Linux Mint 21.2の既知の問題とトラブルシューティング
リリースノートから「Linux Mint 21.2」の既知の問題とトラブルシューティングを紹介します。
Linux Mint 21.2の新機能と変更点について
リリース情報や新機能と変更点は、以下を参照してください。ドキュメント
「Linux Mint 21.2」インストールガイドやユーザーガイド等の公式ドキュメントは、以下を参照してください。1. セキュアブート環境でLinux Mintが起動しない
Ubuntuの「shim-signed」がアップデートされ互換性が失われたため、UEFIセキュアブート環境で既存の「Linux Mint」のディスクイメージから「Linux Mint」を起動できなくなりました。UEFIセキュアブート環境で「Linux Mint」を起動できない場合、UEFIセキュアブートを無効化してから「Linux Mint」を起動してください。
今後リリースされる「Linux Mint」ではこの問題が解消される予定です。
2. ライブUSBメモリーからOSを起動すると、エラーになる
環境によってはライブUSBメモリーからOSを起動すると、「Boot error: out of memory」エラーが発生します。この問題はGRUBの問題です。
不具合報告の内容は、以下を参照してください。
この問題に関する追加情報は、以下を参照してください。
回避策
もしこの問題が発生した場合は、「Rufus」を使ってライブUSBメモリーを作成してください。3. シャットダウン時のタイムアウトの調整
ユーザーの利便性向上のため、シャットダウン時のタイムアウトが10秒に減らされています。シャットダウンが完了する前にこれより長い時間処理するタスクを行いたい場合、まず以下のファイルを開いてタイムアウト調整の説明を読んでください。
- /etc/systemd/system.conf.d/50_linuxmint.conf
その後説明を元に以下のファイルでタイムアウト設定を指定してください。
- /etc/systemd/system.conf.d/60_custom.conf.
4. HiDPI環境でGRUB2画面が非常に小さく映る時は
HiDPI環境でGRUB2のテーマが非常に小さくなる時は、以下のパッケージをインストールしてください。- grub2-theme-mint-2k
5. Snap（Snap Store）を有効にするには
「Snap（Snap Store）」は無効になっています。「Snap（Snap Store）」を有効にするには、以下を参考にしてください。
6. Virtualbox
「Linux Mint」を「Virtualbox」にインストールする際の注意事項です。6-1. 起動時に画面が真っ黒になる時は
「Virtualbox」で「Linux Mint」を起動すると画面が真っ黒になる場合は、仮想マシンの設定画面を開き、「ディスプレイ」の「グラフィックコントローラー」の設定を「VMSVGA」に変更してください。6-2. 起動時に画面が崩れる場合は
「Virtualbox」で「Linux Mint」を起動すると画面が崩れる場合は、「HOST + F1」キーを押してコンソールに切り替えた後、再度「HOST + F7」キーを押して元の画面に戻ってください。「ホストキー」は通常「右Ctrl」キーに割り当てられています。
もう一つの回避策
もう一つの方法は、ネステッドページングを無効化することです。仮想マシンの設定を開き、「システム」の「アクセラレーション」タブで「ネステッドページングの有効化」チェックをオフにします。
また「ディスプレイ」の設定から、ビデオメモリーの割り当てを「128MB」に設定します。
補足
この問題はライブUSBなどライブセッションで起動した「Linux Mint」で発生し得る問題です。仮想マシンにインストールした後の「Linux Mint」では、ここで紹介する回避策は必要ありません。
6-3. Virtualbox Guest Additionsのインストールを
「Virtualbox」の仮想マシンに「Linux Mint」をインストールした場合、共有フォルダーやホスト・ゲスト間のドラッグ&ドロップ、描画パフォーマンスの向上や適切な解像度のサポートを得るために「Virtualbox Guest Additions」をインストールしておきましょう。「Virtualbox Guest Additions」のインストール方法は、以下を参照してください。
7. ホームフォルダーの暗号化
ホームフォルダーの暗号化は、多くのケースにおいてディスク全体の暗号化よりもパフォーマンスが低下します。ユーザーがログイン及びログアウトする時に暗号化されたホームフォルダー（ディレクトリー）をマウント及びアンマウントしますが、この時「systemd」への移行により「ecrypts」でリグレッションが発生しており、パフォーマンスが低下しています。
この問題のため「Linux Mint 20」以降では、暗号化されたホームフォルダーはユーザーのログアウト時にアンマウントされません。
8. ゲストセッション
ゲストセッションはデフォルトで無効化されています。ゲストセッションを有効にするには、ログイン画面の設定でゲストセッションを有効にしてください。
9. タッチパッドの動作がおかしい時は
すべてのエディションでデフォルトのタッチパッドドライバーに「xserver-xorg-input-libinput」パッケージから提供される「libinput」を採用しています。9-1. synapticsも利用可能
もしタッチパッドの操作で問題が発生した場合は、「xserver-xorg-input-synaptics」パッケージから提供される「synaptics」に切り替えることも可能です。「libinput」と「synaptics」の両方がインストールされている場合、「synaptics」が優先されます。
9-2. 現在のタッチパッドドライバーを調べるには
現在のタッチパッドドライバーを調べるには、以下のコマンドを実行します。
grep -i "Using input driver" /var/log/Xorg.0.log
入力デバイスで使用されているタッチパッドドライバーが出力されます。
9-3. libinputからsynapticsに切り替えるには
デフォルトのタッチパッドドライバーを「libinput」から「synaptics」に切り替えるには、以下のコマンドを実行します。
apt install xserver-xorg-input-synaptics
コマンド実行後、ログインし直すかPCを再起動します。
9-4. 元に戻すには
デフォルトのタッチパッドドライバーを「libinput」に戻すには、以下のコマンドを実行します。
apt remove xserver-xorg-input-synaptics
コマンド実行後、ログインし直すかPCを再起動します。
9-5. もう一つの選択肢、evdevドライバー
もう一つの選択肢である「evdev」ドライバーをインストールしてみることも可能です。「evdev」ドライバーは「xserver-xorg-input-evdev」パッケージから提供されます。
10. Wine
「Wine」を簡単にインストールできるようになっています。「Wine」をインストールするには、「端末」で以下のコマンドを実行します。
apt install wine-installer
また「wine-desktop-files」もインストールされ、ランチャーメニューに「regedit」及び「C:\ドライブ」、その他アップストリームで不足している各種メニューエントリーが追加されます。
11. サウンド及びマイクに関する問題
サウンド出力やマイクに関する問題に直面した時は、「pavucontrol」をインストールしてください。「pavucontrol」をインストールするとランチャーに「PulseAudio Volume Control」が追加されます。
11-1. 高度な設定
「PulseAudio Volume Control」はデフォルトで搭載している音量調整よりも、高度な設定が可能です。「PulseAudio Volume Control」で設定を調整し、問題の解決を試みてください。
12. Lenovo製ノートPCでキーボードが動作しない問題
Lenovo製ノートPCでキーボードが動作しない問題が報告されています。サスペンドから復帰した時や、そもそもキーボードが動作しない場合は、以下の回避策を試してみてください。
13. rootで起動したアプリのカーソルテーマを変更するには
rootで起動したアプリのカーソルテーマを変更する方法です。13-1. Qtアプリの場合
Qtで動作するアプリのカーソルテーマを変更したい場合、以下のコマンドを実行してカーソルテーマを設定してください。sudo update-alternatives --config x-cursor-theme
13-2. Flatpakアプリの場合
Flatpakアプリで現在のカーソルテーマに合わせたい場合、まず「ソフトウェアマネージャー」から「Flatseal」をインストールしてください。「Flatseal」を起動したら現在のカーソルテーマに合わせたいFlatpakアプリを選択し、以下の両方もしくはいずれかのパーミッションを許可してください。
- All user files
- All system files
14. VLCでDVDドライブが見つからない時は
「VLC」で「DVD」が見つからない場合は、「メディア」メニューから「ディスクを開く」を選択し、ディスクデバイスに「/dev/sr0」を指定してください。15. その他の問題
「Linux Mint 21.1」は「Ubuntu 22.04 LTS」をベースに構築されているため、「Ubuntu 22.04 LTS」の情報も参照してください。16. ライブセッションのユーザー名とパスワード
ライブセッションとは、ライブUSBやライブDVDから起動した「Linux Mint」のことです。ライブセッションのユーザー名は「mint」です。
パスワードはありません。
パスワードを求められたら何も入力せずに「エンター」キーを押してください。
17. ウィンドウが画面からはみ出した時は
アプリのウィンドウが画面からはみ出し操作できない場合は、「Alt」キーを押しながらウィンドウの任意の部分をマウスでドラッグ＆ドロップしてください。これで画面からはみ出したアプリのウィンドウを任意の位置に移動できます。
18. マルチメディアコーデックをオフラインでインストールするには
マルチメディアコーデックをオフラインでインストールする方法です。18-1. Linux Mintの起動
インターネットに接続可能なPCでライブUSBやライブDVDから「Linux Mint」を起動します。18-2. パッケージのダウンロード
「端末」を起動して以下のコマンドを実行し、パッケージをダウンロードします。
apt download mint-meta-codecs
18-3. パッケージ及びアーカイブの取得
「2.」の実行が完了すると、パッケージ及び「mint-meta-codecs.tgz」アーカイブを取得できるので、これらのファイルをUSBメモリー等にコピーしておきます。18-4. オフラインのPCでインストール
オフラインのPCを起動し、取得したアーカイブを展開します。その中にある「install.sh」を「端末」から実行します。
あるいは以下のコマンドでパッケージを纏めてインストールします。
sudo dpkg -i *.deb
19. 起動時にフリーズする場合は
一部のGPUは「Linux Mint」が標準で同梱しているオープンソースドライバーとの組み合わせでうまく動作しなことがあります。19-1. ライブセッション起動時
「Linux Mint」起動時にPCがフリーズする場合は、ブートメニューで「Compatibility Mode」を選択して起動してください。19-2. Linux Mintインストール後
そして「Linux Mint」インストール後にブートメニューが表示されるので、以下のように「nomodeset」ブートオプションを指定します。19-3. NVIDIA製GPUを搭載している場合
NVIDIA製GPUを搭載している場合、インストール済みの「Linux Mint」を起動した後、以下の手順でNVIDIAドライバーをインストールしてください。- ドライバーマネージャーを起動する
- NVIDIAドライバーをインストールする
- PCを再起動する
これで「nomodeset」オプションを指定する必要がなくなります。
19-4. それでも起動時にフリーズする場合は
上記の対応でも起動時にフリーズする場合は、以下のいずれかの方法を試してみてください。- 「nomodeset」の代わりに「nouveau.noaccel=1」ブートオプションを指定して起動する
- ブートオプションから「quiet splash」を削除し、代わりに「noapic noacpi nosplash irqpoll」ブートオプションを指定して起動する
- インストール後ブートメニューで「Advanced Options」を選択し「Recovery mode」で起動する。その後「resume」を選択して起動する
