kledgeb UbuntuやLinuxの最新情報を紹介

Linux Mint その245 - Fastlyによるリポジトリーの負荷分散・Matrixウェブアプリの導入など

Linux Mint月刊ニュース

「Linux Mint」開発チームは、Linux Mint月刊ニュースにて「Linux Mint」の開発状況や取り組みを紹介しています。


  • Monthly News – April 2024

リポジトリーの負荷分散

以前紹介したように、「Linux Mint」が提供するパッケージリポジトリーの負荷が高くなっており、この負荷の軽減のためFastlyを活用した新しいパッケージリポジトリーの提供が予定されています。

  • Fastly Repository

現在このリポジトリーのテストが呼びかけられています。
このリポジトリーの利用方法は、上記リンク先を参照してください。

Linux Mint 公式サーバー

現在の「Linux Mint」公式サーバーはシカゴに配置されており、1 Gbpsのネットワーク帯域で接続されています。

ユーザーがこの公式サーバーにアクセスする際、シカゴから遠くなるほど遅延が大きくなります。
また「Linux Mint」のリリースやサイズの大きいパッケージがアップデートされた時に、多くのユーザーが一斉にこのサーバーにアクセスすると、サーバーのネットワーク帯域をアクセスしてきたユーザー間で共有するため、ダウンロード速度が大きく低下したり、エラーが発生します。

2006年に「Linux Mint」が登場して以来、プロジェクトの規模が大きくなるに連れ、ユーザー数の拡大と共にサーバーへの負担も大きくなっていきました。
それに合わせサーバーを増強し、負荷の分散を図ってきました。
しかしそれでもサーバーの負荷問題は依然として残っています。

CDNによる負荷分散

そこでFastlyによる負荷分散の導入が予定されています。
FastlyはCDNであり、世界中にサーバーが配置されています。
そのためシカゴからの距離はもはや関係ありません。

またFastlyはリポジトリーをキャッシュするため、「Linux Mint」公式サーバーがダウンしてもFastlyからリポジトリーを提供できます。

Linux Mintの利用統計

「Linux Mint」はDatadogとパートナーシップを結び、「Linux Mint」の利用統計を計測するようになりました。
以前紹介した各エディションの利用統計は、Datadogを利用した分析結果から得られています。


「Linux Mint」はDatadogの活用により、リポジトリーで提供しているパッケージの内、最も利用されているパッケージやバージョン、i386アーキテクチャーの利用状況など、様々な情報を把握できます。
これらの情報は「Linux Mint」の開発に活用されます。

ちなみにこの利用統計は「Linux Mint」公式ウェブサイトのダウンロードページから収集されたものであり、OS内でテレメトリー情報の収集は行っていません。

Jargonaut

「Jargonaut」は現在開発中の新しいチャットアプリです。


現在開発の進捗は75%であり、順調に開発作業が進められています。

  • HexChatの開発終了と代替アプリの開発

Matrixの導入

「Matrix」はSlackやDiscordに似た使い勝手を提供するオープンなコミュニケーションプラットフォーム(プロトコル)です。

  • Matrix (プロトコル)

「Linux Mint」は「Matrix」へ移行し、次期メジャーバージョンの「Linux Mint 22」では、「Jargonaut」の代わりに「Matrix」のクライアントアプリである「Element」が導入される予定です。

Linux MintとMatrixの統合

「Element」の導入にあたり「Linux Mint 22」では、「Matrix」ウェブアプリがプリインストールされます。


このウェブアプリは「Element」を利用して「Linux Mint」のスペースに接続します。


このウェブアプリはWebApp Managerで管理されており、異なるMatrixクライアントを指定したり、このウェブアプリが不要なら削除することも可能です。
ちなみに「Linux Mint」のスペースは以下からアクセス可能です。

  • Linux Mint

プリインストールアプリ

「Linux Mint 22」では、以下の方針でプリインストールアプリが採用されます。

プリインストールから削除されるアプリ

フォントを表示する「GNOME Font Viewer」はプリインストールアプリから外されます。

プリインストールアプリのダウングレード

以下のアプリは「GTK 3」を利用しているバージョンにダウングレードされます。

  1. Celluloid
  2. GNOME Calculator
  3. Simple Scan
  4. Baobab
  5. System Monitor
  6. GNOME Calendar
  7. File Roller
  8. Zenity

「GTK4/libAdwaita」を用いたGNOMEアプリはGNOMEのデザイン方針に沿ったアプリであり、「Linux Mint」のデザインとは調和しないためです。
また将来を見据えこれらのアプリはZenityを除き、フォークが検討されています。
またZenityの利用は中止される予定です。

「libAdwaita」はGNOMEアプリのために用意されている機能(ライブラリー)であり、またGNOMEのアプリはGNOME上での動作が想定されているアプリです。

XAppプロジェクト

「Linux Mint」では特定のLinuxディストリビューションやデスクトップ環境に依存しないアプリを開発するXAppプロジェクトを推進しています。

XAppプロジェクトの成果は現状主に「Linux Mint」で活用されていますが、XAppプロジェクトでは「Linux Mint」以外にもGNOMEのデザインが調和しない他のLinuxディストリビューションとの連携及び連携強化に取り組んでいきます。

Adwaitaテーマの削除

「Cinnamon 6.2」で「Adwaita」テーマはテーマ一覧から削除されます。
「Adwaita」テーマは以下のようにGNOME以外でサポートされていないためです。


ちなみに「GTK」が「Adwaita」テーマに依存するため、「Adwaita」テーマ自身を削除することはできません。
そこでテーマ一覧から「Adwaita」テーマを非表示にする修正が加えられます。
また「MATE」や「Xfce」でも同様に対応が取られる予定です。

Flatpakアプリの検証と信用

「Linux Mint」のソフトウェアマネージャーはFlatpakに対応しており、ユーザーは簡単にFlathubで公開されているFlatpakアプリをインストールできるようになっています。


そのFlatpakアプリ、信用できますか?

Flatpakアプリは第三者が提供しているアプリであり、その提供者も様々です。
例えば以下でFlatpak版Google Chromeが提供されています。

  • Google Chrome

Google Chromeは非常に著名なウェブブラウザーであり、恐らく多くのカジュアルユーザーは、Flatpak版Google ChromeはGoogleが公式に提供しているものだと思うでしょう。
しかし実態は異なります。


Flatpak版Google ChromeはGoogleが公式に提供しているものではなく、第三者が提供しています。
つまりユーザーはFlatpak版Google Chromeをインストールする時に、提供者を確認及び検証しない場合、その第三者を暗黙のうちに信用することになります。

ちなみにFlathubでは各アプリのリンクタブから、アプリの提供者を確認できるようになってはいますが、ユーザーが適切に提供者を確認及び検証できるかどうか、そしてその提供者を信用するかどうかはユーザーに委ねられています。

検証済みアプリ

Flathubではアプリの提供者が開発元であると確認できた場合や、その開発元が承認した第三者であると確認できた場合に、検証済みのマークを表示するようになっています。

現在Flathubでは42%のFlatpakアプリが検証されています。

ソフトウェアマネージャーの改善

残念ながら世の中には悪意あるソフトウェアが存在しており、「Linux Mint」ではそのリスクを軽減するため、ソフトウェアマネージャーの改善が予定されています。

まずFlathubで未検証となっているFlatpakアプリは、デフォルトでソフトウェアマネージャーに表示されないようになります。
未検証のアプリも表示するように設定を変更することも可能です。

次に未検証のアプリも表示する場合、未検証のアプリの評価スコアに0が表示されます。
また未検証であることを示すマークも表示されます。
ただ最終的な意思決定は引き続きユーザーが行うことになります。

Linux Mint
スポンサー
コメント
コメントポリシー
コメントをする前に UbuntuのCode of Conduct(CoC/行動規範) を確認し、CoCに沿ったコメントをお願いします。
コメントの使い方は、コメントの使い方を参照してください。
同一カテゴリーの記事
SNS
人気の記事
  • Ubuntu 26.04 その42 - Ubuntu 26.04.1 LTS のリリーススケジュール
    Ubuntu 26.04.1 LTSのリリーススケジュール Ubuntu 26.04.1 LTS のリリーススケジュールを紹介します。
  • Linux Mint その292 - Linux kernel 7.0 採用の Linux Mint 22.3 リリース・システム管理ツールにカーネル管理機能追加など
    Linux Mint 月刊ニュース Linux Mint 開発チームは Linux Mint 月刊ニュースにて、Linux Mint の開発状況や取り組みを紹介しています。
  • Ubuntu 26.04 その68 - Ubuntu 26.04.1 LTS がリリースされました・ディスクイメージのダウンロード
    Ubuntu 26.04.1 LTS リリース 2026年8月27日、Ubuntu 26.04.1 LTS がリリースされました。
  • Linux その422 - GNOME Boxes の再構築と未来・Flatpak のみの提供やモダンな機能の実装など
    GNOME Boxes の再構築と未来 GNOME Boxes の再構築と未来が以下で紹介されています。
  • Kubuntu その117 - Kubuntu 26.04 LTS にもっと手厚いサポートを・最高の信頼性を誇る KDE 搭載ディストリビューションを目指して
    最高の信頼性を誇る KDE 搭載ディストリビューションを目指して Kubuntu 26.04 LTS に手厚いサポートが導入されました。
  • Linux その421 - GNOME Shell のデザイン構想と長期的な見通し
    GNOME Shell のデザイン構想と長期的な見通し GNOME Shell のデザイン構想と長期的な見通しが、以下で紹介されています。
  • Linux その420 - KDE Plasma で実装予定の新機能や改善・UI レイアウトの調整やリモートデスクトップの改善など
    KDE Plasma で実装予定の新機能や改善 KDE Plasma で実装予定の新機能や改善を紹介します。
  • Windows その29 - Windows 向け Coreutils 登場・Coreutils のインストールやコマンドの一覧など
    Windows 向け Coreutils 登場 Windows 向け Coreutils が登場しました。
  • Linux その386 - Arch Linux の AUR パッケージで悪意あるコミットが続く・今度はソースコードの難読化か
    Arch Linux の AUR パッケージで悪意あるコミットが続く Arch Linux の AUR パッケージで悪意あるコミット(マルウェア)が続いています。
  • Ubuntu 18.04 その195 - PolicyKitにクラッシュや権限の昇格など複数の脆弱性・今すぐアップデートを
    PolicyKitの脆弱性 2018年7月16日、クラッシュや権限の昇格など複数の脆弱性に対応した「PolicyKit」がリリースされました。
記事のピックアップ
オプション