GNOME 46の新機能と変更点
2024年3月20日、GNOME 46 がリリースされました。GNOME 46 の新機能と変更点を紹介します。
GNOME
GNOME はデスクトップを提供するためのソフトウェア群です。GNOME は GNOME プロジェクトで開発されており、半年に一度リリースされています。
GNOME というとデスクトップ環境を指す機会が多いかと思いますが、GNOME プロジェクトでは GNOME デスクトップ向けのアプリ群も開発及びリリースしています。
GNOME Core Applications
アプリにはファイルマネージャーやテキストエディターといった様々な GNOME デスクトップ向けのアプリが含まれており、これらのアプリは GNOME Core Applications と呼ばれています。GNOME Circle Applications
また GNOME Core Applications とは別に、GNOME デスクトップ向けに最適化されたアプリ群も存在しています。これらのアプリは GNOME Circle Applications と呼ばれています。
GNOME 46 で新たに 7種類のアプリが追加されました。
ファイル
ファイルはファイルマネージャーです。グローバル検索
新しいグローバル検索機能が搭載されました。グローバル検索は、左上の検索ボタンをクリックするかCtrl+Shift+F キーでアクティブにできます。
グローバル検索ではファイル名だけでなく、ファイルの内容で検索したり、ファイルの種類やファイルの変更日でフィルタリングすることも可能です。
また複数の場所から同時に検索することもでき、ホームフォルダー以外の場所からファイルを検索することもできます。
ファイル操作の進捗表示
ファイルのコピーなどファイル操作に時間がかかる時は、サイドバーの下部にファイル操作の進捗が表示されるようになりました。これにより各ファイル操作の進捗を確認できるだけでなく、進行中のファイル操作と完了したファイル操作を簡単に確認できるようになりました。
パフォーマンスの向上
リストビューとグリッドビューの切り替えが瞬時に切り替わるようになりました。設定項目の検索機能
ファイルアプリの設定画面で、各設定項目を検索できるようになりました。ファイル日時の表示方法の設定
ファイル日時の表示方法を選択できるようになりました。ファイルパスエリアの改善
パスを表示するロケーションエントリーでは、クリックでテキスト形式のパスにアクセスできるようになりました。スターの表示
お気に入りのファイルにスターをつけて他のファイルと区別する機能があります。グリッドビューでスターの表示やスターの設定を行えるようになりました。
ネットワーク検索機能の改善
他の場所はネットワーク上のボリュームなど、ネットワークデバイスを検索及び表示する場所です。従来よりもより多くの利用可能なネットワークデバイスが表示されるようになりました。
オンラインアカウント
オンラインアカウントは Google などのオンラインサービスで利用するユーザーのアカウントを管理するアプリです。Microsoft OneDrive のサポート
オンラインアカウントで Microsoft 365 アカウントを設定できるようになり、ファイルアプリから Microsoft OneDrive にアクセスできるようになりました。ローカルにあるフォルダーやファイルと同様に、ファイルアプリから Microsoft OneDrive にアクセスできます。
アカウント認証の改善
アカウントにサインインする時に、デフォルトのウェブブラウザーで認証手続きを行うようになりました。これにより USB トークンなど幅広い方法で認証手続きを行えるようになりました。
WevDAV アカウントのサポート
オンラインの連絡先やカレンダー、ファイルにアクセス可能な WevDAV アカウントに対応しました。GNOME 初期セットアップから削除
オンラインアカウントの設定画面が GNOME 初期セットアップから削除されました。RDP のサポート改善
RDP によるリモートログインのサポートが強化されました。設定画面にリモートログインを設定する専用の設定画面が追加されました。
ここでリモートログインを有効にすれば、他のマシンからこのマシンにリモートで接続できるようになります。
設定
設定アプリはデスクトップやシステムの各種設定を行うアプリです。システムセクションの新設
設定画面の構成が見直され、以下の設定項目が新設されたシステムセクションに移動されました。- 地域と言語
- 日付と時刻
- ユーザー
- リモート デスクトップ
- セキュア シェル
- バージョン情報
アプリ設定画面の変更
アプリ設定の設定画面も変更され、デフォルトのアプリ設定やリムーバブルメディアの設定が統合されました。タッチパッドの設定改善
タッチパッドの設定に2種類の設定項目が追加されました。一つ目はセカンダリークリック設定です。
セカンダリークリックはいわゆるタッチパッド上の右クリックのことであり、セカンダリークリックの方法をここで設定できます。
もう一つは入力中にタッチパッドを無効にする設定です。
この設定をオフにすれば、ゲームなどキーボード操作時でもタッチパッドからの入力が有効になります。
VRR のサポート
ディスプレイのリフレッシュレートで VRR(Variable Refresh Rate)が試験的にサポートされました。この設定を行えるようにするには、以下のコマンドを実行してこの機能を有効化する必要があります。
gsettings set org.gnome.mutter experimental-features "['variable-refresh-rate']"
アクセシビリティーの改善
アクセシビリティーはユーザーの操作を視覚や聴覚で支援する機能です。今回の改善は主にスクリーンリーダーの Orca に焦点があてられています。
スリープモード
Ctrl+Alt+Shift+Q ショートカットキーを押して、Orca を一時的に無効化できるようになりました。独自のスクリーンリーダーや自動音声アプリを備えた仮想マシンを利用する時に便利でしょう。
システムステータスの報告
Orca に バッテリーの状況や CPU 及びメモリーの使用状況を報告する新しいコマンドが実装されました。テーブルのナビゲーション
テーブルのナビゲーション機能が改善され、この機能に対応したアプリが増えました。またこの機能に対応した新しいコマンドも追加されています。
Orca+Shift+T ショートカットキーでテーブルナビゲーション機能の切り替えや、Orca+Alt+Shift+カーソルキーで最後のセルに移動できます。
Spiel のサポート
Spiel は次世代の音声合成 API です。Orca はこの Spiel に試験的に対応しました。
スイッチのオン・オフの視覚表示
スイッチのオン・オフの視覚表示設定が新たに追加されました。ハイコントラストの改善
ハイコントラスト機能が改善され、一貫性と使いやすさが向上しています。デスクトップ通知
デスクトップ通知機能の改善です。通知レイアウトの改善
アプリの各通知にヘッダーが追加され、通知を行ったアプリの名称が表示されるようになりました。通知の展開
通知リストで各通知をクリックすると、その通知に対応したアクションを実行するボタンが表示されるようになりました。これによりユーザーの都合の良い時に通知アクションを実行できます。
デスクトップ全般
その他デスクトップ全般の改善です。ショートカットキーの追加
新しいショートカットキーが追加されました。ダッシュボードにピン留めされているアプリは、Super+数値キーで起動できるようになりました。
例えば Super+1 キーを押せば、ダッシュボードの最初にピン留めされているアプリが起動します。
加えて Ctrl キーを押しながらアプリを起動すれば、そのアプリの新規ウィンドウを開くことができます。
オンスクリーンキーボードの改善
オンスクリーンキーボードでは、電話番号やメールアドレス、URL 等を入力する際に、自動的に大文字で入力する機能とそのための新しいレイアウトが追加されました。タップクリックがデフォルトで有効に
タップしてクリックする機能がデフォルトで有効になりました。アプリケーション
アプリケーション全体の改善です。ソフトウェア
ソフトウェアアプリでは、Flathub アプリの検証状況を示すインジケーターが改善されました。Flathub アプリをインストールするユーザーは、アプリのパブリッシャーの情報や献上状態を確認した上で、信用できるアプリかどうかを確認できます。
他にもエラーメッセージの改善や新しいショートカットキーが追加されています。