Linux Mint 21.2の新機能と変更点
リリースノートから「Linux Mint 21.2」の新機能と変更点を紹介します。リリース情報
各エディションのリリース情報や既知の問題は、以下を参照してください。また「Linux Mint 21.2」は、「Ubuntu 22.04 LTS」がベースになっています。
「Ubuntu 22.04 LTS」のリリース情報や既知の問題は、以下を参照してください。
サポート期間
「Linux Mint 21.2」はLTSリリースであり、2027年までサポートされます。デスクトップ環境
「Cinnamon Edition」ではデスクトップ環境に「Cinnamon 5.8」を採用しています。「MATE Edition」ではデスクトップ環境に「MATE 1.26」を採用しています。
「Xfce Edition」ではデスクトップ環境に「Xfce 4.18」を採用しています。
Linux kernel
「Linux kernel」に「Linux kernel 5.15」を採用しています。補足
ここでは「Linux Mint 21.2」全体の新機能と変更点を紹介します。「Linux Mint Cinnamon Edition 21.2」固有の新機能と変更点は、以下を参照してください。
動画でみるLinux Mint 21.2の新機能と変更点
動画でも「Linux Mint 21.2」の新機能と変更点を紹介しています。よろしかったら参考にして頂けたらと思います。
チャンネル登録もして頂けると嬉しいです。
1. ログイン画面
ログイン画面の変更点を紹介します。1-1. キーボードレイアウトの切り替えインジケーター
ログイン画面の右上にキーボードレイアウトを切り替えるインジケーターが配置されました。ユーザーが現在利用しているキーボードのキー配列とログイン画面が現在認識しているキー配列が異なっている場合、このインジケーターからキーボードレイアウトを切り替えられます。
ログインする時にユーザーのパスワードを入力する時に正しいパスワードを入力してもパスワードが違いますと表示される場合は、キーボードのキー配列とログイン画面が現在認識しているキー配列が一致しているかこのインジケーターで確認すると良いでしょう。
また後述していますが、現在入力しているパスワードを表示することもできます。
この機能も合わせてパスワードの入力が正しいか確認すると良いでしょう。
ログイン画面が現在認識しているキー配列を確認するには
ログイン画面が現在認識しているキー配列を確認するには、このインジケーター上にマウスカーソルを置いてください。そうするとログイン画面が現在認識しているキー配列が表示されます。
インジケーターメニューに表示されるキーボードレイアウトについて
さてインジケーターメニューのトップに表示されるキーボードレイアウトは、「/etc/default/keyboard」に定義されているキーボードレイアウトです。またすべてのキーボードレイアウトがサブメニューに表示されるようになっています。
1-2. タッチパッドのサポート改善
ログイン画面でタッチパッドの「Tap-to-click」操作が利用できるようになりました。また自動で「Tap-to-click」操作が有効になっています。
1-3. オンスクリーンキーボードのレイアウト
ログイン画面で使用するオンスクリーンキーボードのレイアウトを変更できるようになりました。オンスクリーンキーボードのレイアウトの変更は、システム設定のログイン画面から変更できます。
ログイン画面の設定を開くと、以下のようにオンスクリーンキーボードのレイアウトを選択する項目が表示されます。
コンパクトレイアウト
例えばコンパクトを選択すると以下のレイアウトになります。フルキーボードレイアウト
またフルキーボードを選択すると以下のレイアウトになります。ちなみにログイン画面でオンスクリーンキーボードを表示するには、ログイン画面の右上にあるアクセシビリティーのインジケーターからオンスクリーンキーボードを有効にしてください。
1-4. パスワード入力の改善
ユーザーがパスワードを入力している時に、パスワードの入力欄でカーソルキーによるキャレットの移動が可能になりました。またパスワードの入力や入力欄をクリックした時に、現在入力されているパスワードを表示するボタンが表示されるようになりました。
このボタンをクリックすれば、パスワードの表示と非表示を切り替えることができます。
1-5. セッションのサポート改善
ログイン画面でWaylandセッションがサポートされました。また「LXQt」や「Pademelon」に対応したバッジがサポートされました。
加えてセッションの一覧がスクロール可能になりました。
2. ソフトウェアマネージャー
ソフトウェアマネージャーの変更点を紹介します。ソフトウェアマネージャーはアプリの検索やインストールなどアプリを管理するためのアプリです。
2-1. UIデザインの改良
ソフトウェアマネージャーのUIデザインが見直され新しくなりました。2-2. 注目アプリ一覧の改善
注目アプリ一覧がアップデートされ、Flatpakアプリも注目アプリ一覧に並ぶようになりました。2-3. アプリの評価システムの改善
スコアによるアプリの評価システムが改善され、新しく登場した人気のアプリを見つけやすくなりました。
3. Pixの改善
Pixの変更点を紹介します。Pixは画像ビューアー及び画像ブラウザーです。
ちなみに動画の再生にも対応しています。
3-1. ベースアプリのアップデート
今までPixは「gThumb 3.2.8」ベースで開発されていましたが、「gThumb 3.12.2」ベースにアップデートされました。これにより168点の新機能の導入や改善が行われています。
3-2. UIデザインの改善
UIデザインも新しいgThumbに沿うようになり、従来のツールバーやメニューバーの代わりにヘッダーバーが導入され、各種ボタンはヘッダーバーに配置されるようになりました。このUIデザインの変更により初めてPixを利用するユーザーにとって操作に戸惑う場面があるかも知れませんが、UIの見た目が以前よりも分かりやすくそして直感的になりました。
3-3. 多数の新機能や改善点
ベースアプリのアップデートにより、以下の新機能や改善点が導入されています。- 画像の読み込みやナビゲーションを含むパフォーマンスの向上
- AVIF/HEIF、JXL画像ファイルフォーマットのサポート
- GIF、RAW、TIFFイメージのサポート改善
- 画像のズーム制御の改善
- 512/768/1024ピクセルに対応したサイズの大きいサムネイルのサポート
- フィルターを有効にするショートカット設定のサポート
- 特別なコードに対応したテキスト値を編集可能なテンプレートエディターの改善
- スクリプトコマンドやテンプレート名の変更、ヘッダー及びフッターの印刷に対応
- カラープロファイルのサポート
- 動画再生のサポート改善
- 画像編集機能に特殊効果とカラーカーブを追加
- カラーピッカーのサポート
- 複数のフォルダーからファイル検索のサポート
- キーボードショートカットのカスタマイズサポート
- フィルターの改善
またベースの変更に伴い、以下の変更を含む「Pix」固有の機能も再導入されています。
- Cinnamon、MATE、Xfceのサポート
- ダークモードのカスタマイズ
- XAppのお気に入りに対応
4. テーマ
テーマの変更点を紹介します。4-1. フォルダーアイコンのデザイン変更
フォルダーアイコンからストライプが削除され、ツートンカラーのデザインに変更されました。4-2. 新しいテーマ
UbuntuのYaruテーマの配色を採用したテーマが追加されました。また青から緑までの7種類のカラーバリエーションも提供されています。
4-3. Brownテーマの削除
「Mint-Y」テーマのBrownテーマとSandテーマの色調が同じであり、「Mint-Y」テーマからBrownテーマが削除されることになりました。4-4. シンボリックアイコンの積極的な採用
シンボリックアイコンは単色のアイコンであり、テーマに合わせて自動的にのカラーが調整されるため、コンテキストメニューやツールバーでよく利用されるアイコンです。Linux Mintが開発するすべてのアプリではこれらのアイコンにシンボリックアイコンが使用されるようになりました。
これによりダークテーマでもライトテーマでもダークとライトを混在させたテーマでも適切にアイコンが描画され、一貫性のあるデザインを提供できるようになりました。
4-5. モノクロームアイコンとダークアイコンテーマの削除
アプリによってはシンボリックアイコンの代わりにフルカラーのモノクロームアイコンを利用しているアプリもあります。例えばTransmissionはコンテキストメニューやツールバーでモノクロームアイコンを利用しています。
従来はこのようなアプリのためにモノクロームアイコンも提供してきました。
しかしこのようなアプリではダークとライトを混在させたテーマで適切にアイコンが描画されることはありません。
シンボリックアイコンの積極的な採用に伴い、すべてのモノクロームアイコンとダークアイコンテーマが削除されました。
そのためモノクロームアイコンを利用しているアプリでは、Adwaitaのフルカラーアイコンが代わりに使用されるようになります。
4-6.Mint-Y-Legacyの名称変更
今までMint-Y-Legacyとして提供されていたテーマのテーマ名が変更され、Mint-Lに改名されました。5. ツールチップ
ツールチップの変更点を紹介します。5-1. アクセントカラーの導入とデザインの調整
「GTK 2」や「GTK 3」そして「Cinnamon」で表示されるツールチップは、それぞれのデザインがわずかに異なっており、一貫性に欠けています。またツールチップの黄色い背景色に対し、ツールチップの周りにグレーの境界線が描画されていますが、このグレーの境界線は見えにくく色の組み合わせが好ましくありません。
そこでツールチップのカラーリングにアクセントカラーが導入されました。
またツールチップのデザインも見直され、ツールチップのサイズとメッセージの周りの余白が従来よりも大きくなり、四隅に丸みを帯びたデザインに変更されました。
5-2. アプレットとツールチップ間の余白追加
Cinnamonではアプレットのツールチップがパネルに重ならないようにするため、アプレットとツールチップ間の余白が追加されました。6. ウィンドウのタイトルバー
ウィンドウのタイトルバーの変更点を紹介します。6-1. 配置バランスの調整
ウィンドウのタイトルバーに配置されているウィンドウの最大化やウィンドウを閉じるボタンなどウィンドウコントロールの配置バランスが調整されました。7. アプリの改善
アプリの改善点を紹介します。7-1. XAppsでXDG Desktop Portalのサポート
XAppsはLinux Mintが取り組んでいるプロジェクトであり、このプロジェクトではアプリケーション及びライブラリー群を開発しています。XAppsで開発されているアプリは特定のデスクトップ環境に依存せず、Linux Mintが提供するすべてのデスクトップ環境で動作するように開発されています。
これによりどのLinux Mintのエディションでも一貫性のある使い勝手を提供できます。
例えばテキストエディターや画像ビューアー、メディアプレーヤーなど多くのユーザーが利用するアプリ群が開発されています。
アプリのサポート改善
さてXAppsでXDG Desktop Portalがサポートされました。これによりFlatpakやGNOMEアプリなど、Linux Mintが提供するデスクトップ環境でネイティブに動作しないアプリとの互換性が向上し、それらのアプリでもスクリーンショットを作成したりダークモードをサポートできるようになりました。
ダークモード
ダークモードをサポートしているアプリでは、システムのテーマ及びダークモードの設定を加味して使用するテーマを決定します。ダークモードの設定では以下の選択肢を指定できます。
- ライトテーマを推奨
- ダークテーマを推奨
- アプリ側でライトテーマを使用するかダークテーマを使用するか決定する
多くのアプリはダークモードの仕組みに対応しており、またLinux Mintが提供するデスクトップ環境でネイティブに動作しないアプリでも同様にダークモードが機能するようになりました。
デフォルト設定はアプリによって異なる
さてダークモードでアプリが使用するテーマは、アプリによってそのデフォルト設定が異なります。例えば以下のアプリはライトテーマを使用します。
- Firefox
- Thingy
- テキストエディター
- ドキュメントビューアー
その一方で以下のアプリはダークテーマを使用します。
- 画像ビューアー
- Pix
7-2.ファイルフォーマットのサポート改善
HEIFとAVIF画像フォーマットがサポートされました。またドキュメントビューアーでAdobe Illustratorのドキュメントがサポートされました。
8. Warpinator
Warpinatorはローカルネットワーク上でファイルを送受信するアプリです。Warpinatorのセキュリティーが強化されました。
8-1. 脆弱性の修正
「CVE-2022-42725」が修正されました。8-2. グループコードによるアクセス制限
Warpinatorを起動したままにする、もしくはログイン時に自動的に起動できるようにするには、グループコードの設定が必須になっています。グループコードの設定により同じグループコードを設定したPCのみ検出され、PC間のやり取りも暗号化されます。
また特に自動的に接続要求を受け入れる設定を行っている場合、なりすましの対策にもなります。