します。そのPCの多くは「UEFI」の設定画面でユーザーが「UEFI」環境とBIOS互換環境(CSM)を切り替えられるようになっています。
「UEFI」に対応したPCでも、「UEFI」の設定で「Legacy」等「BIOS」互換の設定を行っているPCは「BIOS」扱いになります。
1-6.BIOSとUEFIとUbuntu
さて上記をまとめますと、PCには以下の4種類の環境が存在することになります。- BIOS
- BIOS(UEFIのBIOS互換環境)
- UEFI(セキュアブート無効)
- UEFI(セキュアブート有効)
「Ubuntu 22.04 LTS」は上記すべての環境に対応しており、どの環境にも「Ubuntu 22.04 LTS」をインストール可能です。
ただし後述しますが別途システム要件があります。
1-7.UEFIに対応したPCは事前に設定の確認を
「UEFI」にはBIOS互換環境が存在しており、「UEFI」に対応したPCでもBIOS互換環境で「Ubuntu 22.04 LTS」をインストールする場合、「BIOS」扱いになります。「Ubuntu」を「BIOS」でインストールする場合は、必ず「BIOS」の設定でPC及び「Ubuntu」を起動してください。
「Ubuntu」を「UEFI」でインストールする場合は、必ず「UEFI」の設定でPC及び「Ubuntu」を起動してください。
また「UEFI」に対応したPCなら「UEFI」でインストールすることをお勧めします。
設定の確認方法や設定の変更方法は、PCの説明書を参照してください。
2.Ubuntuをインストール可能なPCは
上記では「BIOS」環境でも「UEFI」環境でも「Ubuntu 22.04 LTS」をインストール可能と紹介しましたが、それとは別に「Ubuntu」が要求するハードウェア要件があります。2-1.CPU
CPUは64bit(x86_64)に対応したCPUが必要です。「Ubuntu 22.04 LTS」は32bit(x86)向けにリリースされていません。
またCPUのクロック周波数が2GHz以上、かつデュアルコアのCPUが推奨されています。
2-2.メモリー
4GiB以上のメモリーが推奨されています。2-3.ストレージ
最低でも8.6GiB以上のストレージが必要です。25GiB以上のストレージが推奨されています。
2-4.DVDドライブもしくはUSBポート
「Ubuntu」のインストールは、DVDメディアもしくはUSBメモリーから行います。そのためそれらに対応したハードウェアが必要です。
DVDドライブはともかく、USBポートは大抵のPCについているでしょう。
またPCは利用するデバイスからOSを起動できる仕組みに対応している必要があります。
利用しているPCがどのデバイスからOSを起動可能かどうか確認するには、PCの説明書を参照してください。
合わせて起動方法もPCの説明書で確認しておくと良いでしょう。
大抵のPCはUSBメモリーからOSを起動できるかと思います。
2-5.TPMは不要
「Windows 11」で何かと話題な「TPM(Trusted Platform Module)」は不要です。「TPM」が無くても「Ubuntu 22.04 LTS」をインストール可能です。
2-6.その他のシステム要件は
上記を満たしていれば「Ubuntu 22.04 LTS」をインストール可能です。その他詳細なシステム要件は、以下を参照してください。
ただしシステム要件をすべて満たしていても、すべてのPCで「Ubuntu」の起動や利用を保証するものではありません。
まずは後述の手順に従って、「Ubuntu」を試用して見ると良いでしょう。
3.ライブメディアを作る
ライブメディアは「Ubuntu」のインストールに使用するメディアです。「Windows」で言うところのインストールメディアに相当するものです。
3-1.Ubuntuの試用も可能
「Ubuntu」のライブメディアは「Windows」のインストールメディアと異なり、「Ubuntu」そのものの試用も可能です。ライブメディアから「Ubuntu」を起動すると、「Ubuntu Desktop」のデスクトップ画面が表示されます。
つまり「Ubuntu」をストレージにインストールすることなく、「Ubuntu」を試してみることも可能です。
またインストール作業もこのデスクトップ画面上から行えます。
例えば「Firefox」がライブメディアに含まれているため、「Firefox」を起動してウェブサイトにアクセスすることも可能です。
3-2.ディスクイメージのダウンロード
「Windows」のインストールと同様にまずは「Ubuntu」のディスクイメージをダウンロードする必要があります。「Ubuntu Desktop 64bit:64-bit PC (AMD64) desktop image」をダウンロードしてください。
また「Ubuntu 22.04 LTS」の新機能や変更点及び既知の問題は、以下を参照してください。
3-3.ディスクイメージからライブメディアを作る
ディスクイメージからライブメディアを作ります。ライブメディアはDVDもしくはUSBメモリーで作成しますが、USBメモリーでライブUSBメモリーを作成したほうが楽ですし、作業時間も短縮できます。
ライブUSBメモリーを作る場合
ライブUSBメモリーを作る場合、以下を参照してください。ライブDVDを作る場合
ライブDVDを作る場合、以下を参照してください。あるいは今後ライブDVDが付属した書籍が発売されると思いますので、それらの書籍を購入するのも良いでしょう。
4.ライブメディアからUSBを起動する
ライブメディアから「Ubuntu」を起動します。4-1.PCの起動デバイスの確認
PCによってはOSを起動するデバイスを事前に選択する必要があります。ライブUSBメモリーにせよライブDVDにせよ、挿入したメディアからOSが起動するように「BIOS」や「UEFI」の設定を行ってください。
確認や設定方法は、PCの説明書を参照してください。
4-2.起動オプション
ライブメディアから「Ubuntu」を起動すると、以下のように起動オプションが表示されます。一番上の「Try or Install Ubuntu」を選択して「エンター」キーを押します。
UEFI Firmware Settings
「UEFI」では起動オプションの最後に「UEFI Firmware Settings」が表示されます。「UEFI Firmware Settings」を選択して「エンター」キーを押すと、PCの「UEFI」の設定画面に移ります。
PC起動時に「F2」キー等特定のキーを押すと表示される「UEFI」の設定画面に移るのと同じです。
4-3.言語の選択とデスクトップの起動
以下の画面が表示されます。画面左側の言語一覧を一番下までスクロールし、「日本語」を選択します。
「日本語」を選択したら「Ubuntuを試す」ボタンをクリックします。