Ubuntu MATE 22.04 LTSの新機能と変更点
リリースノートから「Ubuntu MATE 22.04 LTS」の新機能と変更点を紹介します。リリースノート
「Ubuntu MATE 22.04 LTS」のリリースノートは以下で参照できます。リリース情報
「Ubuntu MATE 22.04 LTS」のリリース情報は、以下を参照してください。サポート期間
「Ubuntu MATE 22.04 LTS」はLTSリリース(長期サポート版)であり、リリースされてから3年間のサポートが提供されます。「Ubuntu MATE 22.04 LTS」は2022年4月にリリースされたため、2025年4月までサポートが提供されます。
以前のバージョンからアップグレード可能
以下のバージョンから、直接「Ubuntu MATE 22.04 LTS」へアップグレード可能です。- Ubuntu MATE 20.04 LTS
- Ubuntu MATE 21.10
アップグレード可能なタイミングはバージョンにより異なります。
アップグレード可能なタイミングは「Ubuntu」と同じなため、以下を参照してください。
Ubuntuと共通する新機能や既知の問題
「Linux kernel」やアプリケーションの一部は「Ubuntu」と共有しています。「Ubuntu」と共通する新機能や既知の問題は、以下を参照してください。
MATE 1.26.1
「Ubuntu MATE 22.04 LTS」では、デスクトップ環境に「MATE 1.26.1」を採用しています。1.MATE 1.26.0のマイナーアップデート版
「MATE 1.26.1」は「Ubuntu MATE 21.10」で採用された「MATE 1.26.0」のマイナーアップデート版です。「MATE 1.26」の変更点の詳細は、以下を参照してください。
「MATE 1.26.1」では「MATE Desktop」の不具合の修正やパフォーマンスの改善、プラグインのメモリーリークが修正されています。
2.その他不具合の修正
他にも「Plank」や「Brisk Menu」で見つかった不具合が修正されています。加えてインストール時のスクリーンリーダーの修正など全体で500件を超える不具合が修正されています。
Yaru
「Yaru」はUIのテーマです。1.MATEに完全対応
「Ubuntu MATE」開発チームは 「Yaru」や「Ubuntu Desktop」の開発チームと連携し、アクセントカラーのバリエーションを含む「Yaru」の「MATE」向け完全対応を行いました。また以下のアプリ含むよく利用されるアプリのインジケーターに対応したアイコンも追加されています。
- Steam
- Dropbox
- uLauncher
- RedShift
- Transmission
- Variety
2.Ambiant/Radiantテーマはインストールされない
従来のAmbiant/Radiantテーマはデフォルトでインストールされなくなりました。またアップグレード時に自動的にYaruテーマに移行するようになりました。
3.他アプリへの反映
テーマの変更は「Plank」や「Pluma(テキストエディター)」、「GNOME 42」由来のアプリにも適切に反映されるように修正されています。MATE Tweak
「MATE Tweak」に関する変更点です。1.レイアウト切り替え機能の改善
レイアウト切り替え機能の安定性が改善され、デスクトップレイアウトの切り替えやカスタムレイアウトの復元が完璧に行えるようになりました。2.mate-netbookの削除
「mate-netbook」がデフォルトのインストールから外されました。これは「mate-netbook」のコンポーネントである「mate-maximus」に「CSD(Client-Side Decoration)」との互換性に関する問題があるためです。
3.コンポジター
「MATE Tweak」はサードパーティー製のコンポジターをサポートしました。また「Compton」コンポジターは長い間メンテナンスされておらず、「Compton」コンポジターはサポートされなくなりました。
代わりに「Compton」からフォークした「picom」がサポートされました。
「picom」では以下の3種類のコンポジターオプションを提供しています。
- Xrender
- GLX
- Hybrid
これらの設定は「MATE Tweak」から選択できるようになっています。
利用しているハードウェア(GPU)に応じてパフォーマンスや互換性に応じた選択を行えるようになっています。
ハードウェアによっては「picom」を選択することでゲーミングパフォーマンスの向上や画面のチラツキ改善につながるでしょう。
MATE HUD
「MATE HUD」はアプリのメニューの検索と実行を行う機能です。そのUIは「rofi」で実現されています。
1.新しいテーマエンジンに対応
「rofi」が新しいテーマエンジンに対応し、現在選択されているGTKテーマに合うように自動的にテーマを適用するようになりました。「rofi」向けのテーマとして以下の2種類のテーマが提供されています。
- mate-hud
- mate-hud-rounded
2.オリジナルテーマも利用可能
「rofi」向けのテーマを以下の場所に配置すれば、オリジナルテーマも利用可能です。- ~/.local/share/rofi/themes
テーマを切り替えるには「Alt + F2」キーを押し「rofi-theme-selector」を実行してください。
デフォルトのテーマを設定するには、「端末」で以下のコマンドを実行してください。
gsettings set org.mate.hud rofi-theme テーマ名
ディスクイメージのサイズ削減
「Ubuntu MATE 22.04 LTS」の開発時、ディスクイメージのサイズが4.1GBまで膨れ上がりました。これを改善するためソフトウェアの取捨選択が行われ、2.7GBまでサイズが削減されました。
1.プロプライエタリーなNVIDIA GPUドライバーの削除
ディスクイメージからプロプライエタリーなNVIDIA GPUドライバーが削除されました。「Ubuntu MATE 22.04 LTS」のインストール時に、サードパーティー製のソフトウェアをインストールするオプションを有効にしてインストールすれば、引き続きプロプライエタリーなNVIDIA GPUドライバーがインストールされるようになります。
2.従来のテーマの削除
テーマを「Yaru」に完全に移行させ、従来使用されていたテーマが削除されました。3.3種のSnapアプリの削除
テーマが「Yaru」に移行したため、デフォルトでインストールされていた3種のSnapパッケージが削除されました。NVIDIA GPUとMarco
プロプライエタリーなNVIDIA GPUドライバー利用時に「Xrender」を使用している場合、「Marco」で描画に遅延が発生する問題が見つかりました。修正版Marcoをインストールするには
パフォーマンスを最適化するため「Xpresent」を使用する「Marco」がPPAで提供されています。この「Marco」をインストールするには、「端末」で以下のコマンドを1行ずつ実行してください。
sudo apt-add-repository ppa:ubuntu-mate-dev/marco
sudo apt upgrade
sudo apt upgrade
元に戻すには
従来の「Marco」に戻すには、「端末」で以下のコマンドを実行してください。sudo ppa-purge -o ubuntu-mate-dev -p marco
パッケージのサポート
「Ubuntu MATE 22.04 LTS」はデフォルトで以下のパッケージにも対応しています。- PPA
- Snap
- AppImage
- FlatPak
1.SnapとFlatPak
「Snap」と「FlatPak」をサポートするため、以下のソフトウェアがインストールされています。- flatpak
- snapd
- xdg-desktop-portal-gtk
- snapd-desktop-integration
「Yaru」テーマも「Snap」に対応しています。
2.AppImage
「AppImage」をサポートするため、以下のソフトウェアがインストールされています。- libfuse2
3.FlatHubは既定で有効になっていない
「FlatPak」はサポートされていますが、デフォルトで「FlatHub」は有効になっていません。「FlatHub」を有効にするには「端末」で以下のコマンドを実行してください。
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
その他
その他の変更点です。1.ようこそ
「ようこそ」の「ブラウザを選ぶ」からdeb版「Firefox ESR」をインストールできるようになりました。2.Ayatana Indicators 22.2.0
「Ayatana Indicators 22.2.0」が採用され、メッセージインジケーターが再びデフォルトでインストールされるようになりました。また今まで必要だった2種のライブラリーも不要になり、CPUやメモリー使用量が削減されました。
3.AIが生成した壁紙
AI(人工知能)が生成した壁紙が3種類含まれるようになりました。その他AIが生成した壁紙は、以下から入手できます。
4.プリインストールするアプリの追加
以下の3種類のアプリケーションがプリインストールされるようになりました。- GNOME Clocks(時計)
- Maps(地図)
- Weather(天気)
5.Blueman 2.2.4
「Bluetooth」デバイスの管理に「Blueman 2.2.4」が採用されています。6.バッテリー駆動の入力デバイスのサポート改善
以下のソフトウェアで、ゲーミングコントローラーやジョイスティックなどバッテリー駆動の入力デバイスがサポートされました。- mate-power-manager
- ayatana-indicator-power
- Yaru
7.Active Directoryのサポート
インストール時にActive Directoryのドメイン員参加する機能がサポートされています。8.その他アプリのアップデート
その他主要なアプリがアップデートされています。- Firefox 99.0
- Celluloid 0.20
- Evolution 3.44
- LibreOffice 7.3.2.1
既知の問題
既知の問題です。1.OEMインストール時にスライドショーが表示されない
OEMインストール時にスライドショーが表示されません。不具合の詳細は以下を参照してください。
この問題を回避するには、OEMの準備セッションで以下のコマンドを実行してください。
apt install oem-config-slideshow-ubuntu-mate