kledgeb UbuntuやLinuxの最新情報を紹介

Ubuntu 22.04 その107 - ローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有するには

ローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有するには

「ファイル(Nautilus)」アプリはファイルマネージャーです。
「ファイル」はローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有する仕組みを提供しており、簡単に他のPCとフォルダーやファイルをやりとりできます。


Sambaを利用している

この仕組みは「Samba」を利用して実現しています。
そのため初めてこの機能を利用する時は「Samba」のインストールが促されます。

フォルダーを共有する

「ファイル」の共有機能は、フォルダーに対して設定します。
つまり他のPCは共有されたフォルダー内のファイルにアクセスすることになります。

1.フォルダーを共有するには

早速「ファイル」を起動してフォルダーを共有してみましょう。

1-1.共有するフォルダーの選択

「Ubuntu」ではユーザーのホームフォルダー内に「公開」と言う名のフォルダーを配置しています。
名前通り他のPCにファイルを公開するのにちょうど良いフォルダーですから、このフォルダーを共有してみましょう。


1-2.共有設定画面の表示

「公開」フォルダーを右クリックして表示されるメニューから「プロパティ」をクリックします。
フォルダーのプロパティ画面が表示されるので、「ローカルネットワーク共有」タブをクリックします。


上記の画面が表示されるので、「このフォルダーを共有する」をクリックします。

1-3.Sambaのインストール

「Samba」がインストールされていない場合以下の画面が表示されるので、「サービスのインストール」ボタンをクリックして「Samba」をインストールします。


画面の案内に従って操作してください。

2.フォルダーの共有設定

フォルダーの共有設定を行います。


このフォルダーを共有する

このフォルダーを共有する場合は、チェックを入れます。
後で共有したフォルダーを非公開(共有しない)に変更するには、このチェックを外してください。

共有名

ネットワーク上に表示する名称です。
他のPCからはここで指定した名称でフォルダーが見えます。

コメント

ユーザー自身が設定するこのフォルダーの追加情報です。
必要なら何かコメントを入力しておきましょう。

このフォルダー内でのファイルの作成・削除を他のユーザーに許可する

この設定を有効にすると、他のユーザーはこのフォルダー内でファイルの作成や削除を行えるようになります。

この設定を無効にすると、他のユーザーはこのフォルダー内でファイルの作成や削除を行えなくなります。
つまり他のユーザーからは読み取り専用になります。

他のユーザーには「ゲストによるアクセス」も含まれます。
他のPCがこのPCの共有フォルダーにアクセスする際、フォルダーを共有しているユーザーでのみ認証してアクセスするなら、この設定は無効でも良いです。

ゲストによるアクセス

この設定を有効にすると、ユーザー名およびパスワードによるユーザー認証なしで、このフォルダーにアクセスできるようになります。
この設定を無効にすると、必ずユーザー認証が必要になります。

共有を作成

共有設定を反映します。
共有設定を変更したら、必ずこのボタンをクリックして共有設定を反映してください。
共有設定を反映したらこの画面を閉じます。

アクセス権の調整について

他のPCがこのPCの共有フォルダーにアクセスする際、フォルダーを共有しているユーザー以外のユーザーで認証して共有フォルダー内でファイルやフォルダーの作成や編集を行う場合、他のユーザーから共有フォルダーにアクセスできるように、共有フォルダーのアクセス権を調整する必要があります。
この場合以下のように確認画面が出るので、「自動的にアクセス権を付加する」ボタンをクリックしてください。


以下のように共有フォルダーのアクセス権が調整されます。


3.共有設定完了

フォルダーの共有を有効にした場合、以下のようにフォルダーに共有中を示す共有アイコンが表示されるようになります。


4.Sambaユーザーアカウントの作成

さてSambaユーザーアカウントが作成されていない場合、このままでは誰もユーザー認証を行えません。

忘れずにSambaユーザーアカウントの作成を

自分のSambaユーザーアカウントをまだ作成していない場合、忘れずにSambaユーザーアカウントを作成しておきましょう。
共有フォルダーにアクセスする他のPCは、このSambaユーザーアカウントを利用してユーザー認証を行います。

4-1.作業は端末から行う

この作業は「端末」から行います。
事前に「端末」を起動しておいてください。
またこの作業を行えるのは、管理者のみです。
管理者については、以下を参照してください。

  • ユーザーアカウントの各種設定を変更するには・ユーザーアカウントのパスワードや自動ログイン設定を変更するには

コマンドを端末に貼り付けるには

クリップボードにコピーしたコマンドを「端末」に貼り付けるには、「端末」上で「Shift + Ctrl + V」キーを押します。

パスワードの入力が促されたら

以下のようにパスワードの入力が促されたら、自分のパスワードを入力して「エンター」キーを押します。

[sudo] ユーザー名のパスワード:

パスワードを入力しても何も表示されませんが、入力自体は行われています。

4-2.Sambaユーザーアカウントを確認するには

自分のSambaユーザーアカウントが存在するかどうか確認するには、以下のコマンドを実行してください。

sudo pdbedit -L

以下のように登録済みのSambaユーザーアカウントの一覧が表示されます。


「:」で区切られた一番最初の文字列がSambaユーザーアカウント名です。
この一覧の中に自分のSambaユーザーアカウントがあれば、この作業をスキップできます。

4-3.Sambaユーザーアカウントを登録するには

Sambaユーザーアカウントを登録するには、以下のコマンドを実行してください。

sudo pdbedit -a -u ユーザー名

「ユーザー名」には「Ubuntu」に登録しているユーザーのユーザー名を指定してください。

4-4.パスワードの設定

以下のようにパスワードの入力が2回求められます。
このパスワードには任意のパスワードを指定できます。
運用次第ですが、ユーザーのログインパスワードを指定するのも良いでしょう。


Sambaユーザーアカウントが登録されると、以下のように登録内容が出力されます。


以上で完了です。

パスワードを変更したい場合

もし後からパスワードを変更したい場合、同じ手順で再度Sambaユーザーアカウントを登録(更新)してください。

Sambaユーザーアカウントを削除するには

何かしらの都合で登録したSambaユーザーアカウントを削除したい場合は、以下のコマンドを実行してください。

sudo pdbedit -x Sambaユーザーアカウント名

Sambaユーザーアカウント名は、「4-2.」の方法で確認できます。


5.ゲストによるアクセスを有効にするには

「2.フォルダーの共有設定」でゲストによるアクセスを有効にしても、このままではゲストによるアクセスはできません。

nobodyユーザーによるアクセス

他のPCからユーザー認証を行わずに匿名で共有フォルダーにアクセスする場合、ゲストによるアクセスは「nobody」ユーザーによるアクセスになります。
言い換えれば「nobody」ユーザーでパスワードなしで認証するようなものです。

しかしユーザーのホームフォルダー(/home/ユーザー名)のアクセス権は、他のユーザーからのアクセスを拒否しているため、「nobody」ユーザーからアクセスできません。
これは以下の仕様変更が影響しています。

  • 他のユーザーによる読み取り権限をオフにする提案

ゲストによるアクセスを有効にするなら、ユーザーのホームフォルダーのアクセス権を変更する必要があります。
ただしセキュリティー上好ましくないと言う経緯で変更された仕様なので、ゲストによるアクセスは無効にしたままのほうが良いでしょう。

5-1.ホームフォルダーのプロパティ画面の表示

「ファイル」の左側にある「ホーム」を右クリックし、表示されるメニューから「プロパティ」をクリックします。


5-2.アクセス権設定画面の表示

以下の画面が表示されるので「アクセス権」タブをクリックし、「その他」の「アクセス」を「アクセスのみ」に変更します。


以下のように設定すればOKです。


設定したらこの画面を閉じます。

ユーザーの認証はフォルダーを共有しているユーザーで認証するのが楽

他のPCがこのPCの共有フォルダーにアクセスする際、共有フォルダー内でファイルの作成や編集を行った場合、ファイルやフォルダーのアクセス権は、認証に使用したSambaユーザーアカウントのアクセス権に設定されます。

他のユーザーで認証した場合

例えば他のPCがゲスト(nobody)で認証し、共有フォルダー内でファイルの作成や編集を行った場合、フォルダーを共有しているPCからそのフォルダーを見てみると、以下のようにファイルが読み取り専用になっています。


このファイルのアクセス権を確認すると、以下のように「nobody」ユーザーが設定されています。

このような状態が起きても特に問題がないなら、気にしなくても良いです。
ちなみにこのファイルをフォルダーを共有しているPCから書き込めるようにするには、もしくは通常のファイルと同じアクセス権にするには、他ユーザーが所有者なため管理者でアクセス権を変更する必要があります。

同じユーザーで認証した場合

その一方で他のPCがフォルダーを共有しているPCのユーザーと同じユーザーで認証し、共有フォルダー内でファイルの作成や編集を行った場合、フォルダーを共有しているPCからそのフォルダーを見てみると、以下のようにファイルが読み書き可になっています。


このファイルのアクセス権を確認すると、以下のように「自分」が設定されています。


こちらのほうが使い勝手が良いかと思います。

ファイルの作成や編集を行わければアクセス権は変わらない

ゲストなど他のユーザーで認証してもファイルの作成や編集を行わければアクセス権は変わらないため、読み取り専用としてファイルにアクセスするならどちらでも良いでしょう。
ただアプリの中には自動保存といったバックグラウンドでファイルを保存する機能を持つアプリもありますので、その点は留意してください。

もし読み取り専用として他のユーザーにアクセスさせるなら、共有設定の「このフォルダー内でのファイルの作成・削除を他のユーザーに許可する」を無効にしておきましょう。

smb.confで設定を変更する方法もある

「smb.conf」で「create mask」や「directory mask」などアクセス権を調整する設定があります。
しかしセキュリティーリスクがあるため、ここでは紹介しません。

他のPCから共有フォルダーにアクセスするには

他のPCから共有フォルダーにアクセスする方法は、以下を参照してください。

  • Sambaで共有された共有フォルダーにアクセスするには

Ubuntu
スポンサー
コメント
コメントポリシー
コメントをする前に UbuntuのCode of Conduct(CoC/行動規範) を確認し、CoCに沿ったコメントをお願いします。
コメントの使い方は、コメントの使い方を参照してください。
同一カテゴリーの記事
SNS
人気の記事
  • Ubuntu 22.04 その98 - 入力ソースとキーボートレイアウトと日本語入力のカスタマイズ
    入力ソースとキーボートレイアウトと日本語入力 「Ubuntu」ではユーザーが利用しているキーボードレイアウトや日本語入力のカスタマイズが可能です。
  • Ubuntu 20.04 その74 - UbuntuとUEFIセキュアブート
    UbuntuとUEFIセキュアブート 「Ubuntu」と「UEFIセキュアブート」に関するお話です。
  • Ubuntu 22.04 その64 - Windows/Linux/macOSでUbuntu 22.04 LTSのライブUSBメモリーを作るには
    Ubuntu 22.04 LTSのライブUSBメモリーを作る方法 Windows/Linux/macOSでPC向け「Ubuntu 22.04 LTS」のライブUSBメモリーを作る方法を紹介します。
  • Ubuntu 22.04 その99 - 日本語入力(Mozc)の設定をカスタマイズして作業効率を上げよう
    日本語入力(Mozc)の設定をカスタマイズするには 「Ubuntu」では日本語入力に「Mozc」を採用しています。
  • WSL その219 - WSL 2のLinux kernelをアップデートするには・Linux kernelのバージョンを調べるには
    WSL 2のLinux kernelをアップデートするには 「WSL 2」の「Linux kernel」をアップデートする方法です。
  • Ubuntu gedit その66 - ファイルタイプの識別子について(モードラインプラグイン)
    ファイルタイプの識別子について   「モードライン」プラグインでは、ハイライトモードの モード を指定することができます。   モードオプションに指定する識別子は、モードの種類により異なります。
  • Ubuntu 22.04 その107 - ローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有するには
    ローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有するには 「ファイル(Nautilus)」アプリはファイルマネージャーです。 「ファイル」はローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有する仕組みを提供しており、簡単に他のPCとフォルダーやファイルをやりとりできます。
  • Ubuntu 22.04 その354 - 動画や音楽の対応フォーマットを増やすには・動画や音楽が再生できない時は
    動画や音楽の対応フォーマットを増やすには 一部の動画や音楽フォーマットを再生する場合、追加ソフトウェアのインストールが必要になります。
  • Ubuntuのバージョンと開発コードの対応表
    バージョンと開発コード 「Ubuntu」には各バージョンごとに開発コードが設定されます。
  • Ubuntu 22.04 その120 - UbuntuのブートローダーをBoot Repairで修復するには・Ubuntuが起動しないトラブルを解決
    UbuntuのブートローダーをBoot Repairで修復するには 「Boot Repair」はOSのブートローダーに起因するOSが起動しない問題を簡単に解決してくれるアプリです。
記事のピックアップ
オプション