リモートブランチとローカルブランチ
以前紹介したように、既存のリポジトリーをクローンした場合、「リモートリポジトリー」と「ローカルリポジトリー」の関係が作られます。ブランチも同様に、「リモートブランチ(Remote Branch)」と「ローカルブランチ(Local Branch)」の関係が作られます。
「リモートブランチ」は、「リモートリポジトリー」にあるブランチのことです。
「ローカルブランチ」は、「ローカルリポジトリー」にあるブランチのことです。
リモートトラッキングブランチ(Remote-tracking Branch)
「リモートトラッキングブランチ」は、「ローカルリポジトリー」に作成されるブランチです。例えばリポジトリーのクローン直後であれば、「リモートリポジトリー」にあるブランチごとに「リモートトラッキングブランチ」が作成されます。
ローカルブランチの一種
「ローカルリポジトリー」に作成されるブランチなので、「リモートトラッキングブランチ」も「ローカルブランチ」の一種です。しかし、役割が通常の「ローカルブランチ」と異なるため、明確に区別されます。
リモートトラッキングブランチの役割
トラッキング(追跡)という名称が付いている通り、「リモートブランチ」を追跡するブランチです。「Git」では多くの作業を自分のPC(ローカルリポジトリー)で行います。
この時、「リモートブランチ」の状態を「リモートトラッキングブランチ」で表します。
「リモートブランチ」の状態を自分の「ローカルリポジトリー」に保持しているため、「リモートリポジトリー」にアクセスしなくても、「リモートブランチ」の状態が分かります。
「リモートブランチ」の状態を知りたければ、「リモートトラッキングブランチ」を見ればよいです。
ただし自動的に「リモートトラッキングブランチ」が更新されることはありません。
言い換えれば、「リモートトラッキングブランチ」は「リモートブランチ」のキャッシュと言ったところでしょうか。
クローン直後は、「リモートブランチ」と「リモートトラッキングブランチ」は同じ状態です。
すなわち、両ブランチの「ブランチヘッド」は、同じ「コミットオブジェクト」を指しています。
ブランチヘッドが変わる
例えば、他のユーザーとリポジトリーを共有していて、自分以外のユーザーが「リモートブランチ」を更新すると、「リモートブランチ」と「リモートトラッキングブランチ」は、異なる「コミットオブジェクト」を指します。このような状況でも「リモートリポジトリー」からpullなどを行えば、「リモートトラッキングブランチ」が更新され、「リモートブランチ」と「リモートトラッキングブランチ」が同じ状態になります。
自分で「リモートトラッキングブランチ」を移動するような操作は必要ありませんし、勝手に移動するものでもありません。
リモートトラッキングブランチの名称
「リモートトラッキングブランチ」もブランチですから、ブランチ名を持ちます。このブランチ名は、自動的に設定されます。
ブランチ名のフォーマットは、以下のようになります。
(リモートリポジトリー名)/(リモートブランチ名)
リモートリポジトリー名/HEADについて
クローン元の「HEAD」に対応した「リモートトラッキングブランチ」です。デフォルトだと、「origin/HEAD」になります。
「HEAD」自身はブランチではありませんが、クローン時に「リモートリポジトリー」の「HEAD」が指すブランチの情報を保持しています。