GNOME 44がリリースされました
2023年3月22日、「GNOME 44」がリリースされました。「GNOME 44」の新機能と変更点を紹介します。
動画で見る新機能と変更点
動画版「GNOME 44」の新機能と変更点を作成しました。参考にして頂ければと思います。
ファイル選択ダイアログ
アプリからファイルを開く時など、ファイルを選ぶ時に表示されるファイル選択ダイアログでは、従来のリストビューに加えグリッドビューも利用できるようになりました。ビューの切り替えは、右上のボタンで切替可能です。
1. グリッドビュー
グリッドビューではファイルのサムネイルが表示されるようになり、特に画像などファイルのサムネイルを見てファイルを選択したい時に便利でしょう。2. リストビュー
逆にファイル名からファイルを選択したい時は、従来のリストビューを利用すると良いでしょう。3. GTK 4から対応
この機能に対応するには、アプリが「GTK 4」に対応している必要があります。「GTK 3」で構築されているアプリでは、この機能は利用できません。
デバイスセキュリティー
「設定」アプリの「デバイスセキュリティー」のページが改善されました。「デバイスセキュリティー」は「GNOME 43」で導入されたページです。
1. セキュリティーステータス
セキュリティーステータスに、状況に応じた以下の情報が表示されるようになりました。- Checks Failed
- Checks Passed
- Protected
2. セキュリティーレポート
セキュリティーの状態や詳細を知りたいユーザーのために、セキュリティーレポートを生成する機能が実装されました。アクセシビリティー
「設定」アプリの「アクセシビリティー」のページが改善されました。1. UIデザインの見直し
UIデザインが見直されました。設定のセクションが分割され、設定したい機能に辿り着きやすくなりました。
2. 説明の表示
多くの設定項目で設定の説明が表示されるようになりました。3. 100%を超えるボリューム設定の追加
「聞く」のセクションに、100%を超えるボリューム設定が追加されました。この設定を有効にすると、システムメニュー内にあるボリューム設定や、「設定」アプリの「サウンド」設定で、100%を超えるボリュームを設定できるようになります。
ただし100%を超えるボリュームを設定した場合、環境によってはサウンドにノイズがのるなど、音質が低下する可能性があります。
ボリュームを100%に設定してもボリュームが小さい時に、この設定を利用すると良いでしょう。
4. キーボードショートカットによる有効・無効の切り替え設定の追加
「タイピング」のセクションに、キーボードからアクセシビリティー機能の有効・無効を切り替える設定が追加されました。例えば「Shift」キーを5回連打すれば、固定キーの有効・無効を切り替えられます。
同様に「Shift」キーを8秒以上押しっぱなしにすれば、スローキーの有効・無効を切り替えられます。
5. カーソルの点滅タイミングを確認する項目の追加
「タイピング」のセクションに、カーソルの点滅速度を確認する項目が追加されました。カーソルはテキストエディターなど文字を入力する場面で点滅するようになっています。
点滅速度を変更した時に、ここでカーソルの点滅速度を確認できます。
ここに実際に文字を入力してカーソルの点滅速度を確認すると良いでしょう。
6. オーバーレイスクロールバーの設定追加
「見る」のセクションに、オーバーレイスクロールバーの設定が追加されました。オーバーレイスクロールバーの設定を有効にすると、マウスカーソルをスクロールバーの配置位置に持っていった時にスクロールバーが表示されるようになります。
オーバーレイスクロールバーの設定を無効にすると、常にスクロールバーが表示されるようになります。
サウンド
「設定」アプリの「サウンド」設定が改善されました。1. 音量レベルが別ウィンドウに
音量レベルの設定が別ウィンドウに分離され、よく利用されるサウンドの「出力」及び「入力」設定にアクセスしやすくなりました。また音量レベルインジケーターが新しくなり、再生中の音量レベルが表示されるようになりました。
2. 警告音が別ウィンドウに
警告音の設定が別ウィンドウに分離され、選択可能な警告音の一覧が見やすくなりました。また何もしないを選択することで、警告音を無効にできるようになりました。
3. サウンドテスト画面の改善
サウンドテスト画面のUIが見直され、使い勝手が向上しました。また出力先スピーカーが数多くある時に発生していたUIが崩れる問題が解消されました。
マウスとタッチパッド
「設定」アプリの「マウスとタッチパッド」設定が改善されました。1. 説明にアニメーションを追加
マウスホイールやタッチパッドのスクロール方向の設定など一部の設定で、利用可能なオプションの説明にアニメーションが追加されました。これによりオプション選択時の動作の変化など、オプションの分かりやすさが向上しました。
2. テスト画面の変更
マウスやタッチパッドのテスト画面が別ウィンドウに分離されました。またUIデザインも改善されており、以前より分かりやすさが向上しています。
3. マウスアクセラレーションの設定
マウスアクセラレーションの設定が追加されました。マウスアクセラレーションはマウスを動かした時に、カーソルの移動速度を増加させる仕組みです。
通常この設定を変更する必要はありません。
この設定を変更する場合、実際にマウスを動かす速度やマウスの移動距離を変えながら、カーソルの動き方を確認すると良いでしょう。
設定
「設定」アプリの改善点です。1. Wi-Fiの設定
「Wi-Fi」の設定では、Wi-Fiの接続設定をQRコードで簡単に共有できるようになりました。2. このシステムについて
このシステムについてでは、「Linux kernel」のバージョンやファームウェアのバージョンが表示されるようになりました。3. Thunderboltの設定
「Thunderbolt」の設定では、「Thunderbolt」が利用可能な環境でのみ、「Thunderbolt」の設定画面が表示されるようになりました。4. ネットワークの設定
「ネットワーク」の設定では、VPNで「WireGuard」の追加や設定が可能になりました。5. 検索から設定を除外可能に
アクティビティーのオーバービューの検索対象から、「設定」アプリを除外できるようになりました。クイック設定
システムメニューのクイック設定に関する改善です。1. Bluetoothクイック設定
Bluetoothのクイック設定ではメニューが表示されるようになりました。メニューでは接続されているデバイスが表示され、デバイスの切断や接続が可能です。
2. バックグラウンドアプリの一覧
バックグラウンドアプリの一覧が、システムメニューに追加されました。バックグラウンドアプリとは、デスクトップ上に表示するウィンドウを持たずに実行されているアプリのことです。
バックグラウンドアプリの一覧から、特定のバックグラウンドアプリを終了させることも可能です。
現在この機能は、「Flatpak」アプリにのみ対応しています。
3. 設定の状態の表示
各クイック設定の切り替えボタンに、各設定の状態が表示されるようになりました。これにより各設定の状況を把握しやすくなりました。
GNOME Software
「GNOME Software」の改善点です。1. パフォーマンスの向上
ソフトウェアの各カテゴリーが従来よりも高速に表示されるようになりました。またページを最読み込みする機会を減らすことで、パフォーマンスが向上しています。
2. ソフトウェア管理のサポート改善
FlatpakではFlatpakランタイムが不要になった時に、ディスクの使用量を節約するため自動的にFlatpakランタイムが削除されるようになりました。またイメージベースのOSをアップデートする際、進捗情報と説明が表示されるようになりました。
3. UIの改良
ソフトウェアのレビューやエラーメッセージの表示デザインが改良されるなど、UIが改良されています。ファイルアプリ
ファイルアプリに関する変更点です。ファイルアプリはファイルマネージャーです。
1. フォルダーの展開表示が可能に
ファイルの一覧表示で、フォルダーを展開して表示できるようになりました。この設定はデフォルトでは無効になっているため、この機能を有効にするにはファイルアプリの設定画面を開き、「一覧表示でフォルダーをツリー表示可能にする」をオンにしてください。
2. タブ機能の改善
タブ機能が改善され、閉じたタブを再度開き直したり、他のタブを閉じたり、タブを新規ウィンドウで開けるようになりました。ちなみに既存のタブを別のファイルアプリのウィンドウにドラッグ&ドロップすれば、そのファイルアプリのウィンドウにタブを移すことができます。
同様に既存のタブをファイルアプリのウィンドウがない場所にドラッグ&ドロップすれば、そのタブを新規ウィンドウで開くことができます。
ドラッグ&ドロップによるファイル操作に対応
ファイルやフォルダーをタブにドラッグ&ドロップして、ファイルの移動やコピーなどファイル操作できるようになりました。3. グリッドビューサイズの増加
グリッドビューサイズが増加されました。GNOME Circleに新アプリ追加
「GNOME Circle」とは、「GNOME」プラットフォームに最適化され、「GNOME」プロジェクトが期待する品質基準を満たしているアプリやライブラリーを支援する取り組みです。この取り組み自体は「GNOME」プロジェクトの一部として実施されている取り組みですが、「GNOME Circle」で紹介されているアプリやライブラリーは、「GNOME Core Applications」には含まれません。
「GNOME Circle」は「GNOME Core Applications」とは別に実施されている取り組みです。
10のアプリが追加された
前バージョンの「GNOME 43」以来、10のアプリが「GNOME Circle」に追加されました。その他の変更点
その他の変更点です。1. バッテリー残量低下の通知
バッテリー残量が低下した時に表示される通知が改善され、通知に新しいアイコンと情報が表示されるようになりました。2. 連絡先アプリの改善
「連絡先(GNOME Contacts)」アプリでは、連絡先をQRコードで共有できるようになりました。また「Ctrl + F」や「Ctrl+,」、「Ctrl+Enter」キーなどのショートカットキーが導入されました。
3. GNOME Webの改善
「GNOME Core Applications」を「GTK 4」へ移植する作業の一環として、ウェブブラウザーの「Web(Epiphany)」が「GTK 4」へ移行しました。またパスワードの保存時に、従来の情報バーを置き換える新しいポップオーバーが実装されました。
4. 地図アプリの改善
「地図(GNOME Maps)」アプリでは「Wikidata」及び「Wikipedia」から画像を取得することで、より多くの地域で写真が表示されるようになりました。他にも検索結果をキーボードで操作できるなど、改善が行われています。