Ubuntu Desktop 24.04 LTSの注目機能
「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の注目機能を紹介します。1. 新インストーラーの採用
LTSリリースの「Ubuntu Desktop」で初めて新しいインストーラーが導入されました。この新しいインストーラーはバックエンドに、「Ubuntu Server」のインストーラーを活用しています。
アクセシビリティー設定
インストーラーにアクセシビリティーの設定画面が追加されました。ZFSと暗号化のサポート
「ZFS」と「ZFS」による暗号化インストールがサポートされました。「ZFS」はエンタープライズ向けのファイルシステムであり、高度な機能を提供しています。
現状はいずれのインストール方法も、実験的なインストール方法として提供されています。
TPM によるディスクの暗号化サポート
「TPM(Trusted Platform Module)」を利用してディスクを暗号化してインストールするインストール方法がサポートされました。「TPM」によるディスクの暗号化については、以下を参考にしてください。
「ハードウェアベースのディスク全体暗号化」オプションが、このインストール方法にあたります。
現状はこのインストール方法も、実験的なインストール方法として提供されています。
ただしこのインストール方法は、NVIDIAが提供する「NVIDIA GPU」ドライバーを利用できないなど、サードパーティー製ドライバーやカーネルモジュールの利用に制限があります。
またファームウェアのアップグレード機能もサポートされていません。
今後「NVIDIA GPU」ドライバーのサポートを優先事項として、サードパーティー製カーネルモジュールのサポートが改善される予定です。
デュアルブートのサポート改善
「Windows」と「Ubuntu」のデュアルブートのサポートが改善され、特に「BitLocker」関連のサポートが改善されました。自動インストール機能のサポート
自動インストールとはある特定の構成で「Ubuntu」をインストールする方法です。この機能を利用するとインストールに必要な手続きを大幅に簡略化できます。
特に企業や組織等で複数のマシンに同じ構成で「Ubuntu」をインストールしたい時に役立つ機能でしょう。
自動インストールではインストール構成を「autoinstall.yaml」ファイルに記述し、インストーラーでそのファイルを指定してインストールを続行します。
「autoinstall.yaml」ファイルはローカルもしくはリモートに配置できます。
自動インストールの利用例は、以下を参考にしてください。
今後企業での利用をもっと容易にするために、SSO認証を経由した「autoinstall.yaml」ファイルへのアクセスがサポートされる予定です。
2. App Center
「App Center」はアプリのインストールやアップデートなど、アプリの管理するためのアプリです。パフォーマンスの改善
「App Center」は新規に開発されたアプリ管理アプリであり、以前のアプリ管理アプリである「Ubuntu Software」と比べ、パフォーマンスが大幅に改善されています。アプリ評価システム
「App Center」にはアプリを評価する仕組みが備わっており、ユーザーがお気に入りのアプリに対し評価を投稿できるようになりました。また「Snap Store」から提供されるアプリの情報を活用することで、人気アプリの紹介や最近アップデートされたアプリを紹介する機能も備わっています。
Snap/Debパッケージに対応
デフォルトでは「App Center」は積極的に「Snap Store」から提供されるアプリを紹介するようになっています。しかしアプリの検索時にdebパッケージで提供されるアプリも表示されるようになっています。
Firmware Updaterの分離
「Firmware Updater」はデバイスのファームウェアをアップデートするアプリです。例えばPCのUEFIファームウェアがこれに該当します。
今まで「Firmware Updater」と「Ubuntu Software」は統合されていました。
しかし「App Center」の開発時に「Firmware Updater」を別のアプリに分離することで、メモリ使用量が削減され、パフォーマンスが向上しました。
3.GNOME 46
「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」ではデスクトップに、先月リリースされた最新の「GNOME 46」を採用しています。GNOME 46
「GNOME 46」の新機能や変更点は、以下のリリースノートを参考にしてください。「GNOME 46」ではファイルアプリの検索機能やパフォーマンスが改善されています。
また通知に通知を行ったアプリ名の表示や、設定アプリの設定カテゴリーの見直しなど、アプリも含めデスクトップ全体の使い勝手が改善されています。
Ubuntu ならではの機能
「Ubuntu」では「GNOME」デスクトップに「Ubuntu」ならではの機能を搭載しています。アプリで使用される強調表示色を選択する機能や、アプリのウィンドウをキーボード操作で整列及び配置する機能が追加されています。
またデスクトップのトリプルバッファリングにより、「Intel GPU」及び「Raspberry Pi」環境でパフォーマンスが向上しています。
4. Netplan 1.0
ネットワーク構成を定義し、その定義をシステムに反映する「Netplan 1.0」が採用されています。Netplan と Ubuntu Desktop
「Netplan」自身は2016年に登場し、サーバー向けおよびクラウド向け「Ubuntu」で利用されていますが、「Ubuntu 23.10」から「Ubuntu Desktop」でも「Netplan」を利用するようになりました。これによりサーバー向けおよびクラウド向け「Ubuntu」と「Ubuntu Desktop」のネットワーク構成を定義する際、同様の手法でネットワーク構成を定義できるようになりました。
Netplan 1.0
最新版の「Netplan 1.0」の採用により「Netplan」自身の機能も強化されています。詳細は以下を参考にしてください。
5. Active Directory と Group Policy Objects のサポート強化
「Active Directory」と「Group Policy Objects」のサポートが強化されました。エンタープライズ向けの機能
Windows環境とUbuntu環境が混在している環境では、クライアントで「Active Directory Group Policy Objects」を活用できます。これは「Ubuntu Pro」を通じて提供される機能です。
- ユーザー権限の管理
- ローカル管理者の削除
- リモートスクリプトの実行
- AppArmorプロファイルの管理
- ネットワーク共有の設定
- プロキシ設定
- 証明書の自動登録
今後も機能が追加されていく予定です。
6. セキュリティーの強化
「Ubuntu Desktop」のセキュリティー面も強化されています。PPAの認証強化
「PPA」は開発者が「Ubuntu」向けにソフトウェアを配布したい時に利用可能なリポジトリーのホスティングサービスです。この「PPA」の認証や「PPA」で配布されるパッケージの検証に使用される鍵の強度や管理方法が強化されました。
詳細は以下を参考にしてください。
ユーザー名前空間の利用制限
悪意あるソフトウェアによる「Linux kernel」への攻撃を緩和するため、非特権プロセスによるユーザー名前空間の利用に制限が加わりました。正当なアプリであると認められたアプリのみが、ユーザー名前空間から「Linux kernel」の特定の機能にアクセスできます。
詳細は以下を参考にしてください。