clamfs
「clamfs」は、オンアクセススキャンを行う仮想ボリュームを作成するソフトウェアです。オンアクセススキャンを行うため、仮想ボリューム内でファイル操作を行うと、ウイスルスキャンが実行され、ファイルのウイルスチェックが行われます。
オンアクセススキャン
オンアクセススキャンとは、アプリやユーザーがファイルの操作を行う時に、ウイスルスキャンを実行することです。仮想ボリューム
「clamfs」は、ユーザーが指定した任意のフォルダーを仮想ボリュームとして提供します。この仮想ボリュームは、通常のボリュームのようにファイルの操作が可能です。
この仮想ボリュームを通してファイルの操作を行うことで、常にウイルススキャンが行われるようになります。
インストール
「clamfs」のインストールです。「Ubuntuソフトウェアセンター」を起動し、「clamfs」で検索します。
「インストール」ボタンをクリックします。
ウイルススキャンを行うサービスについて
「clamfs」をインストールすると、ウイルススキャンを行うサービスである「clamav-daemon」もインストールされます。「clamav-daemon」は、Ubuntu起動時に自動的に起動し、仮想ボリューム上のファイルに対してウイルススキャンを実行します。
「clamav-daemon」は、サービスの起動時にシグネチャーを読み込むため、サービスが起動完了するまでに少し時間がかかります。
サービスのメモリー使用量について
シグネチャーを読み込むということは、状況によってはメモリーの使用量が大きくなります。システムモニターを起動してサービスのメモリー使用量を見ると、以下のように約300MiB程メモリーを使用していることがわかります。
(サービスのプロセス名は「clamd」です。)
メモリーの搭載量が少ないPCで「clamfs」を利用する場合、メモリーの空き容量が少なくなるため注意してください。
clamfsの準備を行う
「clamfs」を利用するには、準備が必要です。「clamfs」の準備には、以下の2つがあります。
- 「clamfs」で使用するフォルダーの作成
- 「clamfs」で使用する設定ファイルの作成
clamfsの利用方針について
すべてのユーザーから利用できる仮想ボリュームを作成するなど、様々利用方法があります。ここでは、以下の方針で「clamfs」を利用します。
- ユーザー専用の仮想ボリュームを作成する
- システムの設定ファイルは変更しない
一般的なデスクトップユーザーなら、上記で十分かと思います。
1.clamfsで使用するフォルダーの準備
まず、「clamfs」で使用するフォルダーを準備します。上記にも記述したとおり、ある特定のフォルダーを仮想ボリュームとして提供するため、2種類のフォルダーを作成します。
1-1.フォルダーの作成
ユーザーのホームフォルダー直下に2種類のフォルダーを作成しても良いですが、ここでは例として「~/clamfs」フォルダー内に2種類のフォルダーを作成します。ホームフォルダー内には、元々様々なフォルダーがあり、煩雑になるのを避けるためです。
1-2.clamfs用のフォルダーの作成
「clamfs」で使用するフォルダーを作成します。以下の2種類のフォルダーを作成します。
- 実際にファイルを格納するフォルダー
- 仮想ボリュームのマウント用のフォルダー
ClamFS_Source
実際にファイルを格納するフォルダーです。仮想ボリュームにファイルをコピーしたり、仮想ボリューム上でファイルの作成や保存を行うと、ファイルはこのフォルダーに配置・保存されます。
直接このフォルダーにアクセスすれば、仮想ボリュームを作成していなくても、ファイルにアクセスできます。
もちろん、ファイルにアクセスした際、ウイルススキャンは実行されません。
VirusScanVolume
仮想ボリュームのマウント用のフォルダーです。フォルダー名は、仮想ボリュームのボリューム名になるので、分かりやすい名称を付けましょう。
2.clamfs設定ファイルの作成
次に、「clamfs」で使用する設定ファイルを作成します。2-1.設定ファイルのテンプレート
設定ファイルのテンプレートが、「/usr/share/doc/clamfs/clamfs-sample.xml.gz」に用意されています。このテンプレートをテキストエディターで開きます。
2-2.設定ファイルの保存
開いた設定ファイルのテンプレートを「名前を付けて保存」します。ファイル名は「clamfs.xml」にしました。
また、ファイルの種類で「すべてのテキストファイル」を選択してください。
以下のように、確認画面が表示されるので、「プレーンテキストで保存」をクリックします。
「~/clamfs/clamfs.xml」に保存しました。
2-3.設定ファイルの編集
設定ファイルを編集します。以下の「filesystem」要素に、「1-2.」で作成したフォルダーのパスを指定します。
root属性
「root」属性には、実際にファイルを格納するフォルダーのパスを指定します。mountpoint属性
「mountpoint」属性には、仮想ボリュームを作成する(マウントする)フォルダーのパスを指定します。public属性
「public」属性には、他のユーザーから仮想ボリュームにアクセスできるかどうかを指定します。「yes」を指定する場合、「/etc/fuse.conf」ファイルの編集が必要です。
readonly属性
「readonly」属性には、仮想ボリュームを読み込み専用でマウントするかどうかを指定します。2-4.設定ファイルの編集例
ここでは例として、以下のように設定しました。
<filesystem root="/home/ubuntu/clamfs/ClamFS_Source" mountpoint="/home/ubuntu/clamfs/VirusScanVolume" public="no" />
以上で完了ですが、他にも設定できるオプションがあります。
必要に応じて編集してください。
通常は元々記述されている内容のままで良いです。