Flavor Sync Meeting
2024年7月10日、2024年7月8日に開催された「Flavor Sync Meeting」の議事録が公開されました。Flavor Sync Meeting
このミーティングはUbuntuの公式フレーバーのリーダーとCanonicalやコミュニティーのリーダーが集まり、2ヶ月に一度定期的に開催されています。Ubuntuの公式フレーバーはUbuntuの変更に追従していく必要があるため、認識や課題の共有など開発の足並みを揃えるために、このミーティングが開催されています。
いくつかピックアップします。
壁紙コンテストの開催方針と連携
壁紙コンテスト(壁紙コンペ)はUbuntuコミュニティーからUbuntuにプリインストールする壁紙を公募するイベントです。壁紙コンペでは投稿された作品の中から複数の壁紙が選ばれ、選ばれた壁紙はリリースされるUbuntuにプリインストールされるようになります。
公式フレーバーでも、同様に壁紙コンテストを実施している公式フレーバーもあります。
いつもよりも早く開催
現在開発中のUbuntu 24.10では、いつもよりも数週間早く開催される予定です。Ubuntuと公式フレーバーの連携
今までUbuntuと公式フレーバーは、それぞれ異なるプラットフォームでそれぞれに壁紙コンテストを実施してきました。Ubuntu 24.10の壁紙コンテストでは、Ubuntuと公式フレーバーが連携して壁紙コンテストを実施できないか、方法も含め検討される予定です。
Ubuntu Desktop 24.10と公式フレーバーが受ける影響
公式フレーバーはUbuntuをベースとし、Ubuntuと蜜に連携して開発されているLinuxディストリビューションです。そのためUbuntuの方針に強い影響を受けます。
Ubuntu Desktop 24.10では様々な改良が予定されています。
インストーラーの改善
Ubuntu DesktopではOSのインストーラーに、新しいUbuntu Desktop Installerを採用しています。この新インストーラーのGUI部分は、Flutterで開発されています。
従来のインストーラーは廃止され、従来のインストーラーを採用していた公式フレーバーは、新インストーラーもしくは別のインストーラーへの移行が強く促されています。
さて新インストーラーでは、以下の改良が予定されています。
- TPMによるFDE(ディスク全体の暗号化)選択時のエラーメッセージの改善
- OEMインストールのサポート
- グラフィックスのカスタマイズ機能
(ただしこの機能はUbuntu 25.04がターゲットになる)
App Centerのdebパッケージファイルのサポート
App Centerはアプリのインストールやアップデートなど、ユーザーがアプリを管理したい時に利用するアプリです。App Centerでローカルにあるdebパッケージファイルのインストールがサポートされる予定です。
Snapのサポート改善
Snapはアプリをパッケージング及びデプロイする仕組みであり、その仕組みに基づきアプリのインストールやアップデート、そしてアプリの実行環境を提供するなど、アプリを管理する仕組みも提供しています。Snapアプリのアップデートがある時に、デスクトップ上に表示する通知メッセージの改善が予定されています。
Snap版Steamの改良
Snap版Steamの使い勝手改良作業が予定されています。Ubuntu Desktop 24.04 LTSでは、Linux kernelに低遅延カーネルの機能が統合されました。
これによりUbuntu Desktop 24.04 LTSでゲームのパフォーマンスが大幅に向上しています。
さてSnap版SteamはSnapで提供されているということもあり、SnapによりSnap版Steamはシステムから隔離された環境で動作しています。
そのためシステムが提供している機能を利用したい場合は、その機能を利用できるように権限の許可を指定する必要があります。
これによりSnap版Steamの使い勝手に影響が出ており、この状況を改善するため、Ubuntu Desktop 24.04.1 LTSリリース後にSnap版Steamの権限を拡大する改善が予定されています。
NVIDIA GPUでWaylandセッションをデフォルトに
NVIDIA GPU搭載PCでWaylandセッションがデフォルトになる予定です。ちなみにこの対応はライブ環境及びGDMですでに導入されています。
Flavour Release Status
公式フレーバーのリリースに向けた取り組みをまとめたFlavour Release Statusが登場しました。Flavour Release Statusでは、公式フレーバーのデイリービルドのディスクイメージへのリンクや、リリースノートへのリンク、リリースステータスの情報がまとめて紹介されています。
公式フレーバーとWaylandセッション
公式フレーバーとWaylandセッションの対応方針です。Kubuntu / Ubuntu Studio
Kubuntu 及び KubuntuベースのUbuntu Studioでは、KDE Frameworks 6の採用でWaylandがデフォルトになる予定です。Lubuntu
デスクトップをWaylandに対応させるには、Waylandコンポジター(ディスプレイサーバー)が必要です。Waylandコンポジターの実装にはいくつか種類がありますが、LubuntuではWaylandコンポジターにMir/Miriwayの採用が検討されています。
ただしLubuntuのWayland対応がLubuntu 24.10で導入されるかどうかは分かりません。
遅くとも時期LTSのLubuntu 26.04 LTSまでにWayland対応がなされる予定です。
画像フォーマットのサポート改善
GNOME系のデスクトップ環境やアプリを採用している公式フレーバーに、画像フォーマットのサポート改善が提案されました。今回提案された画像フォーマットは、以下の2種類です。
提案が通れば画像ビューアーや壁紙などで、これらの画像フォーマットがサポートされるようになります。
Ubuntu Studioと低遅延カーネルのサポート
上記でも紹介した通りUbuntu Desktop 24.04 LTSで、低遅延カーネルの機能がgenericカーネルに統合されました。低遅延カーネルからgenericカーネルへの移行
これに伴いUbuntu Studio 24.10では、従来から導入されていた低遅延カーネルの採用をやめ、Ubuntuと同じカーネルを導入することになりました。低遅延設定アプリの導入
カーネルの低遅延設定をカスタマイズするアプリが開発されました。このアプリはユーザーのユースケースに基づき低遅延設定をカスタマイズでき、設定を変更すれば、その場で低遅延設定を反映するアプリです。
このアプリはUbuntu Studio Insrallerから簡単に導入でき、すべてのUbuntu公式フレーバーで動作するようになっています。
現状は低遅延設定を反映してもその設定を有効にするにはPCの再起動が必要になります。
将来的にPCの再起動なしに設定を有効にできるよう、改善される予定です。