リニア
「リニア」は複数の物理ボリュームを1つにまとめ、1つの論理ボリュームとして利用するアレイです。上図の場合、アプリやユーザーからは「900GB」のボリュームとして利用します。
リニアの特徴
「リニア」の特徴です。複数の物理ボリュームを1つにできる
容量の異なる複数の物理ボリュームを1つの論理ボリュームとして利用できます。例えば、250GBのHDDと500GBのHDDで「リニア」アレイを構築すると、750GBのHDDとして利用することができます。
後から物理ボリュームを追加できる
アレイ作成後に物理ボリュームを追加することができます。上記の構成に250GBのHDDを追加し再設定を行うことで、1TBのHDDとして利用することができます。
データを失うことなく容量の追加が可能です。
冗長性と信頼性
複数の物理ボリュームを1つにまとめるだけなので、冗長性が全くありません。従って、いずれかの物理ボリュームが故障するとデータは利用できなくなります。
「RAID 0」同様、障害に弱くなります。
モード
モードは、「mdadm」の動作モードを指定します。アレイの作成なので、以下のモードを指定します。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-C | --create | --create |
論理ボリューム
論理ボリュームのデバイスファイルを指定します。新規に論理ボリュームを作成するので、既存の論理ボリュームのデバイスファイルと重複しないデバイスファイルを指定します。
デバイスファイルのフォーマット
以下のフォーマットで指定すると良いでしょう。/dev/md/アレイの名称
記述例
- /dev/md/MyArray
- /dev/md/Data
- /dev/md/Backup
必須オプション
指定するオプションには、必須のオプションと任意のオプションがあります。必須オプションは必ず指定してください。
1.アレイの種類の指定
「リニア」のアレイを作成するので、以下の指定を行います。ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-l | --level | --level=linear |
2.アレイを構成する物理ボリューム数の指定
アレイを構成する物理ボリューム数を指定します。3つの物理ボリュームでアレイを構築するなら、「3」を指定します。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-n | --raid-devices | --raid-devices=3 |
任意のオプション(推奨)
任意のオプションは指定しなくてもよいですが、指定を検討したほうが良いオプションを紹介します。アレイの使い勝手に影響するオプションです。
1.丸め係数
「丸め係数」を指定します。指定するチャンクサイズの単位は、「KiB」です。
このオプションを省略した場合、「丸め係数」は「0」として扱われます。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
なし | --rounding= | --rounding=64 |
単位の指定
単位の指定を省略した場合は、上記でも記述した通り「KiB」が単位になります。以下のように単位を指定することも可能です。
単位の指定 | 単位 | 記述例 | 記述例の説明 |
---|---|---|---|
単位の指定なし(省略) | KiB | --rounding=32 | 丸め係数に「32KiB」を指定する |
M | MiB | --rounding=1M | 丸め係数に「1MiB」を指定する |
G | GiB | --rounding=1G | 丸め係数に「1GiB」を指定する |
任意のオプション
指定しなくても良いオプションです。1.アレイ名の指定
「アレイの名称」を指定します。このオプションを省略した場合、論理ボリュームのデバイスファイル名からアレイの名称が生成されます。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-N | --name | --name=LinearArray |
2.追加情報の表示
「mdadm」実行時に、追加情報を表示します。ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-v | --verbose | --verbose |
3.メタデータフォーマットの指定
「メタデータ」(スーパーブロック)のフォーマットを指定します。このオプションを省略した場合、デフォルト値が指定されたものとして扱われます。
Ubuntu 13.10では、デフォルト値は「1.2」です。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-e | --metadata | --metadata=default |
指定できる値は以下のとおりです。
メタデータのバージョン | 記述例 |
---|---|
0.90 | --metadata=0.90 |
1.0 | --metadata=1.0 |
1.1 | --metadata=1.1 |
1.2 | --metadata=1.2 |
デフォルト値 | --metadata=default |
4.ホームホストの指定
アレイの「ホームホスト」を指定します。ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
なし | --homehost | --homehost=myHost |
アレイを構成する物理ボリューム
アレイを構成する物理ボリュームを指定します。各物理ボリュームは、スペースで区切ります。
/dev/sdd7 /dev/sde7 /dev/sdf7
glob
物理ボリュームの指定は、globに対応しています。例えば上記の記述は、以下のように記述することもできます。
/dev/sd[d-f]7
/dev/sd[def]7