Ubuntu 24.04 LTSの注目機能
「Ubuntu 24.04 LTS」の注目機能を紹介します。1. サポート期間の拡大
「Ubuntu 24.04 LTS」では5年間の無償サポート期間が提供されます。これに加え商用サポートサービスの「Ubuntu Pro」を利用すると、サポート期間を最大10年に延長できます。
ここまでは従来のLTSリリースと変わらないのですが、「Ubuntu Pro」ではさらにサポート期間を2年延長するサービスを発表しました。
つまり最大12年間のサポート期間を得られるようになりました。
「Ubuntu Pro」を利用すれば、2036年までサポートが得られるようになります。
ちなみに以前のLTSリリースの「Ubuntu」でも本サービスを利用可能です。
2. パフォーマンスの向上
「Ubuntu 24.04 LTS」ではパフォーマンスが向上しています。Linux kernel 6.8の採用
「Ubuntu 24.04 LTS」では「Linux kernel 6.8」が採用されており、システムコールのパフォーマンスが向上しています。また「ppc64el」アーキテクチャーでネストした「KVM」がサポートされました。
他にも新しく登場した「bcachefs」ファイルシステムへのアクセスがサポートされました。
低遅延カーネルの統合
今まで「Ubuntu」で別に提供されていた低遅延カーネルの機能が、デフォルトのカーネルに統合されました。これによりカーネルのタスクスケジューリングの遅延が軽減されています。
フレームポインターの有効化
すべての64bitアーキテクチャーで、フレームポインターがデフォルトで有効になりました。これにより開発者は従来よりも精度の高いパフォーマンスの計測や、時間のかかる処理の特定など、パフォーマンスのプロファイリングが容易になりました。
また既存のプロファイリングツールと並んで「bpftrace」によるトレースも標準ツールになりました。
Intel QuickAssist Technologyのサポート
IntelとCanonicalが連携して取り組み、LTSリリースの「Ubuntu」で初めて「Intel QuickAssist Technology(Intel QAT)」が「Ubuntu」に統合されました。「Intel QAT」により暗号化処理や圧縮処理でCPUの使用率を低減し、ネットワークやストレージアプリケーションのパフォーマンスが改善されます。
この機能は第4世代以降の「Xeon Scalable Processor」で活用できます。
3. 開発者の生産性向上
「Ubuntu 24.04 LTS」には、以下を含む新しいバージョンのツールチェーンが搭載されています。- Python 3.12
- Ruby 3.2
- PHP 8.3
- Go 1.22
.NET 8
「.NET 8」は「Ubuntu 22.04 LTS」及び「Ubuntu 24.04 LTS」でフルサポートされており、開発者は「Ubuntu 24.04 LTS」にアップグレードする前にソフトウェアを「.NET 8」へ移行できます。OpenJDK
「Ubuntu 24.04 LTS」ではデフォルトの「OpenJDK」に「OpenJDK 21」が採用されています。さらに以下のバージョンもメンテナンスサポートされています。
- OpenJDK 17
- OpenJDK 11
- OpenJDK 8
また「OpenJDK 17/21」はTCK認証も得ており、Java標準に準拠していることが認められています。
そのため他のJavaプラットフォームとの相互運用性も確保されています。
加えて「Ubuntu Pro」を契約している顧客は、FIPSに準拠した「OpenJDK 11」も利用可能です。
Rust
「Ubuntu 24.04 LTS」では「Rust 1.75」を提供しています。またシンプルなRustツールチェーンSnapフレームワークも利用可能です。
また今後数年以内に新バージョンの「Rust」が提供されるようになる予定です。
4. Ubuntu DesktopとWSL向けの新しい管理ツール
LTSリリースの「Ubuntu Desktop」で初めて新しいインストーラーが導入されました。この新しいインストーラーはバックエンドに、「Ubuntu Server」のインストーラーを活用しています。
イメージのカスタマイズツール
これによりデスクトップの管理者は、「autoinstall」や「cloud-init」といったイメージのカスタマイズツールを活用できるようになりました。UIの刷新
新しいインストーラーは新規に作り直されたUIを搭載し、「Flutter」を利用して構築されています。Active Directory Group Policy Objectsの活用
Windows環境とUbuntu環境が混在している環境では、クライアントで「Active Directory Group Policy Objects」を活用できます。これは「Ubuntu Pro」を通じて提供される機能です。
- ユーザー権限の管理
- ローカル管理者の削除
- リモートスクリプトの実行
- AppArmorプロファイルの管理
- ネットワーク共有の設定
- プロキシ設定
- 証明書の自動登録
今後も機能が追加されていく予定です。