印刷
Ubuntuでは、システム設定の「印刷」でプリンターの管理を行います。印刷システムはMac OS Xと同じくCUPSを採用しています。
ちなみに現在CUPSは、Appleに買収されAppleにより開発されています。
WindowsやMac OS Xと比較して
UIは親切ではありませんし、機能が一部省かれていることもあります。Mac OS XでCUPSを採用しているとはいえ、各メーカーがプリンターの性能を活かせるよう、それぞれのOSに適したドライバーを提供しているため、多くの機能や使いやすさが実現されています。
もちろんOSもそれらが実現できるように設計されています。
残念ながらUbuntuでは、同程度の機能や使い勝手を期待しないほうが良いでしょう。
またプリンターの設定において、利用しているプリンターの仕様や知識が必要になることがあります。
CUPSデーモン
CUPSではCUPSデーモンがバックグラウンドで動作しており、このデーモンがプリンターの管理を行なっています。従って「システム設定」の「印刷」は、CUPSデーモンのフロントエンドという事になります。
CUPSのバージョン
デフォルトでインストールされるCUPSのバージョンは以下の通りです。Ubuntu 12.04
CUPS 1.5.3Ubuntu 12.10
CUPS 1.6.1印刷画面の表示
「システム設定」を起動し、「印刷」をクリックします。印刷画面
以下の画面が表示されます。この画面からプリンターの追加と削除やプリンターの設定等を行います。
追加ボタン
プリンターやクラスを追加します。更新ボタン
プリンタ一覧を更新します。共有プリンタは自動検出できるため、表示されない時は更新してみてください。
フィルタ
プリンター一覧で表示するプリンターを絞りこみます。部分一致です。
プリンター一覧
登録(追加)されたプリンターや、検出された共有プリンターの一覧です。サーバーの設定
サーバーとはCUPSデーモンのことです。共有プリンターの公開やリモートによる管理などの設定を行います。
この画面で設定を行うと「/etc/cups/cupsd.conf」ファイルが更新され、CUPSデーモンが再起動します。
「lpadmin」グループについて
「lpadmin」グループに属するユーザーがCUPSデーモンに対して操作を行うことができます。従って「lpadmin」グループに属するユーザーがいないと、設定を変更することができません。
どのユーザーが「lpadmin」グループに属しているか、あるいは「lpadmin」グループに属するユーザーを変更したい場合は、「グループを管理する」を参考にグループの設定を確認・変更してください。
ユーザー認証について
ログインしているユーザーが「lpadmin」グループに属していないと、以下のようなユーザー認証画面が表示されます。この画面が表示されたら、「lpadmin」グループに属するユーザーとそのユーザーのパスワードを入力して、「OK」ボタンをクリックしてください。
ちなみにUbuntuでは「root」アカウントが無効にされているため、「root」で認証を行うことはできません。
サーバー設定画面の表示
「サーバー」メニューから「設定」をクリックします。ユーザー認証の画面が表示された場合は、「lpadmin」グループに属するユーザー名とパスワードを入力します。
以下の画面が表示されます。
他のシステムで共有されているプリンターを表示する
他のPCで共有されているプリンターを表示します。表示できるプリンターは、同じサブネットに属するPCの共有プリンターです。
異なるサブネットに属するPCの共有プリンターを表示するには、「サーバーを閲覧」にPCのIPアドレス(ホスト名)を指定する必要があります。
チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。
# Allow remote access
Port 631
Browsing On
BrowseOrder allow,deny
BrowseAllow all
BrowseRemoteProtocols CUPS dnssd
このシステムに接続されている共有プリンターを公開する
他のPCにこのPCで共有されているプリンターを公開します。チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。
# Allow remote access
Port 631
Browsing On
BrowseOrder allow,deny
BrowseAddress @LOCAL
BrowseLocalProtocols CUPS dnssd
<Location />
# Allow shared printing...
Order allow,deny
Allow @LOCAL
</Location>
インターネットからの印刷を許可する
外部ネットワークからの共有プリンターへのアクセスを許可します。チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。
<Location />
# Allow shared printing...
Order allow,deny
Allow all
</Location>
注意(2013/2/3)
このチェックをオンにし設定を保存した後に、再度チェックをオフにし設定を保存しても「Allow all」が記述されたままになります。元の設定戻すには、その状態で「このシステムに接続されている共有プリンターを公開する」をオフにして設定を保存してください。
再度「このシステムに接続されている共有プリンターを公開する」をオンにすれば「Allow @LOCAL」が記述されます。
リモート管理を許可する
別のPCからサーバーの設定やプリンターの管理を行えるようにします。チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。
# Only listen for connections from the local machine.
Listen localhost:631
<Location />
# Allow remote administration...
Order allow,deny
Allow @LOCAL
</Location>
<Location /admin>
# Allow remote administration...
Order allow,deny
Allow @LOCAL
</Location>
<Location /admin/conf>
AuthType Default
Require user @SYSTEM
# Allow remote access to the configuration files...
Order allow,deny
Allow @LOCAL
</Location>
ユーザーにジョブのキャンセルを許可する
通常は印刷を実行したユーザーか、「lpadmin」グループに属するユーザーのみがその印刷処理をキャンセルできます。このチェックをオンにすると、他のユーザーでもその印刷処理をキャンセルすることができます。
チェックをオンにすると、設定ファイルの以下の記述が削除されます。
<Policy default>
# Only the owner or an administrator can cancel a job...
<Limit Cancel-Job>
Order deny,allow
Require user @OWNER @SYSTEM
</Limit>
</Policy>
トラブルシュート
エラーログにCUPSデーモンの動作情報を出力します。エラーログは「/var/log/cups/error_log」です。
チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
LogLevel debug
ジョブ履歴
ジョブとは印刷処理のことです。ジョブ履歴を保持しない
ジョブ履歴を保持しません。ジョブ履歴は保存し、ファイルでは保存しない
ジョブ履歴は保存しますが、印刷データは保存しません。ジョブファイルを残す(再印刷が可能)
ジョブ履歴と印刷データを保存します。印刷データも残すため、あとで再度印刷することができます。
印刷データを保存するとHDDの使用量が増えるので、注意してください。
サーバーを閲覧
通常異なるサブネットに属するサーバー(PC)の共有プリンタは、表示することができません。ここにサーバーのIPアドレスやホスト名を追加することで、異なるサブネットに属するサーバーの共有プリンタを表示させることができます。
注意
この項目を設定するには、「他のシステムで共有されているプリンターを表示する」が有効になっている必要があります。「他のシステムで共有されているプリンターを表示する」にチェックを入れただけではダメで、一度設定を保存し再度この画面を表示してください。
「追加」ボタン
サーバーを追加します。ボタンをクリックすると、以下のように項目が追加されます。
サーバーのIPアドレスかホスト名を入力します。
ブロードキャストアドレスを指定することもできます。
ブロードキャストアドレスを指定すると、そのサブネットに属するPCの共有プリンターを表示することができます。
上記の場合、「192.168.57.10/24」なので「192.168.57.255」と入力します。
「削除」ボタン
選択されたサーバーを削除します。「OK」ボタン
設定を保存し、この画面を閉じます。また、CUPSデーモンを再起動します。