メタデータについて
「メタデータ」とは、アレイの情報のことです。「メタデータ」は「スーパーブロック」と呼ばれることもあります。
メタデータの種類
メタデータの種類には、通常のメタデータと外部メタデータがあります。外部メタデータは後から出てきた仕組みです。
ここでは便宜上、通常のメタデータのことを「MDメタデータ」と表現します。
MDメタデータと外部メタデータ
この2種類のメタデータの違いは、メタデータを誰が管理するかの違いです。「MDメタデータ」は「MDドライバー」が管理します。
一方「外部メタデータ」は、「MDドライバー」が管理せず、他のソフトウェアが管理を行います。
「外部メタデータ」は、フェイクRAID等で使われます。
要は、「MDドライバー」以外で作成されたメタデータのことです。
「MDドライバー」以外で作成されたメタデータの一部は、「mdadm」で扱うことができます。
MDメタデータ
MDメタデータは、「MDドライバー」が管理するメタデータです。「MDドライバー」はアレイ作成時、アレイを構成するすべての物理ボリュームにこのメタデータを保存します。
メタデータのバージョン
バージョンにより、メタデータのフォーマットが異なります。バージョンは大別すると、「0.9」と「1」系があります。
現状以下のバージョンが存在します。
- 0.9
- 1.0
- 1.1
- 1.2
補足
メタデータのバージョン「1.2」以外は、紹介は行いますが基本的に扱いません。MDメタデータ(バージョン 0.9)
「MDメタデータ」バージョン 0.9は、2009年ごろにデフォルトで使用されていた古いバージョンです。以下のように制限があるため、特に理由がない限り「0.9」を使用することはないでしょう。
物理ボリューム数の制限
アレイを構成する物理ボリューム数は、最大28ボリュームに制限されます。物理ボリュームサイズの制限
Linux Kernel 3.1未満では、各物理ボリュームの容量は最大2TiBに制限されます。Linux Kernel 3.1以降では、各物理ボリュームの容量は最大4TiBに制限されます。
エンディアンの影響を受ける
エンディアンの影響を受けるため、リトルエンディアン及びビッグエンディアン間のPCで相互に利用することはできません。(x86,x86_64はリトルエンディアン、PPCはビッグエンディアン)
メタデータに保存できる情報が限られる
「1」系のバージョンと比較して、メタデータに保存できる情報が限られており、「MDドライバー」が提供する一部の機能を利用できません。メタデータの配置位置
メタデータは物理ボリュームの後ろの方に保存されます。物理ボリュームを64KiBのブロックで区切り、最後の64KiBのブロックにメタデータを保存します。
MDメタデータ(バージョン 1系)
「MDメタデータ」バージョン 1系は、「0.9」の後継となるバージョンです。以下の3つのバージョンがあります。
- 1.0
- 1.1
- 1.2
現状アレイを作成すると、デフォルトで「1.2」が使用されます。
物理ボリューム数
アレイを構成する物理ボリューム数は、384ボリュームを超える物理ボリューム数が利用できます。物理ボリュームサイズ
64bitで管理するため、4TiBを超える物理ボリュームが利用できます。エンディアンの影響を受けない
エンディアンの影響を受けません。メタデータの情報は、すべてリトルエンディアンで保存されます。
バージョンの違いについて
現状「1」系には3つのバージョンが存在しますが、これらのバージョンの違いはメタデータの保存位置です。1.0のメタデータの保存位置
「1.0」では、メタデータは物理ボリュームの後ろの方に保存されます。物理ボリュームの終わりから8KiB~12KiBの位置にメタデータを保存します。
1.1のメタデータの保存位置
「1.1」では、メタデータは物理ボリュームの先頭に保存されます。1.2のメタデータの保存位置
「1.2」では、メタデータは物理ボリュームの先頭から4KiBの位置に保存されます。メタデータの保存位置の違いによる影響
他のディスク管理系ソフトとの組み合わせで不都合が出る場合があるので、物理ボリュームの後ろの方に保存する「1.0」や先頭に保存する「1.1」の使用はなるべく避けてください。外部メタデータ
「外部メタデータ」は、フェイクRAID等で使用するメタデータです。フェイクRAIDで有名なのは、インテルのチップセットで提供されるフェイクRAIDでしょうか。
外部メタデータでは、以下のフォーマットをサポートしています。
Disk Data Format(DDF)
DDFは、「Storage Networking Industry Association(SNIA)」が定義したメタデータフォーマットです。異なるベンダーが提供するRAIDでも、DDFに従ったメタデータでRAIDアレイが作成されていれば、ベンダーを超えて利用することができます。
また「mdadm」が解釈することができます。
Intel Matrix Storage Manager(IMSM)
インテルのチップセットで提供されるフェイクRAIDです。インテル マトリクス・ストレージ・マネージャーです。
「mdadm」が解釈できるフォーマットです。
Intel Rapid Storage Technology(IRST)
インテルのチップセットで提供されるフェイクRAIDです。インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジーです。
これも「MDドライバー」が解釈できるフォーマットです。
IRSTはIMSMの後継となる仕組みで、「mdadm」ではIMSMと同じ扱いになります。