Linux Mint月刊ニュース
「Linux Mint」開発チームは、Linux Mint月刊ニュースにて「Linux Mint」の開発状況や取り組みを紹介しています。次期バージョンの「Linux Mint 21.2」の開発作業が引き続き行われています。
テーマの改善と課題
「Linux Mint 21.1」でデフォルトのテーマデザインが変更され、さらにいくつかテーマが追加されました。Linux Mint 21.1で行われたテーマの改善
デフォルトのテーマである「Mint-Y」テーマでは、色味が鮮やかになり場所アイコンも新しくなりました。また以前のデザインの「Mint-Y」テーマを好むユーザーのために、以前の「Mint-Y」テーマの名称を変更した「Mint-Y-Legacy」テーマが導入されました。
さらに「Yaru」や「Numix」、「Breeze」など新しいテーマも導入されました。
テーマの改善による課題
さて「Linux Mint 21.1」で行われたテーマの改善ですが、いくつか課題が挙がってきました。まず色違い含めテーマの種類が大幅に増えたため、ユーザーにとってテーマの選択が分かりにくく、また選択肢の多さからお気に入りのテーマの選択が困難になりました。
またアイコンテーマの中には、一部のコントロールテーマとの組み合わせで見栄えが悪くなるテーマがあります。
そしてようこそ画面では、ライトテーマとダークテーマの切り替えや、アクセントカラーの切り替えが可能ですが、この機能は「Mint-Y」テーマのみを対象にした機能であり、また「Linux Mint」でのみ利用可能な機能です。
新しい場所アイコンもユーザーからの評判があまり良くありませんでした。
解決策の検討
これらの課題を踏まえ、どのテーマでもどのディストリビューションでも動作すること、ユーザーが大量のインストール済みテーマを膨大な一覧から選択したり、テーマの互換性を気にすることなく、テーマをもっと簡単に把握及び選択できるよう、解決策が検討されました。テーマの改善
というわけで「Linux Mint 21.2」に向けてテーマの改善作業が行われています。1.Brownテーマの削除
「Mint-Y」テーマのBrownテーマとSandテーマの色調が同じであり、「Mint-Y」テーマからBrownテーマが削除されることになりました。2.場所アイコンからストライプの削除
場所アイコンにアクセントカラーに応じたストライプが入っています。しかしこのデザインはユーザーからあまり評判が良くなく、また「folder-color-switcher」と組み合わせた時に見栄えが良くありませんでした。
そのためこのストライプが削除され、元になった「Papirus」アイコンテーマのデザインと似たデザインに変更されました。
場所アイコンの全体像は以下のようになります。
3.モノクロアイコンとダークアイコンテーマの削除
「Linux Mint」ではUIを構築するライブラリーに「GTK」を採用しています。「GTK」はシンボリックアイコンをサポートしており、適切なコントラストを提供し、あらゆるアイコンサイズで優れた視認性を提供できます。
また同様に「GTK」は、シンボリックアイコンの背景に使用されている色に応じて、自動的にシンボリックアイコンの色を調整する機能も提供しています。
例えば「Nemo」ではシンボリックアイコンが利用されており、以下のように選択されたメニュー項目で表示されているアイコンの色が、黒から白に変更されています。
これはメニュー項目のテキストの色と一致しています。
その一方で「Caja」では通常のアイコン(フルカラーのモノクロームアイコン)が利用されており、以下のように選択されたメニュー項目で表示されているアイコンの色は変化しません。
ユーザーから見た場合、後者はコントラストが下がりますし、前者のシンボリックアイコンと同等の色の変化を好むでしょう。
対応方針
この状況を改善するため、「Linux Mint」が開発しているすべてのソフトウェアでシンボリックアイコンを使用するように修正されます。これにより上記のモノクロームアイコンの問題が解消されます。
また現状は、モノクロームアイコンを利用するアプリで上記のようなシンボリックアイコンに似たアイコンを提供するため、「Mint-Y」テーマでライトアイコンテーマとダークアイコンテーマを提供し、それぞれでテーマの基調にあったモノクロームアイコンを提供しています。
しかしこの作業はコストがかかり、また「Mint-Y-Legacy-Darker」や「Arc-Darker」テーマのようにライトとダークが混在したテーマでモノクロームアイコンは期待通りに機能しません。
これらを踏まえ「Linux Mint 21.2」ではモノクロームアイコンとダークアイコンテーマが削除される予定です。
ダークアイコンテーマの削除によりアイコンテーマの数が半減します。
ただし「Linux Mint」が開発していないソフトウェアの内、モノクロームアイコンを利用しているソフトウェアではモノクロームアイコンを利用できなくなるため、代わりに以下のように「Adwaita」のアイコンが使用されるようになります。
以前は以下のようにモノクロームアイコンが利用されており見た目に一貫性がありましたが、「Linux Mint 21.2」では上記のアイコンに変わることになります。
テーマの選択をもっと簡単に
次に次期バージョンの「Cinnamon」では、「Styles」と呼ばれるコンセプトが導入されます。スタイル
スタイルでは「Adwaita」「Mint-X」「Mint-Y」など、主要なテーマが提供されます。3種類のモード
各スタイルには、以下の3種類のモード(外観)が提供されます。- Mixed
- Dark
- Light
カラーバリエーション
さらに各モードでは、色違いのカラーバリエーションが提供されます。テーマの種類を1つに結びつける
テーマと一口に言っても、「Cinnamon」で使われるテーマやアプリで使われるテーマ、アイコンで使用されるアイコンテーマなど、テーマには目的に応じた複数の種類があります。そしてそれらのテーマには、特定のテーマをお互い一緒に組み合わせて利用するテーマもあります。
そこでユーザーが一緒に組み合わせて利用するテーマを簡単に選択できるように、「Styles」と呼ばれるコンセプトが考え出されました。
ユーザーはボタンを数回クリックするだけで簡単にスタイルやモード、カラーバリエーションを切り替えることができます。
また従来のように任意のテーマを組み合わせて利用したい場合は、「Advanced settings」から各テーマを個別に設定できます。
Darkerテーマの選択も簡単に
このコンセプトのおかげでDarkerテーマの選択も簡単になり、またモノクロームアイコンの削除によりフルカラーアイコンを使用するアプリとの互換性も改善されました。他のディストリビューションでも利用可能に
このコンセプトは「システム設定」の「テーマ」に実装される仕組みであり、ようこそ画面と違って他のディストリビューションでも利用可能です。Mint-Y-Legacyの名称変更
次に「Mint-Y-Legacy」テーマの名称が「Mint-Y-L」に変更されました。新しいテーマ
「Mint-Y」テーマに「Yaru」テーマの配色を採用したテーマが追加されます。また青から緑までの7つ種類のカラーバリエーションも提供されます。