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WSL その323 - 9年の時を経てついに WSL がオープンソースに

ついに WSL がオープンソースに

2025年5月19日、9年の時を経てついに WSL がオープンソースになりました。


OSS化の要望

WSL が登場したのは2016年のことです。
WSL 登場後すぐにユーザーから WSL の OSS 化の要望や期待が Issue に寄せられました。

  • Will this be Open Source?

そして OSS へ

今回 WSL が OSS になりました。
ちなみにライセンスは MIT です。

  • MIT License

これにより開発者は WSL のソースコードのダウンロードやビルド、ソースコードの改変や新機能の追加、不具合の修正等を行えるようになりました。
また追加した新機能や不具合の修正は、WSL にフィードバック可能です。

すでに OSS になっているコンポーネント

ちなみに WSL に関連するコンポーネントの内、以下のコンポーネントはすでに OSS として提供されています。

  • WSLg
  • WSL2-Linux-Kernel 

まだ OSS になっていないコンポーネント

WSL に関連するコンポーネントの内、以下のコンポーネントはまだ OSS になっておらず、Windows のイメージの一部として提供されています。

  • Lxcore.sys
    WSL1向けのカーネル側のドライバー

  • P9rdr.sys と p9np.dll
    Windows から Linux ファイルシステムをリダイレクトする \\wsl.localhost を実現するコンポーネント

WSL コンポーネントの概要

WSL は複数のコンポーネントで構成されています。
コンポーネントによっては、Windows 上で動作するコンポーネントもあれば、WSL2 の仮想マシン内で動作するコンポーネントもあります。
これらのコンポーネント構成を見てみましょう。


WSL のコンポーネントを役割別に分類すると、次の4種類に分類できます。

1. コマンドライン

WSL との対話するためのコマンドライン群です。

  • wsl.exe
  • wslconfig.exe
  • wslg.exe

2. WSL サービス

ディストリビューションの利用に先駆け WSL VM やディストリビューションを起動したり、ファイル共有のためのボリュームをマウントしたり、WSL セッションやディストリビューションを管理する WSL の骨幹となるサービスです。

  • wslservice.exe

3. Linux 側のソフトウェア

WSL の機能を提供するための Linux 側のソフトウェア群です。

  • init
  • gns(ネットワーク) 
  • localhost(ポートフォワード) 

他にもいくつかあります。

4. Linux 側のファイルを Windows と共有するサーバー

plan9 は Linux 側のファイルを Windows と共有するためのファイルシステムサーバーです。
plan9 も Linux 側で動作するプロセスです。

  • plan9

なぜ今になって OSS にしたのか

なぜ WSL は今になって OSS にしたのか、WSL の歴史とともに振り返ってみましょう。

2016年に登場

WSL(WSL 1)は2016年に登場し、Windows 10 Anniversary Update で利用できるようになりました。
この時の WSL はピコプロセスプロバイダーがベースになっており、lxcore.sys がWindows 上でネイティブに Linux の ELF バイナリーを実行する機能を提供していました。
加えて Windows カーネルで Linux のシステムコールを実装し、これらの合わせ技で WSL 1 が実現されていました。

ちなみに WLS 1 は現在でもサポート対象になっています。

時は経てより最適な互換性を提供するために

WSL 1 登場から時が経つに連れ、Linux の ELF バイナリーの実行に最適な互換性を提供するためには、Linux kernel そのものに頼るべきである。という判断が明瞭になっていきます。

そして 2019年に WSL 2 が生まれます。

もっともっと互換性を高めて欲しい

WSL を利用するユーザーが増えるにつれその期待に応える形で WSL に GPU のサポートが加わり、Linux の GUI アプリのサポートが加わり、そして systemd のサポートが加わるなど、WSL に様々な機能が搭載されていきました。

WSL コミュニティーの規模拡大と迅速に要望に答えるために

日々拡大していく WSL コミュニティーと、ユーザーが求める要望に積極的に応えていくためには、WSL を Windows とは別にリリースすることで開発速度を高めていく必要がありました。

そして 2021年に WSL は Windows のコードベースから分離され、WSL 独自のコードベースへ移行しました。

この新しいコードベース由来の WSL は 2021年7月に WSL 0.47.1 としてリリースされ、Microsoft Store から入手できるようになりました。

ただこの時点でこの WSL は Windows 11 のみがサポート対象であり、また WSL パッケージはプレビュー版という位置づけでした。
この WSL は新しくなった WSL をいち早く体験したいユーザーに向けてリリースされたものでした。

General Availability リリースへ

その後も継続的に WSL パッケージの開発が行われ、2022年の11月、WSL 1.0.0 として GA 版の WSL が登場しました。
GA 版 WSL は Windows 10 もサポート対象となりました。

新しい WSL へユーザーの移行を促す

従来の WSL は Windows の一部として提供されており、ユーザーは WSL コンポーネントをインストールすることで WSL を利用していました。

GA 版 WSL がリリースされたことで、既存ユーザーを WSL パッケージへ移行させる取り組みが始まりました。
そして Windows 11 24H2 で WSL コンポーネントから WSL パッケージへ移行させる取り組みが開始されました。
引き続き Windows のイメージには wsl.exe が含まれていましたが、ユーザーが WSL パッケージへの移行を容易に行えるよう、最新の WSL パッケージをダウンロードする仕組みが実装されていました。

WSL 2.0.0 でさらなる改良

WSL 2.0.0 ではさらなる改良が行われました。
主要な改良は以下のとおりです。

  • ミラーリングネットワークのサポート
  • DNS トンネリングのサポート
  • セッション 0 のサポート
  • プロキシーのサポート
  • ファイアーウォールのサポート

というわけで

WSL の歴史とともに振り返ってみましたが、WSL を OSS にした主な理由は、コミュニティーの力を借りながら優れた WSL 体験をもっと迅速にユーザーに届けるためです。
今後もさらなる発展が楽しみですね。

WSL
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