GNOME 50 新機能と変更点
2026年3月18日、GNOME 50(開発コード:Tokyo)がリリースされました。リリースノートから GNOME 50 の新機能と変更点を紹介します。
Tokyo の由来
GNOME 50 の開発コードは Tokyo ですが、これは 2025年12月に開催された GNOME Asia Summit 2025 に因み、そのイベントの主催及び取り組みに敬意を表し Tokyo と名付けられました。ペアレンタルコントロールの強化
ペアレンタルコントロール機能が強化されました。ペアレンタルコントロールとは
ペアレンタルコントロールとは、子どもが安全にデバイスやサービスを使えるよう、保護者が利用内容や時間を制限・管理する機能のことです。利用時間の監視と制限の設定
保護者は子供のアカウントの利用時間を監視し、利用制限を設定できるようになりました。利用制限では就寝時間を含む制限が可能であり、利用時間が制限に達するか就寝時間になると、画面を自動的にロックできます。
また必要に応じて制限時間を超えて利用時間を延長することも可能です。
ペアレンタルコントロールの設定機能
ペアレンタルコントロールの設定は設定アプリから行えますが、設定アプリ以外でもペアレンタルコントロールの設定アプリを呼び出せるようになっており、アクセス性が確保されています。アクセシビリティーの強化
アクセシビリティーが強化されました。アクセシビリティーとは
アクセシビリティーとは誰でもデスクトップを利用できるように、ユーザーのデスクトップ操作や作業を支援する機能です。例えば画面の読み上げ機能(スクリーンリーダー)や、文字サイズの拡大機能、色のコントラスト調整といった機能が、このアクセシビリティーに含まれています。
アクセシビリティー機能の設定は、設定アプリから設定できます。
Reduced Motion オプション
Reduced Motion オプションはデスクトップアニメーションの動きを軽減するオプションです。このオプションは設定アプリのアクセシビリティー設定から指定できます。
スクリーンリーダーの強化
スクリーンリーダーはアクセシビリティー機能の一つであり、Orca によって提供されている機能です。設定画面の刷新
Orca の設定画面が刷新され、デザインの改良による使い勝手の向上や、他の GNOME アプリとの一貫性のあるデザインになりました。グローバル設定
Orca の設定をウェブブラウザーなどアプリごとに設定するのではなく、すべてのアプリに共通する設定として設定できるようになりました。もちろん従来どおりアプリごとに設定することも可能です。
自動言語切り替え機能
ウェブコンテンツ及びアプリによって自動的に言語を切り替え機能が追加されました。ブラウズモードとスティッキーモード
ブラウズモードの対象がすべてのドキュメントコンテンツに拡大されました。またスティッキーモードは、Electron アプリで自動的に有効になるように調整されました。
加えて点字サポートも改良されています。
マウスレビュー
マウスレビュー機能が Wayland セッションで動作するようになりました。マウスレビュー機能は、マウスカーソルの下にある文章を読み上げる機能です。
ドキュメントビューアーの改良
ドキュメントビューアー(Papers)は、様々なドキュメントフォーマットに対応したドキュメントビューアーです。PDF ドキュメントを開く時によく利用され、ドキュメント内の検索や注釈付けができます。
今回ドキュメントビューアーの注釈機能が強化されました。
注釈機能の強化
今までドキュメントの注釈機能には制約があり、提供される機能に制限がありました。この制限が緩和され、テキストとして注釈を追加できるだけでなく、線やハイライトを追加できるようになりました。
色や線の太さも選択でき、注釈を取り消す消しゴム機能も提供されています。
また注釈の追加はメインビューにあるボタンをクリックするだけで、簡単にドキュメントに注釈を追加できるようになりました。
ファイルアプリの強化
ファイル(Nautilus)は、GNOME 環境のデフォルトのファイルマネージャーです。サムネイルとアイコンの読み込みを高速化
サムネイルとアイコンの読み込みを高速化され、より快適な操作性が実現されました。
メモリー使用量の削減
アプリのメモリー使用量が全体的に削減されました。ファイル名の一括変更機能の改善
ファイル名の一括変更機能が改善され、直感的に操作できるようになりました。また置換後のテキストが強調表示されるようになりました。
プロパティーダイアログの改善
ファイルのプロパティーダイアログがフローティングウィンドウに変更され、メインウィンドウをブロックしないようになりました。キャプション設定ダイアログの追加
グリッドビューのキャプション設定が専用のダイアログに移行しました。ファイル操作の簡易説明
サイドバーに表示されるファイル操作の説明が、簡易説明になりました。フィルターの改善
複数のファイルタイプを指定して、検索結果をフィルタリングできるようになりました。パス補完機能の改善
パスバーの補完機能が改善され、大文字・小文字を区別せずに補完できるようになりました。カレンダーの強化
カレンダーはスケジュール管理アプリです。会議や予定、公開イベント、旅行計画など、日々のイベントやスケジュールを管理できます。
参加状況の一覧
概要(サマリー)を選択すると、参加状況別に参加者の一覧が表示されます。主催者及び参加者の項目でコンテキストメニューを表示すれば、メールアドレスをコピーすることができます。
クイック追加機能の改善
新しいイベントを簡単に追加するクイック追加機能が見直され、より直感的で効果的なデザインになりました。ICS のエクスポート機能
個々のイベントの共有だけでなく、スケジュール全体を一度にエクスポートできるようになりました。月表示の改良
月表示が洗練され月名がより目立つデザインになり、イベントの配置が改善されスクロールアニメーションもより滑らかになりました。地域設定のカスタマイズ
週の開始日の設定がシステム設定に沿うようになり、ユーザーの地域設定に合わせ表示されるようになりました。ナビゲーションとアクセシビリティーの改善
月表示では矢印キーを使ってイベント間を移動できるようになり、マウスとキーボードに付いている戻るボタンと進むボタンにも対応しました。また月を切り替えた時に月の初めに切り替わるようになり、長いタイムラインを閲覧する際の操作性が向上しました。
設定アプリの強化
デスクトップやシステムを設定する設定アプリも強化されました。日付と時刻
週の開始日を設定する新しいオプションが追加されました。この設定はアプリからも参照され。GNOME Calendar や Evolution といったアプリはこの設定を元に週の開始日を決定します。
サウンド
音量レベルの設定画面で入力ボリュームと出力ボリュームが明確に区別されるようになり、操作対象が分かりやすくなりました。モデム詳細画面
モデム(WWANモデム)の詳細画面が見直され、他の設定画面と統一感のあるデザイン以下医療されました。カラーマネージメント
ディスプレイのキャリブレーション周りの不具合も含め、不具合が修正されました。リモートデスクトップの強化
リモートデスクトップ機能が強化されました。ハードウェアアクセラレーション
Vulkan と VA-API による新しいハードウェアアクセラレーションがサポートされ、パフォーマンスが大幅に向上しました。GPU を使用して映像をストリーミングすることで、リモートセッションはよりスムーズになり、遅延が大幅に軽減され、消費電力も削減されました。
同期機能の統合
明示的な同期機能が統合されたことで、より幅広いハードウェアとの互換性が向上し、NVIDIA GPU ドライバーを使用しているユーザーにとってより安定したリモートデスクトップ機能を提供できるようになりました。HiDPI のサポート
HiDPI がサポートされ、リモートデスクトップクライアントは使用中の画面解像度に合わせて表示を自動的にスケーリングできるようになりました。カメラのリダイレクトに対応
カメラのリダイレクトに対応し、リモートコンピューターにローカルウェブカメラが直接接続されているかのようにリモートセッション内で利用できるようになりました。認証の強化
システム管理者やパワーユーザー向けに、認証とセッション管理機能が強化されました。Kerberos 認証がサポートされ、画面共有やシングルユーザーヘッドレスサーバー使用時に、エンタープライズレベルのセキュリティを提供します。
セッション管理機能の強化
リモートログインで gnome-headless-session systemd サービス経由で開始されたセッションに対応しました。これによりセッションの信頼性が大幅に向上し、リモートデスクトップのシステムサービスを再起動する必要性が生じても、セッションを維持したまま動作し続けられるようになりました。
ディスプレイ機能の強化
ディスプレイ機能が強化されました。可変リフレッシュレートと分数スケーリングの改善
可変リフレッシュレート(Variable Refresh Rate/VRR)と分数スケーリングのサポートが改善されました。可変リフレッシュレートと分数スケーリングで発生していた不具合が修正され安定性が向上すると共に、使い勝手も向上しています。
一部のディストリビューションでは以前のリリースで可変リフレッシュレートや分数スケーリングの機能が有効になっていたため、多くのユーザーは既に利用しているかもしれません。
しかしそうではないディストリビューションにとって、GNOME 50 でこれらの機能がデフォルトで有効になりました。
可変リフレッシュレート機能
可変リフレッシュレート機能は、可変リフレッシュレートに対応したディスプレイ利用時に、ディスプレイのリフレッシュレートとアプリケーションのフレームレートを一致させ、チラツキのないスムーズな映像を出力します。分数スケーリング機能
分数スケーリング機能は、画面表示の倍率を段階的に調整する機能であり、様々な画面密度により適した倍率表示にできます。分数スケーリングを有効にすると、ディスプレイ設定で 125% や 150% といった倍率をネイティブに選択できるようになります。
VRR で低遅延カーソルのサポート
マウスカーソルはVRR 有効時、アプリケーションのフレームレートとは独立して動作するようになりました。これによりゲームやプロ向けのアプリが低いフレームレートで実行されていても、マウスカーソルはモニターの最大リフレッシュレート(例:144 Hz)でスムーズかつ応答性の高い状態で動作します。
NVIDIA GPU のサポート改善
NVIDIA GPU ドライバーに描画のカクつきやフレーム表示タイミングの問題がありますが、これらの問題を回避する回避策が導入されました。これにより NVIDIA GPU を使用しているユーザーは、ウィンドウアニメーションやデスクトップ全体の動きが有意に滑らかになります。
次世代のカラーマネージメント
Wayland のカラーマネジメントプロトコル・バージョン2がサポートされました。これにより様々なアプリケーションやハードウェアで、より高い色精度を実現できるようになりました。
HDR 画面共有のサポート
ハイダイナミックレンジ(HDR)コンテンツを表示するモニターの画面共有が可能になりました。これにより画面を録画するソフトウェアは、実際の画面に表示されているのと同じ鮮やかな色彩で画面コンテンツを録画できます。
GNOME Circle
GNOME Circle は GNOME 環境に向けに最適化されたアプリケーション群です。前回の GNOME のリリース以降、新しいアプリが GNOME Circle に加わりました。
Gradia
Gradia はスクリーンショットを編集及び加工するアプリです。テキストや矢印、ぼかしなどを含む10種類の注釈モードや、画像の背景やグラデーション背景の追加機能、影や余白、自動バランス調整などの画像調整機能、コードスニペットを高解像度で見やすい画像に変換する機能など、多数の機能を提供しています。
Sudoku
Sudoku は数独アプリです。Constrict
Constrict は、指定したファイルサイズに動画を圧縮するアプリです。ファイルサイズ制限のあるサービスへのアップロードに活用でき、動画は設定されたファイルサイズを満たすように、平均ビットレート(ABR)、解像度、フレームレート、及びオーディオ品質が自動的に計算され、再エンコードされます。
Sessions
Sessions はポモドーロ・テクニックに対応したタイマーアプリです。作業を集中する時間と定期的な休憩時間に分けることで、作業の集中と継続性を支援します。












