Wine 4のサポート改善
「Linux Mint 19.x」では「Wine 4」のサポートが改善されました。Wineに関する大きな問題
「Linux Mint 19.x」シリーズは「Ubuntu 18.04 LTS」ベースで開発されています。この「18.04」に絡む大きな問題の1つは、「Wine」のインストールに手間がかかり、すぐに「Wine」を利用できる状態にできなかったという点です。
開発チームはこの問題を掘り下げ、以下の課題を把握しました。
- 「wine-stable」も「wine-development」も古くなったバージョンである
- 64bit環境で「Wine」をインストールすると、パッケージ群のインストールが不完全であり、32bit Windowsバイナリーのサポートが行われない
- Windowsバイナリー(.exe/.msiなど)はコマンドラインからのみ起動可能
- Regedit/Wine Setup/C:\ドライブといったWineの機能へ簡単にアクセスするためのショートカットがない
上記の課題の内「1.」から「3.」は、パッケージベースに関する問題であり、「WineHQ」が提供するアップストリームのパッケージにこれらの問題がないことが分かりました。
Wine 4のバックポート
開発チームは上記の課題に対処するため、「WineHQ」から安定版「Wine 4」を「Linux Mint」のリポジトリーにバックポートしました。これにより上記の課題の解決だけでなく、「Vulkan」やゲームコントローラー、「Direct3D 12」のサポートも含まれるようになりました。
Wineのショートカット
残る課題は「Wine」のショートカットです。この課題は「Wine」自身の課題であり、「Wine」の新しいバージョンでもこの課題がクリアされていません。
開発チームはこの問題に対処するため「wine-desktop-files」パッケージを新たに作成し、このパッケージを「Linux Mint」のリポジトリーに追加しました。
Wineのインストールを簡単に
開発チームは「Linux Mint 19.x」に「Wine」を簡単にインストールできるようにするため、「wine-installer」パッケージを作成しました。これに伴いリリースノートが更新され、「Wine 4」のインストール方法や「Wine 3」からアップグレードする方法が記述されています。
Wine 4をインストールするには
事前に「アップデートマネージャー」を起動して、すべてのソフトウェアをアップデートしておきましょう。「WineHQ」が提供する安定版「Wine 4」をインストールするには、以下のコマンドを実行します。
apt install --install-recommends wine-installer
Wine 3からWine 4へアップグレードするには
事前に「アップデートマネージャー」を起動して、すべてのソフトウェアをアップデートしておきましょう。「Wine 3」から「Wine 4」へアップグレードするには、以下のコマンドを実行します。
apt install --install-recommends wine-installer
次に以下のコマンドを実行するとアンインストール対象の「Wine 3」パッケージが表示されます。
これらのパッケージは削除可能です。
dpkg -l | grep wine | grep "3\."
アップグレード過程で「PlayOnLinux」がアンインストールされた場合は、必要に応じて再度「PlayOnLinux」をインストールしてください。
コミュニティーウェブサイトのデザイン一新
コミュニティーウェブサイトのデザインが一新されました。コミュニティーウェブサイトは以下からアクセスできます。
新しいデザインでコミュニティーウェブサイトが表示されない場合は、ブラウザーのキャッシュをクリアしてから再度アクセスしてください。
(ブラウザー上で「Ctrl + Shift + R」キーを押してキャッシュの更新が可能です。)
この新しいデザインは「Bootstrap」を利用して構築されており、ページはレスポンシブデザインであり、低解像度のディスプレイやモバイルデバイスからも適切なデザインでアクセス可能です。
ハードウェアデータベースの精査
ハードウェアデータベースを精査する作業が検討されています。Flatpakアプリの登録自動化
また「ソフトウェア」のセクションに、「Flathub」に新しく追加されたアプリを自動的に登録する機能の追加が検討されています。Linux Mintのロゴについて
コミュニティーウェブサイトで使用されている「Linux Mint」のロゴは、最終的なデザインではありません。ロゴデザインの再設計に取り組んでいる最中であり、今後ロゴが変更される可能性があります。
Xedの改良
「Xed(テキストエディター)」の次期バージョンでは、コメントとコメントブロックの切り替え機能がサポートされる予定です。この機能は開発者に好まれる機能であり、対象行を数行選択し「Ctrl + /」キーを押すと、選択された行がコメントになります。
これにより即座にコードブロックをコメントアウトできるようになり、トラブルシューティング時に作業負担を軽減することができるでしょう。
またコメントアウトされたコードを同様の操作で元に戻すことも可能です。
Settingsウィジェット
開発者がもっと簡単に素早く設定ウィンドウを開発できるようにするため、「gsettings」と自動的に同期して動作する設定ページ、設定セクション、設定ウィジェットが「Cinnamon」の初期に開発され利用されてきました。これらのウィジェットは「python-xapp(The Python Xapp module)」に移され、「Cinnamon」以外のプロジェクトでも利用できるようになりました。
これを利用すれば設定ウィンドウを簡単に開発できるだけでなく、一貫したルック&フィールを提供できるようになります。
mintMenu設定画面の作り直し
「mintMenu」設定画面は上記のウィジェットを利用して作り直されました。MintMenuの改良
「MintMenu」では、以下の改良が行われました。- 検索バーを上部に移動可能に
- Recentプラグインはドキュメントを先に表示するように変更
- メニューのパフォーマンスが大幅に向上
- mintMenu設定画面の作り直し(上記で紹介)